マンションと戸建てはどちらがいい？費用や住みやすさなどを徹底比較

ここでは、マンションのメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。1つずつ解説します。

マンションのメリット

マンションに居住する主なメリットとして、以下が挙げられます。

• 利便性が高い立地
• 防犯性が高いセキュリティ
• 充実した設備
• 管理の手軽さ

マンションの場合、駅や商業施設などの周辺に位置していることが多く、通勤・通学や買い物の際に利便性が高い立地だといえます。また、そのような人通りが多い場所に位置していても、オートロックや管理人の常駐など安全面での設備が充実しているため、セキュリティが高い家で生活できるでしょう。

マンションによっては安全設備のほかにも、フィットネスジムやラウンジなどの設備を利用できる場合がありますが、それらを含む共用部の管理は必要ない点がメリットの1つとして挙げられます。

マンションのデメリット

一方、マンションに居住する場合は以下のようなデメリットを考慮しましょう。

• 家賃以外の支払いが毎月発生する
• リフォームや改装の制約がある
• 完全なプライバシーを確保しにくい
• ペットを飼育できない場合がある

マンションの場合、自身でメンテナンスをする必要はありませんが、月ごとに管理費を支払う必要があります。修繕積立金も合わせて発生することが多く、家賃以外の出費が毎月発生する点は経済的な負担が大きくなるといえます。

また、リフォームやDIYなどの改装を行う場合、専有部分であっても制約が生じるおそれがあるため、必ず管理人などに確認しておきましょう。

マンションの場合、隣や上下で他の住人が生活しています。互いに迷惑にならないよう生活音に気を遣う必要があり、完全なプライバシーの確保は難しいでしょう。

特に、犬や猫などを飼いたい場合でも、騒音や匂いなどの理由からペットの飼育を制限しているマンションがあるため、入居前に確認しておくことが大切です。

ここでは、戸建て住宅のメリットとデメリットを解説します。それぞれ順に見ていきましょう。

戸建てのメリット

戸建て住宅のメリットは主に以下4点です。

• 広い居住スペース
• 自由度の高いリフォームや増築
• プライバシーの確保
• 家族用の庭や駐車場

一般的に、戸建て住宅はマンションよりも間取りが広い傾向にあります。家族の人数が多い家庭や家族それぞれが広い個室を持ちたい家庭の場合、戸建て住宅が向いていることが多くあるでしょう。

また、戸建て住宅で持ち家の場合、居住者が家の所有者であるため、リフォームや増築の制限は基本的にありません。三世代での同居やバリアフリー化リフォームにも対応しやすいでしょう。

加えて、家の前後や周辺に庭や駐車場を確保できる点も、戸建て住宅ならではの魅力だといえます。

戸建てのデメリット

一方、戸建て住宅には以下のようなデメリットがあります。

• メンテナンスの負担が大きい
• セキュリティに不安が生じる
• 立地条件に制約がある
• 生活動線が複雑になりやすい

管理人が修繕を担当するマンションとは異なり、戸建て住宅の場合は自分で住居のメンテナンスを実施する必要があります。木造住宅の場合はメンテナンスに50年間で500万円がかかるとされており、マイホーム購入後の生活が落ち着いた頃から積み立てておくことが大切です。

また、マンションと比較するとセキュリティ性が低いことが多く、建築時や建築後に必要な防犯を自身で選択することがポイントです。土地価格によっては希望する立地で家を購入できない場合があり、特に駅や大型商業施設などの周辺は土地代が高額になる傾向があります。

生活フロアが1つの階に集約されるマンションとは異なり、2階建て住宅の場合は間取りを工夫しないと、家事や育児の際に階段を行き来する手間が生まれる点にも注意しましょう。

ここでは、マンションと戸建ての購入時にかかる費用を解説します。

• 物件価格が安いのはどちら？
• 頭金や諸費用を少なくするならどちらを選ぶべき？
• 住宅ローンを組みやすいのはどちら？
• 税金や初期費用を抑えたいならどちらが向いている？

