
20代でのマイホーム購入は早い?年収・頭金はいくら必要なのかを解説
公開日:2025年04月14日
この記事では、20代でのマイホーム購入に必要な年収や頭金について解説します。
マイホーム購入は人生の大きな決断ですが、20代で購入することで住宅ローンを早く完済できたり、資産形成を早く始められるといったメリットがあります。一方で、収入の変動やライフプランの変化に備えた計画も欠かせません。
この記事では、20代でマイホームを購入する人の割合も紹介します。さらに、20代でマイホームを購入するメリットや注意点も解説します。これからマイホームを購入する方はぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
- 20代でのマイホーム購入に必要な年収・頭金
- 20代でマイホームを購入する人の割合
- 20代でマイホームを購入するメリット
- 20代でマイホームを購入する際の注意点
- 20代のマイホーム購入で後悔しない方法
20代でのマイホーム購入に必要な年収・頭金
20代でのマイホーム購入に必要な年収・頭金を解説します。
- マイホーム購入に必要な年収
- マイホームの購入に必要な頭金
順番に解説していきます。
マイホーム購入に必要な年収
マイホームを購入する際に必要な年収は、一般的に返済比率をもとに計算することができます。
返済比率とは、年間の住宅ローン返済額が年収のどれくらいを占めるかを示す指標で、一般的には20〜25%の範囲が無理のない返済計画とされています。
たとえば、年収500万円の場合、返済比率を20〜25%とすると年間の返済額は100〜125万円、月々の返済額は約8.3〜10.4万円になります。
この場合、35年ローンで借り入れると、3,100〜3,900万円の住宅が購入可能な目安となります。
また、年収の6.5〜7倍程度の住宅を検討する人が多いとされており、この基準でも年収500万円で約3,500万円の住宅が購入可能となります。無理のない返済計画を立て、将来の生活も考慮しながら資金計画を進めましょう。
実際にマイホームを購入した人の世帯年収を見ると、どの層が多いのかがわかります。
| 年収 | 割合 |
|---|---|
| 400万円未満 | 19.8% |
| 600万円未満 | 37.5% |
| 800万円未満 | 21.4% |
| 1000万円未満 | 10.1% |
| 1200万円未満 | 4.2% |
| 1200万円以上 | 7.0% |
参考:
この表を見ると、年収600万円未満の世帯が全体の半数以上を占めており、幅広い収入層の人がマイホームを購入していることがわかります。
それぞれの年収に応じた資金計画を立てることで、無理なく住宅購入を進めることが可能です。
マイホームの購入に必要な頭金
以下の表は、住宅の種類別の頭金の平均額です。
| 住宅区分 | 頭金(手持金) |
|---|---|
| 注文住宅 | 699.0万円 |
| 土地付き注文住宅 | 473.8万円 |
| 建売住宅 | 294.5万円 |
| マンション | 1,188.7万円 |
| 中古戸建て | 219.7万円 |
| 中古マンション | 529.9万円 |
参考:
この表を見ると、住宅の種類によって頭金の平均額に大きな違いがあることがわかります。
新築マンションや注文住宅は比較的高額な頭金が必要となる傾向がありますが、中古戸建てや建売住宅では比較的少ない頭金で購入するケースが多くなっています。
20代でマイホームを購入する人の割合
以下で、20代でマイホームを購入する人の割合を解説します。
- 20代で購入する割合
- 20代の持ち家率
順番に見ていきましょう。
20代で購入する割合
20代でマイホームを購入する人の割合は、他の年代と比べると少ない傾向にありますが、一定数の人が20代で住宅を取得しています。以下の表は、マイホーム購入者の年齢別の割合を示したものです。
| 年齢 | 割合 |
|---|---|
