
安心R住宅とは?主な特徴やメリット・デメリットを解説
公開日:2025年04月10日
この記事では、安心R住宅について解説します。
中古住宅の購入を検討するときに、安心して快適に生活できる家の決め方で悩んでいる人も少なくありません。質が良い住宅の基準として、『安心R住宅』があります。
この記事では、安心R住宅の概要やメリット・デメリット、購入の流れなども紹介するので、中古住宅の購入を検討している人はぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
- 安心R住宅とは?
- 安心R住宅の主なメリット
- 安心R住宅の主なデメリット
- 安心R住宅を購入する一般的な流れ
安心R住宅とは?
中古住宅には、「汚い」や入居が「不安」、情報が「わかりにくい」などのマイナスな印象を持っている人が多く見られます。これらのマイナスイメージを払拭し、居住意欲や購買意欲を促すための基礎的な条件を備えた住宅が、安心R住宅です。
ここでは、安心R住宅の内容について以下3点から詳しく解説します。
- 基礎的な品質による「安心」
- リフォーム工事の実施による「きれい」
- 情報開示による「わかりやすい」
参考:
基礎的な品質による「安心」
購入者に入居する上での安心を感じてもらうために、安心R住宅では以下の基準が設けられています。
- 新耐震基準などに適合していること
- インスペクションを実施しており、既存住宅売買瑕疵保険の検査基準を満たしていること
1981年5月以前に建築された住宅はこの基準を満たしていない場合があるため、リフォームの履歴や検査結果などを見せてもらい、基準に適合しているかチェックしましょう。
また、インスペクションとは、建物状況調査のことです。専門家が建物の状況を確認して構造上の問題や現在発生しているトラブルなどがないか確認します。
リフォーム工事の実施による「きれい」
中古住宅の汚いイメージを払拭するために、安心R住宅では以下の基準が設定されています。
- リフォーム工事を実施しており、従来の中古住宅の「汚い」イメージが払拭されている
- リフォーム工事を実施していない場合、費用情報を含んだリフォーム提案書が用意されている
- 外装や内装、水回りの現在の写真がある
リフォーム後の家の状態を把握できる写真を用意して、購入検討者に中古住宅なのにきれいだと感じさせることがポイントです。
また、リフォームを実施していない場合は、費用に関する情報を掲載したリフォーム提案書が必要です。事前にハウスメーカーや工務店などで見積もりを取っておきましょう。
情報開示による「わかりやすい」
安心R住宅として売却する際には、住宅に関する情報がわかりやすく開示されていることが大切です。具体的には、以下2つの基準を満たしている必要があります。
- 広告掲載時に設計図書や点検記録など、物件選びに役立つ情報の保管状況が示されている
- 仲介業者に依頼するとさらに詳細な情報が開示できる
家の点検やメンテナンス履歴がわかるように、設計図書や点検記録などを保管しておきましょう。
また、購入検討者が不動産会社などと交渉を進める際、過去に実施した点検・修繕の内容や、利用できる保険や保証を把握できることが必要です。安心R住宅の主なメリット
ここでは、安心R住宅の主なメリットとして以下5点を解説します。
- 基礎的な品質が担保されている
- 過去の修繕・保証内容などが確認できる
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入できる
- 住宅ローン控除(減税)が受けられる
- 早期売却がしやすい
基礎的な品質が担保されている
安心R住宅として認定されるには、現行の耐震基準を満たしていることやインスペクションの結果に問題がないことが条件となります。
地震による倒壊リスクが低く、構造上の問題や雨漏りなどのトラブルがないことが示されているので、安心して生活するための基礎的な品質が保証されています。中古住宅は安心・安全に暮らせるか不安な人にとっても、前向きに購入を検討する要因となるでしょう。
過去の修繕・保証内容などが確認できる
安心R住宅の認定条件として、過去の点検や修繕の履歴を保管していることが挙げられます。また、購入検討者が仲介業者に相談へ行った際、利用できる保険や保証の内容を把握できることも必要です。
購入前に住宅の状態を正確に把握できるため、安心して入居を決定できます。既存住宅売買瑕疵保険に加入できる
既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の検査と保証がセットになっている保険のことです。万が一、購入した住宅に欠陥や不具合が見つかった場合に、補修費用などの保険金が買主に支払われます。
また、既存住宅売買瑕疵保険に加入するためには、対象の住宅がインスペクションを受けて基準を満たしている必要があります。
既に基本的性能が保証されている住宅に入居でき、万が一トラブルが発生した際に保険金を受け取れる点は、大きなメリットになるでしょう。
参考:
住宅ローン控除(減税)が受けられる
住宅ローンを利用して安心R住宅を購入した場合、住宅ローン控除(減税)の対象となります。
住宅ローン控除とは、年末時点のローン残高に基づいて一定額を所得税額から控除する減税制度のことです。安心R住宅の場合、2,000万円を借入限度額として、最大10年間に渡って控除を受けられます。
また、住宅ローン控除を受ける際には、以下の条件を満たしている必要があるため、事前に確認しておきましょう。
【住宅ローン控除の適用条件】
- 自らの居住用住宅である
- 1年間の合計所得金額が2,000万円以下である
- ローンの借入期間が10年以上に設定されている
- 引き渡しを受けてから6ヶ月以内に入居している
- 現行の耐震基準に適合している
参考:
早期売却がしやすい
安心R住宅と認定された物件を売却する場合、他の中古住宅よりも早く売却できるのが特徴です。
