戸建て住宅の宅配ボックス設置で適用できる補助金は？後悔しないポイントも

物流業界の人手不足や再配達の問題を解消する効果が期待できるため、宅配ボックスは国からの補助金制度の対象になっています。

戸建て住宅に宅配ボックスを設置する際に適用できる補助金として、以下の4つが挙げられます。

• 子育てエコホーム支援事業
• 防災・省エネまちづくり緊急促進事業
• 長期優良住宅化リフォーム推進事業
• 住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業

順番に紹介します。

子育てエコホーム支援事業

子育てエコホーム支援事業とは、物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯に対して、省エネ性能の高い新築住宅の取得や既存住宅の省エネ改修などを支援する制度のことです。

2024年度まで行われており、2025年度からは子育てグリーン住宅支援事業として存続することが決まっています。ただし、対象となる工事の詳細や補助金額についてはまだ公表されていません。

子育てエコホーム支援事業における子育て世帯と若者夫婦世帯とは、以下の条件を満たす世帯のことです。

子育て世帯	令和5年4月1日時点で18歳未満であった子が、申請時点においている世帯
若者夫婦世帯	申請時点において夫婦であり、令和5年4月1日時点でいずれかが39歳以下である世帯

新築住宅を購入する場合に対象になるのは子育て世帯・若者夫婦世帯のみですが、リフォームの場合は子育て世帯・若者夫婦世帯以外にも補助が行われることがあります。

ここでは、子育てエコホーム支援事業について以下の内容を紹介します。

• 対象となる宅配ボックスの種類
• 適用要件
• 補助金額

順番に見ていきましょう。

※参考1：

子育てエコホーム支援事業【公式】

※参考2：

子育てグリーン住宅支援事業について｜国土交通省

対象となる宅配ボックスの種類

対象となる宅配ボックスは、以下の条件を全て満たすものに限定されています。

• 保安性、保管箱の防水性等の機能が確保されていること
• 保管箱の剛性、錠の施錠強さなどの機械的な抵抗力及び安定性が確保されていること
• 使用時の安全性及び保安性が確保されていること
• 表面の抵抗性、部材の耐久性が確保されていること

具体的な対象製品は、対象製品の検索ページから確認可能です。

適用要件

子育てエコホーム支援事業の適用対象になるためには、以下の条件を満たす必要があります。

• 以下の両方に該当する人であること
  • エコホーム支援事業者と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする
  • リフォームする住宅の所有者等である
• 以下のいずれかの工事と同時に行うものであること
  • 開口部の断熱改修
  • 外壁、屋根・天井または床の断熱改修
  • エコ住宅設備の設置
• 補助額の合計が5万円以上であること
• 対象製品であること
• 建材メーカーが発行する性能証明書を提出すること
• 設置箇所の写真を工事前後でそれぞれ1枚ずつ撮影し、アップロードすること

先述したとおり、既存の住宅をリフォームして宅配ボックスを設置する場合は、子育て世帯・若者夫婦世帯である必要はありません。

また、宅配ボックスを設置する工事のほかに、特定の工事を行う必要もあるため注意してください。

※参考1：

対象要件の詳細【リフォーム】｜子育てエコホーム支援事業【公式】

※参考2：

子育て対応改修【リフォーム】｜子育てエコホーム支援事業【公式】

補助金額

宅配ボックスに対する補助金額は、1戸あたり1万1,000円です。

また、特定の工事と組み合わせて行ったときの補助金額の上限は、以下のように定められています。

世帯区分	既存住宅購入・長期優良住宅の有無	1戸あたりの上限額
子育て世帯・若者夫婦世帯	既存住宅の購入＋リフォーム	60万円
	長期優良住宅の認定を受ける増築・改築	45万円
	上記以外のリフォーム	30万円
その他の世帯	長期優良住宅の認定を受ける増築・改築	30万円
	上記以外のリフォーム	20万円