| 30代未満 | 10.6% |
| 30代 | 30.4% |
| 40代 | 27.6% |
| 50代 | 17.6% |
| 60代以上 | 13.9% |
参考:
この表を見ると、20代でのマイホーム購入者は少数派ではあるものの、一定数いることが推測できます。
20代の持ち家率
20代でマイホームを購入する人の割合は年々増加しており、若いうちに住宅を取得する人が増えています。特に、住宅ローンの長期利用や資産形成の観点から、20代のうちに持ち家を持つことを選ぶケースが多く見られます。
以下の表は、世帯主の年齢別に見た持ち家率を示したものです。
| 年齢 | 持ち家率 |
|---|---|
| 20代 | 29.2% |
| 30代 | 48.5% |
| 40代 | 64.3% |
| 50代 | 69.8% |
| 60代 | 77.0% |
| 70代 | 83.4% |
参考:
「家計の金融行動に関する世論調査2023年」(二人以上世帯調査)|金融広報中央委員会
この表を見ると、20代の持ち家率は29.2%となっており、約3割の人がすでにマイホームを取得していることがわかります。
20代でマイホームを購入するメリット
以下が20代でマイホームを購入するメリットです。
- 住宅ローンを早く完済できる
- 住宅ローンの負担を抑えやすい
長期的に見ると賃貸よりもコスパがいいことも
- 税制面で優遇されるケースがある
- 資産形成が早くから始められる
上記6点を順番に見ていきましょう。
住宅ローンを早く完済できる
20代でマイホームを購入すると、早いうちに住宅ローンを完済できるため、老後の生活資金にゆとりが生まれます。たとえば、25歳で住宅を購入し、35年ローンで返済を続けた場合、60歳で完済できます。
定年退職する前、もしくはほぼ同時にローンの支払いが終わるため、年金生活に入ってからの住居費負担を軽減できるのが大きなメリットです。
住宅ローンの負担を抑えやすい
住宅ローンは一般的に最長35年の借入期間が設定されていますが、近年では40年ローンを提供する金融機関も増えています。
特に、20代で住宅を購入する場合、この長期間のローンを活用することで毎月の返済額を抑えられます。借入期間を長くすれば月々の返済額は抑えられますが、その分、総返済額が増える点には注意が必要です。
低金利のうちに住宅を購入し、長期間のローンを有効に活用しながらも、計画的に繰り上げ返済を行うことで、より負担を軽減できます。
長期的に見ると賃貸よりもコスパがいいことも
20代でマイホームを購入すると、賃貸に住む期間が短くなり、その分の家賃負担を抑えられます。家賃は支払い続けても自分の資産にはなりませんが、マイホームを購入すれば、住宅ローンを完済した後には大切な資産として残ります。
実際に、家賃を払い続けるのがもったいないと感じて住宅を購入する人は多く、早いうちから持ち家を手に入れることで、将来的な住居費の節約にもつながります。
また、購入した住宅の土地部分は資産価値が残りやすく、将来的に売却や賃貸に出すことで活用する選択肢もあります。
長期的なコストを考慮すると、賃貸よりもマイホームの方が経済的なメリットを得やすいでしょう。
税制面で優遇されるケースがある
住宅ローンを利用してマイホームを購入する場合、一定の条件を満たせば住宅ローン控除の対象となり、税負担を軽減できます。
特に、18歳以下の子どもがいる世帯や、夫婦のどちらかが39歳以下の世帯は、控除の対象となる借入限度額が高く設定されており、より大きな減税メリットを受けられます。
また、2024年1月からは住宅ローン減税の制度が変更され、省エネ基準を満たすことが新築住宅の条件となりました。
借入限度額は、省エネ性能の水準によって異なり、認定住宅で5,000万円、ZEH水準省エネ住宅で4,500万円、省エネ基準適合住宅で4,000万円となっています。
このように、若年層を対象とした優遇措置が拡充されており、20代や30代でマイホームを購入することで、税制面の恩恵を受けられる可能性が高まります。制度の詳細を確認し、計画的に活用するとよいでしょう
