この記事では、不動産売買契約書に収入印紙が必要か解説します。
収入印紙とは、印紙税やその他の税金、手数料などを支払うために使用される証票を指します。不動産売買契約書を作成する際は、収入印紙が必要なケースと不要なケースがあります。
必要があるにもかかわらず収入印紙を貼り付けなかった場合は、過怠税が課されるおそれがあるため注意が必要です。
この記事では、不動産売買契約書における収入印紙の入手方法や印紙代を抑えるポイントも解説します。収入印紙について詳しく知りたい人は、ぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
また、収入印紙は国に対して税金を納めるために利用されます。
一方、似た名前の「収入証紙」は都道府県や市区町村などの地方公共団体に対して税金を納めるために利用されますが、2つは別のものである点に注意が必要です。
収入印紙が必要になる課税文書の中から主な種類を挙げると、以下のとおりです。
上記のような課税文書に対して、1円から10万円までの31種類の収入印紙を組み合わせることで、必要な金額を納付します。
※参考:
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
契約書に記載された金額に応じた収入印紙を貼り付ける必要があります。
ここでは、収入印紙に関する以下の2項目を解説します。
収入印紙が不要なケースとして、主に以下が挙げられます。
不動産売買契約書に対して印紙税が課されるのは、契約金額が1万円以上の場合です。不動産売買契約で1万円未満のケースは非常に限られていますが、収入印紙を貼付する必要はありません。
また、電子契約の場合も収入印紙を貼付する必要はありません。印紙税が課される対象は、用紙等に課税事項などが記載された「課税文書」です。電子契約は、紙の文書ではなく電子データで課税文書の作成に該当しないため、課税対象ではありません。
したがって、収入印紙を貼り付ける必要もないといえます。
※参考:
多くの場合、不動産売買契約書は売主と買主のそれぞれ1通作成します。契約書1枚につき収入印紙は1枚必要で、合わせて2枚の収入印紙を購入する必要があります。
つまり、各自が今後保管する分の契約書の収入印紙を自分で負担することが一般的です。
不動産売買契約書に収入印紙を貼らない場合、以下のリスクが生じるおそれがあります。
収入印紙を貼らなくても契約の効力には影響せず、契約内容は有効です。
しかし、印紙税法に違反するので税務署から調査が入ったり、追納を求められたりするリスクがあります。例えば、1万円の印紙税を納める必要がある場合、2万円の過怠税が追加で課され、合計3万円を支払うことになるでしょう。
ただし、税務調査前に自主的に申告した場合、本来納めるべき印紙税額とその1割の金額の過怠税へと大きく減額されます。
収入印紙を貼った後、印紙と契約書の両方にかかるように消印を行うことが必要です。
消印を忘れたり不適切な方法で行ったりすると、印紙税法上の不備とみなされて印紙税額と同額の過怠税が課されることがあります。例えば、1万円の印紙を貼って消印を忘れた場合、1万円の過怠税が追加で課されます。
ここでは、不動産売買契約書の作成時に必要な収入印紙の入手方法を紹介します。
収入印紙は上記の場所で購入可能です。順番に見ていきましょう。
営業時間は通常平日の9時から17時までです。一部の郵便局では「ゆうゆう窓口」を設置しており、平日の21時までや土日でも購入可能な場合があります。
ただし、法務局の数は少なく、営業時間も平日の8時30分から17時15分までと限られています。事前に最寄りの法務局の場所と営業時間を確認しておくと良いでしょう。
高額な収入印紙が必要な場合は郵便局や法務局に行く必要があるため、不動産売買契約書に貼り付ける収入印紙はコンビニよりも法務局や郵便局で入手するのがおすすめです。
不動産売買契約書に必要な印紙税額は、書面に記載された契約金額によって異なります。
また、令和9年(2027年)3月31日までに作成される不動産売買契約書については、軽減税率が適用されます。軽減税率適用後の印紙税額を一覧表にすると、以下のとおりです。
契約金額 | 軽減税率適用後の印紙税額 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 |
10万円超50万円以下 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 6万円 |
5億円超10億円以下 | 16万円 |
10億円超50億円以下 | 32万円 |
50億円超 | 48万円 |
※参考1:
No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
※参考2:
No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
例えば、契約金額が5,000万円の場合、必要な収入印紙の額は1万円となります。
ここでは、不動産売買契約書に必要な印紙税を抑えるコツとして、以下3点について解説します。
先述したとおり、2027年(令和9年)3月31日までに作成される契約書で、記載金額が10万円を超えるものが対象です。例えば、契約金額が1,000万円を超え5,000万円以下の場合、通常の印紙税額は2万円ですが、軽減措置を適用すると1万円となります。
本来の税額から半分程度まで軽減できるので、利用したほうが良いといえます。
例えば、総額5,500万円(税込)の契約を結ぶときを考えます。
「本体価格5,000万円、消費税額500万円」と明記すると、印紙税は本体価格5,000万円に対して課され、軽減税率適用後で1万円となります。
一方、総額のみ記載した場合、総額5,500万円に対して印紙税が課され、軽減税率適用後で3万円となります。
現行の印紙税法では、課税対象となる書類は紙の書面に限定されており、PDFファイルやクラウドなどの電子データによる契約は課税対象外になっています。
契約金額が5,000万円以下の不動産売買契約書を締結する場合、軽減税率を適用しても紙の契約書であれば印紙税額は1万円である一方、電子契約であれば0円です。
ここでは、不動産売買契約書の印紙に関するよくある質問を紹介します。
複数の収入印紙を貼り付ける場合は、1ヶ所にまとめ、文書の文字部分に被らないように貼ることが重要です。
貼付後は、収入印紙と契約書の両方にかかるように消印を行い、再利用を防止してください。
また、収入印紙を現金に交換することはできません。
一方、課税文書に過大な金額の収入印紙を貼ってしまった場合は、期限内であれば税務署で還付手続きを行うことが可能です。「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」を作成し、過誤納となった文書とともに所轄の税務署に提出してください。
※参考:
印紙税の負担については特に法律で明確な決まりはありませんが、一般的には売主と買主のそれぞれが、自身が保有する契約書にかかる印紙税を負担します。
収入印紙は、主に郵便局で購入するのが便利です。軽減税率を適用して必要な金額を把握した上で、収入印紙を契約書に貼り付けましょう。
記事監修
宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
最新のトレンドや法改正を踏まえ、円滑な住宅売買に向けた仕組み作りと前線でのサポートを実践する。「ちんたいグランプリ(旧・不動産甲子園)」 2020年度・2022年度特別賞。
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