※参考：

対象要件の詳細【リフォーム】｜子育てエコホーム支援事業【公式】

子育て世帯・若者夫婦世帯である世帯に対する補助金は、その他の世帯のものと比較して多く設定されています。

防災・省エネまちづくり緊急促進事業

防災・省エネまちづくり緊急促進事業とは、防災性能や省エネ性能の向上といった緊急的な政策課題に対応した「質の高い建築物」を整備することを目的とした助成金です。

ここでは、防災・省エネまちづくり緊急促進事業について以下の内容を紹介します。

• 対象となる宅配ボックスの種類
• 適用要件
• 補助金額

順番に見ていきましょう。

※参考：

防災・省エネまちづくり緊急促進事業｜国土交通省

対象となる宅配ボックスの種類

防災・省エネまちづくり緊急促進事業では、宅配ボックスの種類や性能は限定されていません。

※参考：

防災・省エネまちづくり緊急促進事業｜国土交通省

適用要件

防災・省エネまちづくり緊急促進事業で補助金が適用されるためには、以下の必須要件を満たす必要があります。

• 高齢者等配慮対策（バリアフリー化）
• 子育て対策（バリアフリー化、防犯性）
• 防災対策（帰宅困難者支援［都市部］、構造安全性）
• 省エネルギー対策（省エネルギー誘導基準への適合）
• 環境対策（リサイクル性への配慮、劣化対策）

また、以下の選択要件を満たすことで、補助金額が増加します。

• 防災対策（帰宅困難者支援［地方部］、延焼遮断、津波に対する構造安全性、雨水対策）
• 環境対策（ライフサイクルコスト、都市緑化、木材利用）
• 子育て対策（遮音性向上、居住環境、共働き世帯支援）
• 生産性向上（BIMの導入）
• 働き方対策（テレワーク拠点の整備）

このほか、住宅部分が下記地域内で実施される事業であることも要件です。

• 三大都市圏の既成市街地、近郊整備地帯又は都市開発区域
• 都市再開発方針の1号市街地、2項地区
• 居住誘導区域内であって、人口密度が40人/ha以上の区域内
• 県庁所在都市等の通勤圏のうち昭和45年国勢調査による人口集中地区または計画地など

宅配ボックスは、選択要件の1つである子育て対策の中の条件の1つです。他にも満たす必要がある条件が多い点に注意してください。

※参考1：

防災・省エネまちづくり緊急促進事業｜国土交通省

補助金額

防災・省エネまちづくり緊急促進事業での補助金額は、必須要件を満たした上で、選択要件が何項目満たされているかによって異なります。

充足する要件	補助金額
必須要件のみ	建設工事費（他の補助事業の対象外）の3%
必須要件＋選択要件の1項目	建設工事費（他の補助事業の対象外）の5%
必須要件＋選択要件の2項目	建設工事費（他の補助事業の対象外）の7%

満たす要件の数によって補助金額は異なります。

※参考：

防災・省エネまちづくり緊急促進事業｜国土交通省

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、既存住宅の適切なメンテナンスによる長寿命化等に資する優良な取り組みに対して支援する制度です。

ここでは、長期優良住宅化リフォーム推進事業について以下の内容を解説します。

• 対象となる宅配ボックスの種類
• 適用要件
• 補助金額

※参考：

長期優良住宅化リフォーム推進事業｜国立研究開発法人 建築研究所

対象となる宅配ボックスの種類

長期優良住宅化リフォーム推進事業では、固定式の宅配ボックスのみが補助対象です。ワイヤーなどで固定できる簡易的なものは対象外となります。

※参考：

令和6年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業
子育て世帯向け改修工事の内容｜国立研究開発法人 建築研究所

適用要件

長期優良住宅化リフォーム推進事業で補助金の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

• 以下のいずれかに該当すること
  • 令和6年4月1日時点で工事発注者が40歳未満である
  • 令和6年4月1日時点、または交付申請時点で18歳未満の子供がいる
• 戸建て住宅等の一住戸の補助対象事業であること
• 補助対象工事について、リフォーム後に事業で定められた要件に合致すること
• 定められた性能、要件等を確認できるカタログ等を提出すること

工事発注者の年齢や子供の有無が条件の1つになっている点に注意してください。

※参考：

令和6年度⻑期優良住宅化リフォーム推進事業
補助対象となるリフォーム⼯事の区分について｜国立研究開発法人 建築研究所

住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業

住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業とは、住宅に困窮する子育て世帯や高齢者世帯などの「住宅確保要配慮者」の増加に対応することを目的とした制度です。

ここでは、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業について以下の内容を解説します。

• 対象となる宅配ボックスの種類
• 適用要件
• 補助金額

順番に見ていきましょう。

※参考：

令和6年度
住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業 交付申請要領｜一般財団法人 住宅保証支援機構