参考:
資産形成が早くから始められる
20代のうちにマイホームを購入すると、住居費の支出が固定され、将来の資産形成を計画的に進めやすくなります。
住宅ローンを組むことで、家賃を払い続けるよりも長期的な資産価値が生まれるため、経済的なメリットも期待できます。また、住宅ローンには団体信用生命保険が付帯することが一般的であり、生命保険の見直しにつながる場合もあります。
さらに、月々の支出を最適化し、余剰資金を貯蓄や投資に回すことで、資産を効率的に増やすことも可能です。
若いうちから資産形成を始めることで、将来の経済的な安定をより確実なものにできるでしょう。
20代でマイホームを購入する際の注意点
以下が20代でマイホームを購入する際の注意点です。
- ライフスタイルの変化に対応しづらい
- 希望する融資額を確保できない場合がある
- 頭金が少ないと総支払い額が大きくなる
順番に解説します。
ライフスタイルの変化に対応しづらい
マイホームを購入すると、賃貸のように気軽に引っ越しをすることが難しくなります。
20代はライフスタイルや価値観が大きく変わる時期であり、将来的に住みたいエリアや間取りの希望が変わる可能性もあります。また、転職や転勤、結婚や出産、さらには離婚といった予測できない出来事によって、住環境のニーズが変化することも考えられます。
そのため、マイホームを購入する際には、長期的なライフプランを見据えたうえで慎重に判断することが重要です。
希望する融資額を確保できない場合がある
住宅ローンの借入額は、現在の収入をもとに決められ、特に「返済負担率」が重要な指標になります。
返済負担率とは、年収に対して住宅ローンの年間返済額が占める割合のことで、一般的に25%〜35%以内が無理のない水準とされています。たとえば、年収400万円の場合、無理のない返済負担率25%を基準にすると、年間の返済額は 400万円 × 25% = 100万円 となり、月々の返済額は 約8.3万円 です。
この条件で35年ローンを組むと、適用金利にもよりますが、借入可能な金額は 約3,000万円前後 になります。
しかし、20代は収入がまだ安定していないこともあり、希望する融資額を満額借りられないケースもあります。将来的な収入増を考慮しつつも、無理のない返済計画を立てることが大切です。
頭金が少ないと総支払い額が大きくなる
20代は30代や40代以上の方と比べ、貯蓄額が十分でないことが多く、頭金として用意できる資金が少ない場合もあります。
頭金を多く用意できないと、借入額を増やす必要があり、結果的に支払い総額が大きくなる可能性があります。また、頭金なしのフルローンで住宅を購入すると、借入額が増える分、利息の負担も大きくなります。
たとえば、頭金を500万円用意できる場合とそうでない場合では、同じ物件を購入しても支払う利息の総額に大きな差が生まれることがあります。
少しでも支払い総額を抑えるためには、頭金を貯める計画を立てて、購入時の諸費用を含めた資金計画をしっかりと考えることが重要です。
20代のマイホーム購入で後悔しない方法
以下が20代のマイホーム購入で後悔しない方法です。
- 無理のない返済計画と立てる
- 資産価値を重視した物件選びをする
- 将来を考えた間取りの設計をする
- その他のコストも計算に入れる
順番に解説します。
無理のない返済計画と立てる
マイホーム購入時は、住宅ローンの返済計画を慎重に立てることが重要です。月々の支払いが収入の25%を超えると、生活費や貯蓄に影響を及ぼす可能性があります。
将来の支出も考慮し、余裕を持った資金計画を立てましょう。特に変動金利のリスクやボーナス払いの負担には注意が必要です。
無理のない返済計画を立てることで、購入後も経済的な余裕が生まれやすいです。
資産価値を重視した物件選びをする
マイホームは住む場所としてだけでなく、将来的に売却や賃貸する可能性も考えて選ぶことが重要です。資産価値の高い物件を選べば、ライフスタイルの変化があった際に有利に活用できます。
