
新築住宅の購入に頭金はいくら必要?住宅ローンの返済シミュレーションも
公開日:2025年03月17日
この記事では、新築住宅を購入するためには頭金がいくら必要かを解説します。
【この記事でわかること】
- そもそも頭金とは?
- 新築住宅の頭金の目安はいくら?
- 新築を頭金ありで購入するメリット
- 新築住宅は頭金なしでも購入できるのか
- 新築購入の住宅ローン返済額を頭金別にシミュレーション
そもそも頭金とは?
頭金とは、新築住宅を購入する際に物件価格の一部を事前に支払うお金のことです。
現金での支払いが一般的で、手持ちの資金や親などからの援助や補助金などで賄います。
頭金を支払っておけば、住宅ローンの借入額を減らして月々の返済負担を軽減できます。例えば3,000万円の物件を購入する場合、頭金として300万円を支払えばローンの借入額は2,700万円です。
また、その他に支払いが必要な項目として手付金が挙げられます。
手付金との違い
手付金は、住宅の売買契約を結ぶ際に支払うお金です。買主の都合で契約を解除する際には放棄する必要があり、購入の強い意志を示して契約の信頼性を高める効果があります。
一方、頭金は、住宅ローンを利用する際に借入額を減らす目的で支払うお金
手付金を支払っても物件価格を支払ったことにはなりませんが、頭金は物件価格の一部として充当されます。
参考:
新築住宅の頭金の目安はいくら?
ここでは、新築住宅を購入する際の頭金の目安として、住宅金融支援機構が提供しているフラット35
の利用者調査を参考に解説します。
2023年に首都圏でフラット35を利用した人の頭金の割合は、以下のようになりました。
| 物件種別 | 頭金(手持金)の割合 |
|---|---|
| 注文住宅 | 20.9% |
| 建売住宅 | 8.8% |
| マンション | 24.1% |
参考:
上記の表より、新築住宅における頭金の割合は10〜20%程度だと分かります。
ただし、建売住宅では注文住宅やマンションよりも割合が低い傾向にあり、購入価格の90%以上を住宅ローンの借入額などで賄う人が多いと推測できます。
頭金を支払う際には、今後のローン返済を軽くすることと、現在の生活にゆとりを持たせることのバランスを取るのがいいでしょう。ある程度の資金は手元に残しておくことも大切です。
新築を頭金ありで購入するメリット
ここでは、新築住宅の頭金を用意して購入するメリットを解説します。
- 住宅ローン審査に通りやすくなる
- 月々の返済負担が軽くなる
- 金利が低くなる場合がある
- 支払総額を抑えられる
順番に見ていきましょう。
住宅ローン審査に通りやすくなる
同じ物件でも、頭金の有無によって住宅ローンの借入額が異なります。
頭金を用意して借入額を減らせば、金融機関の審査で有利になり通りやすくなるでしょう。
また、頭金があれば自己資金が多いことで返済能力が高いと判断され、審査がスムーズに進みやすくなります。
月々の返済負担が軽くなる
頭金を支払えば、ローンで借りる金額が減り、その分月々のローン返済額を抑えられます。
例えば、5,000万円の物件を購入する際に物件価格の10%を頭金として支払っておけば、今後の返済から500万円を軽減できます。
毎月の負担を軽減でき、家計に余裕を持たせてライフプランの変化に対応しやすくなるでしょう。
金利が低くなる場合がある
頭金を多めに用意すると、金融機関から金利が低いプランを提案されることがあります。
自己資金が多く借入額が少ない人は、銀行になっても未返済が発生するリスクが低いためです。ローンの金利が低ければ利息負担が軽減されて、総返済額が抑えられます。
支払総額を抑えられる
先述のとおり、頭金を用意すれば借入額や利息の減少が見込めます。
月々の支払額や利息が少なくなれば、結果的に住宅に対して支払った総額を抑えられるでしょう。
長期的な資金計画を考えるうえでも、頭金を活用することは大きなメリットをもたらすといえます。
新築住宅は頭金なしでも購入できるのか
結論として、新築住宅は頭金なしでも購入可能です。
ただし、以下4つの注意点を押さえておくことが大切です。
- 金利や利息の負担が増加する場合がある
- 諸費用を用意しなければならないことがある
- 諸費用ローンは金利が高くなる傾向にある
- 定年までに完済できる資金計画を立てる必要がある
順番に見ていきましょう。
金利や利息の負担が増加する場合がある
頭金を払わずに住宅を購入する場合、住宅ローン借入額が増えて利息の負担が大きくなります。また、頭金を支払っていない人は金融機関から自己資金が少なく未返済のリスクがある人とみなされてしまい、高い金利での借入になるおそれがあります。
結果的に、頭金を支払った場合と比較して支払総額が大きくなるでしょう。
諸費用を用意しなければならないことがある
頭金を支払わない場合でも、住宅を購入する際にはさまざまな諸費用が発生します。
登記費用や火災・地震保険料、各種税金などが挙げられ、諸費用の総額は物件価格の5〜10%程度とされています。
