
住み替えとは?理由や流れ・費用を徹底解説|家の住み替え完全ガイド!
公開日:2025年04月14日
この記事では、家の住み替えについて解説します。
現在の住まいに満足していない人にとって、住み替えは暮らしを変えるための選択肢になります。住み替え時の流れや方法、費用などを事前に把握しておけば、住み替え先での生活がより充実するでしょう。
この記事では、住み替え時の基本的な流れや方法を解説します。売却と購入にかかる費用や活用できる特例についてもお伝えするので、家の住み替えを検討している人はぜひこの記事を参考にしてください。
【この記事でわかること】
- 住み替えとは?
- 住み替えの基本的な流れ
- 住み替えの方法は大きく分けて3種類
- 住み替え時の売却・購入にかかる費用
- 住み替えの際に利用できる特例
- 住宅ローンの残債があっても住み替えは可能
住み替えとは?
ここでは、住み替えについて以下2点から見ていきましょう。
- 住み替えを検討する主な理由
- 住み替えに適したタイミングとは
順番に解説します。
住み替えを検討する主な理由
国土交通省の『住宅市場動向調査報告書』によると、住み替え先の住宅を選んだ理由として以下のものが挙げられています。- 新築住宅であったため
- 価格や家賃が適切であったため
- 一戸建て、もしくはマンションであったため
住み替えで新築住宅を選ぶ人の場合、新築ならではの清潔さや最新設備などを求めて住み替えたと考えられます。また、物件価格や家賃を考慮して住み替え先を検討した人は、それまでの住まいの家賃などに不満があったと予測できるでしょう。
住み替えの理由には、一戸建てやマンションなどの物件種別も含まれます。現在の住まいで不便さを感じる場合、異なる種別の住まいを選ぶことも選択肢の1つになるといえます。※参考:
住み替えに適したタイミングとは
住み替えの理由によって適しているタイミングは異なりますが、転職時や出産、子どもの進学や親との同居など、ライフスタイルが変化するタイミングで住み替える
ケースが多くあります。特に、親との三世代同居を検討している場合、現在の住まいよりも広い住まいへと引っ越すことがあります。また、老後の生活や資産を考慮したタイミングで住み替えすることも1つの方法です。バリアフリー化されたマンションに引っ越したり、子どもへの資産になることを期待して持ち家を購入したりするケースが考えられます。
住み替えの基本的な流れ
ここでは、以下の4点から住み替えの基本的な流れを解説します。
- 資金計画を立てる
- 物件の査定を依頼する
- 内覧前に部屋を掃除・整理整頓する
- 売却契約・購入契約を締結する
順番に見ていきましょう。
資金計画を立てる
住み替えの計画を立てる際には、必要な費用を把握しておきましょう。現在の住まいの売却価格と売却に必要な諸費用をある程度分かっていると、新居の購入費用や家賃を考えやすくなります。また、新居で使用する家具・家電の費用や引っ越し費用も予め計算しておくと、よりスムーズに住み替えを進められます。
物件の査定を依頼する
現在の住まいの市場価値を知るために、不動産会社に査定を依頼しましょう。
適正な価格を把握するためには、複数の不動産会社に査定依頼することがポイントです。また、事前に不動産情報ライブラリなどのポータルサイトを活用して、周辺の物件や類似物件の売却価格を把握しておくと、大まかな査定価格を予測しておけます。内覧前に部屋を掃除・整理整頓する
物件の売却活動中、購入希望者が内覧に訪れます。生活を続けていても、乱雑で掃除されていない住宅より整理整頓されて掃除が行き届いている住宅のほうが、購入検討者に魅力的に見えるでしょう。部屋は清潔に保ち、内覧している人に良い印象を与えられるよう意識することが大切です。
売却契約・購入契約を締結する
売却活用や内覧を経て購入希望者が見つかった場合、売却契約を締結します。合わせて、新しい住まいの購入契約も結ぶ必要があるため、売却契約を締結する頃に新しい住まいが見つかっていることが理想的です。
住み替えの際には、売却活動と新しい住まい探しのスケジュールを調整しながら進めましょう。住み替えの方法は大きく分けて3種類
住み替えの方法には、大きく分けて以下の3種類があります。
- 売却先行で住み替える方法
- 購入先行で住み替える方法
- 売却と購入を同時並行で進める方法
それぞれ見ていきましょう。
売却先行で住み替える方法
現在の住まいを先に売却してから、新しい住まいを探す方法があります。売却価格が確定してから新居の予算を立てられるため、新居での資金計画を立てやすい点がメリットといえます。ただし、売却後に納得がいく新居を見つけられなかった場合、仮住まいが必要です。仮住まいの費用や2回分の引っ越し費用が必要になるため、場合によっては予算を超えてしまうことがあります。
購入先行で住み替える方法
先に新しい住まいを購入、もしくは契約し、その後現在の住まいを売却することも方法の1つです。時間をかけて理想の新居を見つけられ、仮住まいも必要ありません。
ただし、現在の住まいを売却できるまで、元の住まいと新しい住まいの2つの住宅ローン支払いが発生します。また、明確な売却価格を把握できないため、新居にかかる費用を慎重に検討する必要があります。売却と購入を同時並行で進める方法
現在の住まいの売却活動と住まい探しを同時に進める方法もあります。