対象となる宅配ボックスの種類

住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業では、宅配ボックスの種類や性能は限定されていません。

※参考：住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業｜一般財団法人 住宅保証支援機構

適用要件

住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業が適用されるための主な要件は以下のとおりです。

• 住宅確保要配慮者専用の住宅として登録される「専用住宅」であること
• 事業による補助を受けた専用住宅として10年以上登録されること
• 入居者の家賃の額が規定の額を超えないものであること
• 入居者（世帯）が以下のような条件に該当する者（世帯）であること
  • 高齢者
  • 障害者
  • 子供を養育している者
  • 被災者
  • 低額所得者
  • 外国人 など
• 地方公共団体の空家対策計画などにおいて、空家の住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅への有効活用などの推進が位置づけられていること など

より詳しい条件は、事業サイトで確認してください。

※参考：

令和6年度
住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業 交付申請要領｜一般財団法人 住宅保証支援機構

補助金額

補助金額は、改修工事に要する費用の3分の1以内の金額です。

また、補助限度額は1戸あたり50万円ですが、他に特定の補助対象工事を実施する場合は最大で200万円まで補助されます。

※参考：

令和6年度
住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業 交付申請要領｜一般財団法人 住宅保証支援機構

戸建て住宅に設置する宅配ボックスで後悔しないためのポイントは、主に以下のとおりです。

• 設置場所に合った種類を選ぶ
• 素材の特徴を理解する
• 大きめのサイズを選ぶ
• セキュリティの高い施錠方法を選ぶ
• 利便性を高めるなら押印機能付きのものを選ぶ

順番に詳しく解説します。

設置場所に合った種類を選ぶ

宅配ボックスには、埋め込み型や設置型、簡易型などさまざまなタイプがあります。設置場所のスペースや家のデザインに合わせて適切な種類を選ぶことが大切です。

宅配ボックスの種類は、主に以下のとおりです。

種類	概要
簡易型	施錠できる箱を玄関前に設置し、ワイヤーやチェーンで固定するタイプ
設置型	玄関先や門柱の近くに常設するタイプ
機能門柱型	宅配ボックスや郵便受け、表札、インターホンなどが一体化したタイプ
壁埋め込み型	建物の外壁や塀に埋め込むタイプ
貫通型	玄関付近の壁を貫通させて室外から荷物を入れて室内から取り出せるタイプ

たとえば、玄関周りに十分なスペースがない場合は、コンパクトな形にしやすい簡易型や壁埋め込み型にすると、玄関前を有効活用できるでしょう。

また、玄関前の庇が小さいなどの理由で天候の影響が気になる場合は、簡易型ではなく機能門柱型や貫通型などの耐久性が高いタイプがおすすめです。

素材の特徴を理解する

宅配ボックスの素材には、金属製やプラスチック製、布製などがあります。素材によって向き不向きがあるため、特徴を理解した上で選択することが重要です。

それぞれの特徴は以下のとおりです。

素材の種類	長所	短所
金属	・耐久性・防犯性が高く、屋外設置に適している ・耐候性があり、長期間使用できる	・重量があり設置がやや難しい ・価格が高め ・一度設置すると変更しづらい
プラスチック	・軽量で設置しやすい ・比較的安価 ・デザインのバリエーションが豊富	・耐久性・防犯性が金属製に比べて劣る ・紫外線や経年劣化の影響を受けやすい
布	・低価格 ・使用しないときはコンパクトに片付けられる	・雨風に弱く、強風時に飛ばされるリスクがある ・耐久性が低く、長期間の使用には不向き

金属製は耐久性や防犯性に優れていますが、価格が高めです。

プラスチック製は軽量で設置が容易ですが、耐久性に劣る場合があります。布製の簡易型は手軽に導入できますが、防犯性や耐久性の面で注意が必要です。

それぞれの素材の特徴を理解した上で、自分に合ったものを選択してください。

大きめのサイズを選ぶ

宅配をよく依頼する物がある人は、その物が入るサイズがおすすめです。もし、よく宅配する物が特にない場合は、少し大きめのサイズを選ぶと良いでしょう。

宅配ボックスが小さすぎると、大きな荷物が入らず、結局再配達を依頼することになります。

一般的に、100サイズの段ボールが入る大きさであれば汎用性が高いと言えます。しかし、より大きなサイズの段ボールに入る荷物も宅配ボックスに配達して欲しい場合は、120サイズまで対応しているとより便利でしょう。