資産価値を左右する主な要因は、立地・交通アクセス・周辺環境です。
駅や商業施設が近いエリア、再開発が進む地域などは、将来的な価値が下がりにくい傾向にあります。
将来を考えた間取りの設計をする
マイホームを購入する際は、現在の生活だけでなく、将来の変化も見据えた間取りを設計することが大切です。ライフスタイルや家族構成の変化によって、必要な部屋数や使い方が変わる可能性があるため、柔軟に対応できる間取りを選びましょう。
たとえば、子どもの成長に合わせて仕切れる部屋、テレワークにも使えるスペース、老後も快適に過ごせるバリアフリー設計などを考慮すると、長く快適に住み続けられます。
将来のライフプランに合わせた間取りを選ぶことで、住み替えの必要が出にくく、満足度の高い暮らしが実現できます。
その他のコストも計算に入れる
マイホーム購入では、住宅ローンの返済額だけでなく、維持費やその他のコストも考慮することが重要です。固定資産税、修繕費、管理費、火災保険・地震保険など、購入後に発生する支出を見落とすと、予想以上の負担になる可能性があります。
また、新築の場合でもあとから修繕が必要になり、マンションなら管理費や修繕積立金が年々上がることもあります。
さらに、引っ越し費用や家具・家電の買い替え費用も事前に計算しておきましょう。
20代のマイホーム購入に関してよくある質問
以下が20代のマイホーム購入に関してよくある質問です。
- 20代でも住宅ローンは組める?
- 頭金なしでもマイホームを購入できる?
- 年収が低くてもマイホームを購入できる?
20代でも住宅ローンは組める?
20代でも住宅ローンを組むことは可能です。ただ、年収や勤続年数、返済計画が審査に影響します。
一般的に、安定した収入があり、返済負担率(年収に対するローンの割合)が適正であれば、審査に通りやすくなります。また、若いうちに住宅ローンを組むメリットとして、長期間のローンを組めることや、定年までに完済しやすい点が挙げられます。
頭金なしでもマイホームを購入できる?
頭金なしでもマイホームを購入することは可能です。金融機関によってはフルローン(物件価格の100%を借り入れ)や諸費用ローン(購入にかかる諸費用も含めた借り入れ)を利用できる場合があります。
ただし、頭金を用意しないと借入額が増えるため、毎月の返済負担が大きくなり、総返済額も増える点に注意が必要です。
また、審査が厳しくなる場合もあるため、収入や信用情報に問題がないか事前に確認しておきましょう。
年収が低くてもマイホームを購入できる?
年収が低くても、条件次第でマイホームを購入することは可能です。住宅ローンの審査では、借入額に対する返済負担率(年収に占めるローン返済額の割合)が重視されるため、無理のない範囲で借りることが重要です。
購入費用を抑えるために、コンパクトな住宅や中古物件を選ぶ方法があり、住宅ローン控除を活用することで税制優遇を受け、実質的な負担を減らせる場合もあります。
また、夫婦や家族と共同名義でローンを組むことで、収入を合算し借入可能額を増やすこともできます。
20代のマイホーム購入はメリットも大きい
検討する際は、頭金や年収を把握し、無理のない返済計画を立てることが大切です。
若いうちから住宅ローンを組むことで、定年退職前に完済できる可能性が高まり、老後の住居費負担を大幅に減らせるなど、将来的なメリットも多くあります。
また、住居費を抑えることで、余剰資金を投資や貯蓄に回し、より安定した生活を築くことができます。
一方で、ライフスタイルが変化する可能性など、長期的な視点で慎重に検討することも重要です。
記事監修
小西 啓太
宅地建物取引士
戸建仲介部門一筋で結果を出し続け、2019年より首都圏各地域のエリア統括を歴任。
[メディア出演]サンデー・ジャポン(2014年)首都圏情報ネタドリ!(2020年)、ワールドビジネスサテライト(2020年)
- 2025年3月時点の内容です。