売却で得た資金を新居の購入資金に充てられ、ダブルローンになる心配がありません。また、仮住まいが不要で引っ越しが一度で済む点もメリットといえます。
ただし、売却と購入のタイミングを合わせることは難しく、スケジュールの調整を慎重に行うことが大切です。住み替え時の売却にかかる費用
ここでは、住み替え時の売却で必要な以下5点の費用を解説します。
- 仲介手数料
- 住宅ローン繰上返済手数料
- 印紙税
- 抵当権抹消費用
- 譲渡所得税
順番に見ていきましょう。
仲介手数料
不動産会社に売却を依頼する際に支払う手数料です。仲介手数料は不動産会社によって異なりますが、上限は以下のように定められています。| 売買価格 | 仲介手数料の上限 |
|---|---|
| 200万円以下 | 売買価額の5.5% |
| 200万円を超え400万円以下 | 〜200万円の部分:売買価額の5.5% 200万円〜の部分:売買価額の4.4% |
| 400万円超え | 〜200万円の部分:売買価額の5.5% 200万円〜400万円までの部分:売買価額の4.4% 400万円〜の部分:売買価額の3.3% |
※参考:
不動産会社に売却を依頼しない場合は仲介手数料が発生しませんが、個人間での不動産取引はトラブルが発生するおそれが大きいといえます。
住宅ローン繰上返済手数料
現在の住まいに住宅ローンが残っている場合、売却時に一括返済することが一般的です。金融機関によっては、繰上返済手数料が発生する場合があります。手数料の有無や金額は契約内容や金融機関によって異なるため、事前に確認が必要です。また、繰上返済の上限額が設けられている場合があるため、合わせて確認しておくと安心です。
※参考:
繰上返済は有利?手数料は?住宅ローンの繰上返済丨一般社団法人 全国銀行協会
印紙税
不動産売買などの金額が大きな取引では、その契約書に印紙税が課せられます。印紙税額は不動産の売買価格によって異なり、以下の通りになっています。
| 売買価格 | 印紙税額 | 2027年3月末までの軽減措置 |
|---|---|---|
| 500万円を超え1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
※参考:
2027年3月までに作成された契約書に対しては、上記の軽減措置が適用されます。
抵当権抹消費用
住宅ローンを利用している場合、物件には抵当権が設定されています。売却時には元の住まいの抵当権を抹消する必要があり、不動産1件あたり1,000円が必要です。また、司法書士などに抵当権抹消手続きを依頼する場合には、報酬として1万5,000円程度の費用が発生します。
※参考:
譲渡所得税
譲渡所得税は、売却によって利益が発生した場合にその利益に対して課される税金です。不動産売却の場合、課税対象になる譲渡所得金額は以下の方法で計算します。
| 課税譲渡所得金額=不動産の売却価格-(売却した不動産の購入代金など+売却のためにかかった費用)-特別控除額 |
|---|
※参考1:
No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)丨国税庁
※参考2:
※参考3:
また、譲渡所得税の税率は、住宅の所有期間によって以下の通り異なります。
| 住宅の所有期間 | 税率 |
|---|---|
| 譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以内の場合 | 30% |
| 譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以上の場合 | 15% |
※参考1:
※参考2:
譲渡した当日ではなく1月1日時点での所有期間であるため、注意しましょう。
住み替え時の購入にかかる費用
ここでは、住み替え時の購入にかかる費用項目を見ていきましょう。
- 不動産登記費用
- 登録免許税
- 住宅ローン事務手数料
- 保証料
- 火災保険・地震保険料
上記5つの項目を順に解説します。
不動産登記費用
新居を購入した際には、所有権を正式に自分のものにするための登記が必要です。不動産登記は複雑な手続きであるため、司法書士や弁護士に依頼することが一般的です。その場合、報酬を含めて20〜30万円程度の費用が発生します。
登録免許税
登録免許税は、不動産登記を行う際に課される税金です。不動産売買の場合に発生する登録免許税は、以下の通りです。| 不動産種別 | 税率 |
|---|---|
| 売買による土地の所有権移転登記 | 固定資産税評価額の2% |
| 売買による住宅用家屋の所有権移転登記 | 固定資産税評価額の0.3% |
※参考:
ただし、土地の所有権移転登記を2026年3月末までに行う場合は、税率が1.5%に緩和されます。また、住宅用家屋の移転登記にかかる税率は2027年3月末までに限られている点に注意してください。
住宅ローン事務手数料
住宅ローンを組む際には、借入先の金融機関へ手数料を支払う必要があります。手数料は金融機関によって異なり、定額で数万円程度の場合や借入額の一定割合(1〜3%程度)である場合などが挙げられます。なお、三大メガバンク(三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行)では、手数料は借入額の2.2%です。