諸費用は住宅ローンに組み込めないケースが多く、住宅の取得時に現金での支払いが必要です。
諸費用ローンは金利が高くなる傾向にある
諸費用を住宅ローンに組み込むことは難しいですが、諸費用ローンで賄える場合があります。ただし、諸費用ローンの金利は住宅ローンよりも高く設定されることが多く、2箇所でローン返済が発生します。
結果的に支払額が増えてしまい、全体の返済負担が大きく感じられるでしょう。
定年までに完済できる資金計画を立てる必要がある
頭金なしでローンを組む場合、借入額が多く返済期間が長期化することがあります。
特に、返済が退職後まで続く場合、退職後に収入が減ることを見越して返済計画を立てる必要があります。
頭金を支払うか検討する際には、現在の収入だけでなく将来のライフプランを踏まえて慎重に検討しましょう。
新築購入の住宅ローン返済額を頭金別にシミュレーション
ここでは、新築住宅を購入する際の返済シミュレーションを、頭金別に見ていきましょう。シミュレーションの条件は以下のとおり設定します。
【条件】
- 物件価格:4,000万円
- 金利:変動金利0.65%
- 返済期間:35年間
- ボーナス払い:なし
この条件で、以下3つのパターンからシミュレーションを行います。
- 頭金を払わない場合
- 10%の頭金を払う場合
- 20%の頭金を払う場合
結果は以下のとおりです。
| 頭金なし | 頭金10% | 頭金20% | |
|---|---|---|---|
| 頭金の金額 | 0円 | 500万円 | 1,000万円 |
| ローンの借入額 | 4,000万円 | 3,500万円 | 3,000万円 |
| 毎月返済額 | 10万6,507円 | 9万3,194円 | 7万9,880円 |
| 総返済額 | 4,473万2,952円 | 3,914万1,276円 | 3,354万9,675円 |
| 総支払額 | 4,473万2,952円 | 4,414万1,276円 | 4,354万9,675円 |
参考:
10%の頭金を払う場合と払わない場合では、毎月の返済額が1万円程度異なり、総支払額に60万円程度の差があります。また、20%の頭金を支払った場合、支払わない場合と比較して毎月返済額に3万円程度、総支払額に120万円程度の差がありました。
住宅の購入時に諸費用と頭金を現金で確保することは簡単ではありませんが、頭金を払っておけば今後の負担を大きく抑えられます。
新築住宅の頭金に関するよくある質問
最後に、新築住宅の頭金に関するよくある質問を紹介します。
- 頭金を支払うタイミングはいつ?
- 頭金が多いと住宅ローン 審査が有利って本当?
- 住宅ローンの資金は頭金と繰り上げ返済のどっちがお得?
疑問の解消にお役立てください。
頭金を支払うタイミングはいつ?
一般的に、頭金を支払うタイミングは住宅ローンの契約成立前です。
住宅の売買契約を結んだ後、着工や引き渡しが行われる前に頭金を準備することがおすすめです。
タイミングを調整したい場合は、不動産会社や金融機関と相談して詳細を確認することをおすすめします。
頭金が多いと住宅ローン 審査が有利って本当?
先述のとおり、頭金を多く払うと住宅ローン審査が有利になることがほとんどです。
頭金を払った分借入額が少なくなり、また自己資金が多く返済能力が高い人としてみなされるためです。
金融機関から低金利のプランを提案される可能性もあり、ローン審査の観点からも頭金を多く支払うことは有利に働くことが多いでしょう。
住宅ローンの資金は頭金と繰り上げ返済のどっちがお得?
頭金と繰り上げ返済のどちらが有利かは、一概にはいえません。
頭金を多く支払うと、借入額が減って借入当初から利息負担を軽減できます。ただし、住宅取得時にまとまった資金を支払うため、家財の購入費などが確保できないおそれがあります。
住宅を取得したあとにまとまったお金を用意できる見込みがあるなら、繰り上げ返済の活用が手段の1つです。新生活の費用を確保でき、将来的に利息を軽減できます。
頭金と繰り上げ返済のどちらを選ぶかは、貯蓄や親などからの援助の状況を踏まえて検討しましょう。
新築住宅の頭金は資金計画を立ててから決めよう
この記事では、新築住宅を購入する際の頭金について解説しました。
新築住宅を購入する際には、物件価格の一部を予め頭金として支払っておくことが一般的です。頭金は物件価格の10〜20%程度であるケースが多く、多めに支払っておけば審査に通りやすくなったり総返済額が減ったりするなどのメリットを受けられます。
住宅を購入する際には、手付金や諸費用なども支払う必要があるため、貯蓄の状況や今後のライフプランを考慮して決めることが大切です。
必要に応じて、施工会社や金融機関に相談し、慎重に判断することが大切です。

記事監修
小軽米 篤史
宅地建物取引士/日商簿記2級/ビジネス会計検定2級
中野営業センターのオープニングスタッフとして3年間、営業職として活躍。その後、経営企画部門、経理部門にて株式上場、企業M&A、決算業務、業績開示等に従事。
- 2025年1月時点の内容です。