特に、ネットショッピングで大型の商品を注文することが多い場合は、余裕のあるサイズを選ぶと安心です。

セキュリティの高い施錠方法を選ぶ

防犯性を高めるために、セキュリティの高い施錠方法を選ぶことをおすすめします。施錠方法は主に以下の3種類が挙げられます。

• 鍵
• 南京錠
• 暗証番号

鍵や南京錠は紛失するリスクがある一方、暗証番号の伝達ミスで解錠できないリスクがあります。

鍵をなくしがちな人は暗証番号タイプを選び、番号を覚えておくことが苦手な人は鍵や南京錠タイプを選ぶなど、自分に合った施錠方法でセキュリティを高めましょう。

利便性を高めるなら押印機能付きのものを選ぶ

受領印が必要な荷物が届いたときでも宅配ボックスを利用したい場合は、押印機能付きのものを選ぶのがおすすめです。

宅配ボックスに押印機能がなかったり印鑑を入れていなかったりすると、受領印が必要な荷物の配達時に不在だと受け取れません。宅配ボックスを設置した意味がなく、再配達の手間がかかります。

押印機能付きのものの中には、紙を差し込んでボタンを押すと押印できるタイプもあれば、印鑑を中にセットして宅配業者の人が押すタイプもあります。

ここでは、戸建て住宅の宅配ボックスに関するよくある質問に回答します。

• 宅配ボックスを置く場所がないときの対策は？
• 宅配ボックスの荷物の盗難を防ぐには？
• 宅配ボックスはあとから設置した方がよい？

疑問を解消しましょう。

宅配ボックスを置く場所がないときの対策は？

設置スペースが限られている場合、以下の対策を検討してください。

• 壁掛けタイプの宅配ボックスを選ぶ
• 郵便受けと宅配ボックスが一体化した製品を選ぶ
• 簡易型の宅配ボックスを選ぶ

上記のタイプは、いずれも地面のスペースを取らないのが特徴です。

特に、使用時のみ設置して未使用時は折りたたんで収納できる簡易型は、置く場所の問題が起こりにくいといえます。

宅配ボックスの荷物の盗難を防ぐには？

荷物の盗難を防ぐためには、以下の対策が効果的です。

• 暗証番号式や鍵式の施錠機能がある宅配ボックスを選ぶ
• 宅配ボックスの近くに防犯カメラを設置する
• 金属製などの耐久性の高い素材を選ぶ
• 固定式・埋め込み式の宅配ボックスを選ぶ

宅配ボックスの荷物を盗まれないようにするためには、施錠機能があるものや防犯カメラと組み合わせることで、抑止力を働かせることが重要です。

宅配ボックスの荷物が盗難されるケースとしては何らかの手段で解錠されるケース以外に、鍵穴が破壊されたり宅配ボックスごと持ち去られたりすることもあります。

そういった被害に遭わないためには、金属製などの耐久性の高い素材のものや固定式・埋め込み式のものを選択すると良いでしょう。

宅配ボックスはあとから設置した方がよい？

宅配ボックスはあとから設置してもよいですが、新築時に設置するほうがよいでしょう。

後付けの設置は、新築時の費用を抑えられたり、宅配の利用頻度が増加して必要性を感じたら設置できたりする点は魅力です。

しかし、壁に埋め込むタイプや貫通させるタイプを選びにくい点はデメリットといえます。

新築時に設置することで、建物のデザインや配線計画と統一感を持たせられ、設置場所の確保も簡単です。

宅配ボックスを設置することで、再配達の手間を省け、荷物の受け取りをスムーズに行えます。設置場所に合った種類を選ぶことが大切で、スペースが限られている場合は簡易型やポスト一体型が適しています。

設置費用が気になる場合は、補助金制度を活用する方法もあります。子育てエコホーム支援事業や長期優良住宅化リフォーム推進事業などの要件を満たせば、一定の資金補助を受けられます。

宅配ボックスを導入する際は、設置場所や防犯性、サイズ、補助金制度などの観点を踏まえて、自宅に合った最適なものを選びましょう。

• 2025年3月時点の内容です。