上記4点から比較して見ていきましょう。

物件価格が安いのはどちら？

物件価格は物件種別によって異なります。国土交通省の『令和5年度 住宅市場動向調査』によると、注文住宅と建売住宅、分譲集合住宅の物件価格は以下のようになりました。

	物件種別	価格
戸建て	注文住宅	5,811万円
	建売住宅	4,290万円
マンション	分譲集合住宅	4,716万円

※参考：

令和5年度 住宅市場動向調査報告書丨国土交通省

この調査では、戸建ての建売住宅よりもマンション（分譲集合住宅）のほうが、価格が高いという結果になりました。ただし、物件の販売価格には立地や専有面積の広さ、築年数なども影響するため、一概に戸建てとマンションのどちらが安いかは断定できません。

頭金や諸費用を少なくするならどちらを選ぶべき？

頭金は戸建てやマンションに関わらず、物件価格の10％程度を用意しておくことが理想とされています。一方、諸費用の物件価格に対する割合は、物件によって以下のように目安が異なります。

	物件種別	物件価格に対する諸費用の割合
戸建て	注文住宅	7〜10％
	建売住宅	5〜10％
マンション	新築マンション	3〜6％
	中古マンション	6〜10％

上記の表より、諸費用はマンションのほうが抑えやすいといえますが、契約者の家計状況や年収などによって左右されるでしょう。

また、種別によって諸費用の割合目安が異なるのは、必要な手続きや費用項目が異なるためです。

住宅ローンを組みやすいのはどちら？

戸建てとマンションのどちらが住宅ローンを組みやすいかは、一概にはいえません。住宅ローン審査においては、物件の種類よりも購入者の収入やこれまでの信用情報、年収に対する借入額の割合などが重視されるからです。

ただし、マンションは物件価格のほかに管理費や修繕積立金が毎月発生するため、これらの費用も考慮してローン返済計画を立てることがポイントです。

税金や初期費用を抑えたいならどちらが向いている？

戸建て住宅を取得する場合、建物と合わせて土地を購入する必要があります。土地の登記費用や不動産取得税などが発生し、購入時の初期費用が大きく感じられるでしょう。

一方、マンションであれば土地部分の持分が小さいため、戸建て住宅よりも税額が低くなるケースが一般的です。

ここでは、マンションと戸建てをランニングコストと維持費の観点から比較して解説します。

• 維持費を安くするならどちらがベスト？
• ランニングコストを減らすならどちらを選ぶべき？
• 税金負担が少ないのはどちら？

上記3点から順に見ていきましょう。

維持費を安くするならどちらがベスト？

マンションの場合、毎月管理費や修繕積立金などを支払う必要があります。国土交通省の『令和5年度 マンション総合調査』によると、令和2年以降の1戸あたりの管理費は21,233円となりました。また、修繕積立金の平均額は1ヶ月あたり13,054円でした。一方、戸建て住宅の場合、住宅ローンを完済すれば固定資産税以外のランニングコストは基本的に発生しません。維持費を抑えやすいのは、戸建てだといえます。

ただし、10年に1度などの頻度で大規模なメンテナンスが必要になるため、事前に積み立てておく必要があります。

※参考1：

令和5年度 マンション総合調査 管理組合向け調査の結果丨国土交通省

※参考2：

令和5年度 マンション総合調査結果からみたマンションの居住と管理の現状丨国土交通省

ランニングコストを減らすならどちらを選ぶべき？

先述の通り、マンションの場合は家賃に加えて管理費や修繕積立金が毎月発生します。加えて、マンションの駐車場を利用する場合はその利用料も必要です。

一方、戸建て住宅の場合はこれらの費用がかかりません。駐車場も敷地内のものを使用すれば、車の買い足しがあったときもすぐに対応できます。

税金負担が少ないのはどちら？

毎年課税される固定資産税は、土地と建物の双方の評価額に基づいて計算されます。戸建て住宅は土地の占有面積が大きい分、固定資産税が高くなるおそれがあります。

一方、マンションは土地部分の持分が少ないため、戸建てに比べて固定資産税を抑えられるでしょう。ただし、マンションに主に使用される鉄筋・鉄骨コンクリート造は、戸建てに使用される木造よりも評価額が高くなるケースが多いため、建物にかかる固定資産税が高くなることがあります。