保証料
万が一、契約者が支払いを続けることが難しくなった場合の対策として、住宅ローン契約時には保証会社への加入を必須としている金融機関がほとんどです。ローン契約時に保証料として借入額の2%程度を事前に支払う場合や、金利に上乗せして支払う場合などがあります。金融機関によって支払い方法が異なるため、事前に確認しておきましょう。
火災保険・地震保険料
新居を火事や地震などの災害から守るためには、火災保険や地震保険への加入が推奨されます。特に、火災保険はローン契約時の必須条件としている金融機関が多くあります。
火災保険のみの場合、保険料は5年一括契約で2〜3万円程度が一般的です。地震保険を追加する場合、5年契約で30万円ほどがかかると見込まれます。住み替えの際に利用できる特例
ここでは、住み替え時に利用できる以下4つの特例を見ていきましょう。
- 住宅ローン控除
- 3000万円特別控除
- 買い替え特例
- 譲渡損失が出た場合の特例
順番に解説します。
住宅ローン控除
住宅ローン控除とは、新しい住まいを住宅ローンを利用して取得した場合、要件を満たせば所得税や住民税から一定額が控除される制度です。ただし、後述する3,000万円特別控除との併用はできません。また、新しく取得する住宅が新築であった場合、住宅ローン控除を利用できるのは省エネ性能を持った住宅に限られるため、注意しましょう。
※参考:
3000万円特別控除
3,000万円特別控除とは、マイホームを売却して譲渡所得を得た場合に最高3,000万円を控除できる制度のことです。主に、現在居住している住宅を売却したケースが対象となります。ただし、住み替え時に利用した仮住まいを売却する場合は制度の対象外です。また、別荘など居住が主な目的ではない住宅も対象外となります。
※参考:
買い替え特例
2025年末までにマイホームを買い替えた場合、譲渡所得税を将来に繰り延べられます。ただし、非課税となるわけではないため、注意しましょう。また、買い替え特例を利用すると住宅ローン控除を利用できない場合があるため、活用を考えているときは、フィナンシャルプランナーなどの専門家への相談がおすすめです。
※参考:
No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例丨国税庁
譲渡損失が出た場合の特例
売却価格が低くなってしまったなどの理由で損失が発生した場合、一定の条件を満たせばその年の給与所得などから控除できます。控除しきれなかった損失に対しては、譲渡した年の翌年以降3年以内であれば、繰り越して控除することが可能です。
住宅ローンとの併用もできるため、損失が発生した際の経済的負担を抑えられます。※参考:
No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)丨国税庁
住宅ローンの残債があっても住み替えは可能
現在の住まいで住宅ローン残高がある場合でも、住み替えを実行できます。その場合の方法として、以下3種類が挙げられます。
- 住み替えローン
- つなぎ融資
- ダブルローン
順に見ていきましょう。
住み替えローン
住み替えローンとは、現在の住まいのローン残債と新居の購入資金をまとめて借り入れる方法です。自己資金が不足していても住み替えできるため、住み替え時のスケジュール調整が容易になります。ただし、借入額が大きくなるためローン審査が厳しくなるほか、毎月の返済負担が大きくなるおそれがあります。
つなぎ融資
つなぎ融資は、現在の住まいの売却と新しい住まいの購入のタイミングが合わない場合、一時的な資金を借り入れるための短期ローンです。新しい住まいの購入資金を先に借り入れて、元の住まいを売却したあとに売却資金でつなぎ融資を返済します。ただし、つなぎ融資は短期間での返済が求められて金利も高く設定されることが多いため、計画的な利用が必要です。
ダブルローン
ダブルローンとは、現在の住まいのローンを返済しながら新しい住まいのローンを組む方法です。仮住まいの必要がなく、売却と購入のタイミングを柔軟に調整できる点がメリットといえます。ただし、2つの住宅ローンを同時に返済することになり、月々の返済負担が大きくなるため、収入や返済能力に応じた慎重な検討が必要です。
費用や流れを把握してスムーズな住み替えを実現しよう
この記事では、マイホームの住み替えについて解説しました。
住み替えの際には、元の住まいの売却と新しい住まいの購入のどちらを優先するかによって、資金計画やスケジュールが大きく異なります。住み替えを検討する際には、売却と購入のスケジュールを考慮することが大切です。
また、住み替え時には、売却・購入のそれぞれでさまざまな費用が発生します。スムーズに住み替えを実行するためにも、事前にどのような費用が必要になるのか把握しておきましょう。
記事監修
加藤 健吾
宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター
首都圏10センター以上でのセンター長の他、マーケティング長・総務部長としての経歴も有する。複雑な不動産の資産価値に関し、幅広い知識と経験をもとにアドバイスを提供。
- 2025年3月時点の内容です。