品質や情報開示の面で信頼性が高く、購入希望者が安心して購入できます。また、外装や内装もきれいに整えられており、不動産情報サイトなどにおいても他の中古住宅より魅力的に見えるでしょう。
安心R住宅の主なデメリット
ここでは、安心R住宅のデメリットを見ていきましょう。
- 流通している物件が少なく選択肢が限られる
- 専任媒介契約に限られる
流通している物件が少なく選択肢が限られる
安心R住宅として市場に流通している物件は、他の中古住宅と比べて少ない傾向にあります。国土交通省によると、2019年4月〜2020年3月に流通した安心R住宅は1,424件に留まりました。中古住宅全体の年間流通量は約17万件とされ、安心R住宅が占める割合は1%未満だといえます。
安心R住宅の購入希望者にとっては、選択肢が限られている状況です。
参考1:
参考2:
専任媒介契約に限られる
安心R住宅として売却する場合、不動産会社との契約形態は『専任媒介契約』、もしくは『専属専任媒介契約』に限定されます。この2つの契約タイプを選ぶ場合、1つの不動産会社とのみ契約することが前提となります。
複数の会社に売却を依頼する一般媒介契約は選択できず、購入希望者や条件の選択肢が限られるでしょう。
安心R住宅を購入する一般的な流れ
ここでは、安心R住宅を購入する一般的な流れを、以下4つのステップから解説します。
- STEP1.不動産会社やポータルサイトなどで物件を探す
- STEP2.物件の詳細情報を確認する
- STEP3.内見を行い物件状況を確認する
- STEP4.実際に住宅を購入する
STEP1.不動産会社やポータルサイトなどで物件を探す
不動産会社を訪れたりインターネットの物件情報サイトをチェックしたりして、安心R住宅として登録されている物件を探しましょう。居住を検討しているエリアがある場合は、その地域に密着した不動産会社で相談することがおすすめです。地域密着型の不動産会社なら、周辺の物件情報を多く持っていると期待できます。
STEP2.物件の詳細情報を確認する
気になる物件が見つかったら、その詳細情報を確認しましょう。
具体的なポイントとして、過去の点検・修繕履歴やリフォームの実施有無、建物の状態などが挙げられます。安心R住宅ではこれらの情報を詳細に把握できるため、しっかりと確認して物件の現状を把握しましょう。
STEP3.内見を行い物件状況を確認する
購入を検討している物件をいくつかに絞り込めたら、実際に現地に行って内見を行いましょう。
内見時には、水回りの状態や間取りの使いやすさ、収納やコンセントの位置と数など、掲載されている広告からはわからない情報をチェックすることがポイントです。この際、気になる点や疑問点などがあれば、気軽に不動産会社の担当者に質問して不安を払拭しましょう。
STEP4.実際に住宅を購入する
内見をして購入する物件が決まったら、売買契約の手続きに進みます。
契約内容や支払い条件などを確認し、互いに納得した上で契約を結びましょう。その後、住宅ローンの手続きや引き渡しの準備を経て、正式に物件の所有者となります。
安心R住宅に関するよくある質問
ここでは、安心R住宅に関するよくある質問を紹介します。
- 安心R住宅の適用要件をまとめると?
- 安心R住宅で適用できる補助金制度は?
- 再建築不可物件の場合に安心R住宅調査報告書への記載は必要?
安心R住宅の適用要件をまとめると?
安心R住宅として認定されるには、以下のような条件を満たしていることが必要です。
- 耐震性
- 既存住宅売買瑕疵保険の検査基準への適合
- 共用部分の管理
- リフォーム工事の実施状況
- 当該住宅に関する書類の保存状況などの情報
- 建築時の情報
- 維持保全の状況にかかる情報
- 保険または保証にかかる情報
- 省エネルギーにかかる情報
- 共用部分の管理にかかる情報
参考:
安心R住宅で適用できる補助金制度は?
安心R住宅の購入やリフォームで適用できる補助金制度として、以下3つがあります。
| 制度 | 概要 |
|---|---|
| 買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置 | 買取再販における消費者の経済的負担を軽減し、より多くの選択肢から良質な既存住宅を低価格で購入できるようにする制度 |
| 住宅ストック維持・向上促進事業 | 質が高い住宅の資産価値が適正に評価される市場の形成を目的とし、住宅ストックの維持向上や評価、流通などの一体的な仕組みの開発や普及を支援する制度 |
| 長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 性能の向上を目的とするリフォームなどに対して費用の一部を支援し、既存住宅ストックの質の向上や子育てしやすい環境などを目指す制度 |
参考1:
参考2:
参考3:
参考4:
再建築不可物件の場合に安心R住宅調査報告書への記載は必要?
再建築不可物件の場合、『安心R住宅調査報告書』の「その他の情報」欄にその旨を記載することが望ましいとされています。安心R住宅を売却する場合には、必要な情報をわかりやすく購入希望者に伝えることがポイントです。記載するか迷った場合は、不動産会社にその旨を相談するのもおすすめです。
安心R住宅の購入を検討するなら事前調査が重要
この記事では、安心R住宅について解説しました。
安心R住宅は、従来の中古住宅のネガティブなイメージを払拭するために設けられた制度です。「安心」・「きれい」・「わかりやすい」の3つの要素を備えた住宅で、購入希望者にとっては魅力的な中古住宅だといえます。
また、売主にとっても早く売買契約が決定しやすい点が大きなメリットといえます。
購入やリフォームをする際には、補助金制度も合わせて活用しましょう。
記事監修
小軽米 篤史
宅地建物取引士/日商簿記2級/ビジネス会計検定2級
中野営業センターのオープニングスタッフとして3年間、営業職として活躍。その後、経営企画部門、経理部門にて株式上場、企業M&A、決算業務、業績開示等に従事。
- 2025年3月時点の内容です。