ここでは、マンションと戸建てを以下3点から比較して解説します。

• 土地の資産価値を重視するならどちらが有利？
• 建物の価値が下がりにくいのはどちら？
• 将来的に売却しやすいのはどちら？

順番に見ていきましょう。

土地の資産価値を重視するならどちらが有利？

戸建ての場合、建物と土地を個人が合わせて所有するため、土地の資産価値が不動産の価値に影響しやすくなります。土地は建物に比べて、時間が経過するごとに価値が低下するケースが少なく、開発や商業施設の開業などがあると価値が高まるケースも考えられます。

一方、マンションは土地をすべての住戸で共有するため、土地に対する個々の持分が少ない点が特徴です。資産価値は直接的に反映されにくいでしょう。

建物の価値が下がりにくいのはどちら？

戸建てには木造の構造が採用されるケースが多くありますが、その法定耐用年数は22年と定められています。一方、マンションに使用される鉄筋・鉄骨コンクリート造は、法定耐用年数が47年です。

建物の評価額は法定耐用年数の影響を受けやすいため、価値が下がりにくいのはマンションだといえます。

※参考：

主な減価償却資産の耐用年数表丨国税庁

将来的に売却しやすいのはどちら？

一般的に、築年数が浅いうちはマンションのほうが売却しやすい傾向がありますが、築年数が経過すると戸建て住宅のほうが売却しやすくなるでしょう。戸建て住宅は土地の評価の影響を受けやすく、土地は時間が経過してもその価値が落ちにくいためです。

ただし、駅から近いマンションや人気の商業施設の周辺にあるマンションの場合、築年数が経っていても売却できる可能性は高くなります。また、戸建てでも、元の所有者好みで万人受けしにくいデザインであれば、売却が難しい場合があります。

ここでは、マンションと戸建てを暮らしやすさから比較しましょう。

• 利便性を重視するならどちらが便利？
• 騒音やプライバシーを気にするならどちらが快適？
• 日当たりや風通しの良さを求めるならどちらが向いている？
• 防犯・セキュリティ面で安心できるのはどちら？

上記4点から解説します。

利便性を重視するならどちらが便利？

一般的に、マンションは駅や商業施設の近くに建てられるケースが多く、通勤・通学や買い物に便利な立地が多いといえます。​一方、戸建て住宅は郊外や住宅街に位置している場合が多いため、日常生活に不便さを感じることがあるでしょう。

静かな環境を求める人には郊外の戸建てが向いていますが、一般的にマンションのほうが利便性が高いといえます。

騒音やプライバシーを気にするならどちらが快適？

マンションは左右や上下、構造によっては向かいに他の住人がいるケースがほとんどです。響きやすい構造であることや距離がなく隣り合っていることなどから、騒音やプライバシーの面で不満を抱きやすいといえます。

最近のマンションは防音性が高いものが多く用意されていますが、近隣の家から十分な距離を確保できる戸建てのほうが、騒音やプライバシーが気になりにくいでしょう。

日当たりや風通しの良さを求めるならどちらが向いている？

戸建ての場合、設計の段階で窓の数や位置を工夫すれば、日当たりや風通しを確保しやすくなります。建売住宅の場合は、午前中や午後の早い時間帯など明るいタイミングで内見に訪れ、風通しと日当たりをチェックすることがポイントです。

一方、マンションでも、高層階や角部屋であれば日当たりと風通しが良いでしょう。ただし、中央階の場合は窓が少ないケースが多く、日中に日差しが差し込まなかったり十分な風通しを得られなかったりすることがあります。

防犯・セキュリティ面で安心できるのはどちら？

マンションの場合、オートロックや管理人の常駐など、防犯設備が充実していることがほとんどです。一人暮らしの女性や子育て世代の家庭でも、セキュリティの面で安心感を得られるでしょう。

一方、戸建て住宅は個人で防犯に取り組む必要があります。防犯カメラの設置やホームセキュリティへの加入など、各家庭で必要な対策を話し合ったうえで取り入れましょう。

ここでは、以下3つのライフステージから、マンションと戸建てのどちらを選ぶといいか解説します。

• 単身者の住みやすさ
• 子育てのしやすさ
• 老後の住みやすさ

それぞれ順に見ていきましょう。

単身者の住みやすさ

単身者には、マンションのほうが向いているといえます。

マンションは駅や商業施設の近くに位置していることが多く、通勤や買い物をするうえで利便性を得られます。また、共用部分の掃除や設備の維持は基本的に管理人が担当するため、普段の掃除の手間を省けるでしょう。

一方、郊外の静かな環境を好む人には、戸建てがおすすめです。ただし、戸建てはマンションに比べて床面積が広いことが多く、掃除や維持の手間がかかるといえます。

子育てのしやすさ

マンションと戸建てのどちらが子育てしやすいかは、子育てで何を重視するかによって異なります。

マンションの場合、共用施設としてキッズルームが設けられている場合があり、子ども同士が交流しやすい環境です。親同士も同じマンションに住んでいるため、互いにサポートしながら子育てができます。

ただし、上下左右に住戸があるため、子どもの泣き声や足音などに気を遣う必要があるほか、親同士と子ども同士の人間関係にも配慮する必要があるでしょう。

一方、庭がある戸建ての場合、自宅の敷地内で子どもを自由に遊ばせられます。近隣住宅との距離もあるため、生活音の心配も抑えられます。

ただし、周辺に子育て世帯がいない場合、孤独や不安を感じやすいという点に注意しましょう。

老後の住みやすさ

老後の生活には、戸建てよりもマンションが向いています。

マンションにはエレベーターが設置されているため、足腰に不安がある人でも容易に移動しやすい点が特徴です。また、設備の維持管理は基本的に管理人が対応するため、個人の負担を抑えられます。

一方、2階以上の部分がある戸建て住宅の場合、日常生活で階段の上り下りが発生します。自由な改装が可能であるため、バリアフリー化リフォームを実施できますが、費用負担が大きくなる点に注意しましょう。

ここでは、マンションと戸建てのそれぞれに向いている人の特徴を解説します。

• マンションが向いている人
• 戸建てが向いている人

1つずつ見ていきましょう。

マンションが向いている人

マンションは以下の人におすすめです。

• 利便性を重視する人
• 充実したセキュリティを求める人
• メンテナンスの手間を省きたい人

特に、毎日の通勤・通学時間を削減したい人には、駅やバス停からのアクセスがいいマンションがおすすめです。通勤や通学にかかる時間が減ると、その分を自由な時間に活用できるため、家族で団らんする時間や個人で趣味を楽しむ時間を獲得しやすいでしょう。

戸建てが向いている人

戸建てが向いている人の特徴は以下の通りです。

• 自由にリノベーションしたい人
• プライバシーを重視する人
• 車を所有している人

マンションの場合、駐車場の利用には別途費用が発生するケースがほとんどです。また、買い足しがあった場合には、都度追加費用がかかります。

戸建てなら、自宅の敷地内に駐車場を用意できるため、所有する車の数が増えても安心して対応できます。毎月駐車場利用料を支払う必要もないため、ランニングコストの削減にも繋がるでしょう。

この記事では、マンションと戸建てのどちらがいいかを解説しました。

マンションと戸建てには、それぞれメリットとデメリットが存在します。マンションは利便性が高く税金を抑えた生活ができますが、戸建てでは、プライバシーを確保したうえで、自由なリフォームや増築が可能です。

発生する初期費用やランニングコストも異なるため、必要であれば事前のシミュレーションをおすすめします。また、実際のモデルハウスやモデルルームなどを見学し、どちらの間取りが自分に合っているか判断することもおすすめです。

• 2025年3月時点の内容です。