
高度地区とは?高さ制限や土地購入の注意点を解説
公開日:2025年11月29日
土地探しをしていると、高度地区という言葉を耳にすることがあるかもしれません。制限がある土地は避けたほうが良いのではと不安になる人もいますが、高度地区は住環境を守るためのルールです。
この指定があることで、日当たりや景観が守られるメリットがあります。一方で、知らずに購入すると希望の3階建てが建てられないといったトラブルになる可能性もゼロではありません。
この記事では、高度地区の種類やメリット、デメリットを解説します。土地購入の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
また、マイホームの購入を検討している方には、当サイトへの会員登録がおすすめです。
当サイトに会員登録すると、閲覧できる物件数が大幅に増え、会員限定物件の情報をいち早く得ることができます。
会員登録は1分ほどで完了いたしますので、ぜひ会員登録してオープンハウス限定物件をご確認ください。
高度地区とは?

高度地区とは、都市計画法に基づき建物の高さの最高限度または最低限度を制限する地区のことです。
日照や風通しを守り、住みやすい街を保つ目的で指定されます。対象エリアでは自分の土地であっても、自治体が定めた高さのルールに従わなければなりません。
制限には「最高限度」と「最低限度」の2種類があります。住宅地では、最高限度を定めているのが一般的です。高度地区の制限内容は自治体ごとに異なるため、家を建てる際は必ず該当する市区町村の規定を確認しましょう。
ここでは、高度地区について以下の3つを解説します。
- 高度地区を指定する目的
- 高度地区の分類
- 高度地区と高度利用地区の違い
高度地区を指定する目的
高度地区を指定する目的は、住環境の保護と土地の効率的な利用にあります。
建物の高さを抑えることで隣家への日照や風通しを確保でき、突然高層ビルが建って日照権トラブルになる事態を防げます。圧迫感のない落ち着いた街並みを維持する仕組みといえるでしょう。
一方、駅前や都心部では土地の有効活用を促すため、最低限の高さを定めるケースもあります。都市機能を集約し、建物の高さを揃えることで景観や防災性の向上も期待されています。
高度地区の分類
高度地区は、最高限度高度地区と最低限度高度地区の2つに分けられます。
日本の住宅地で多いのは最高限度高度地区で、建物の高さの上限を定めるものです。日照・通風・景観を守るために指定され、北側斜線や道路斜線と組み合わせて建物の形状を制限することもあります。
対して最低限度高度地区は、建物の高さを一定以上にすることを求める規制です。駅前の再開発エリアや商業地など、土地を高度に活用するために指定されます。一般的な戸建て住宅地で見かけることはほとんどありません。
高度地区と高度利用地区の違い
高度地区と名前がよく似ている高度利用地区ですが、目的や規制の内容が異なります。
高度地区が建物の高さそのものを制限して環境を守るのに対し、高度利用地区は容積率や建ぺい率などの制限を調整・緩和し、大規模な建築を誘導するものです。
たとえるなら、高度地区は街並みの変化を抑えて守るブレーキ、高度利用地区は都市開発を促進して街を成長させるアクセルといえるでしょう。混同しやすい制度ですが、何を制限し何を誘導しているかという視点で区別すると理解しやすくなります。
高度地区の主な種類・区分

高度地区は第一種や第二種といった区分で管理されますが、規制内容は自治体によって大きく異なります。
第一種から第三種のみの自治体もあれば、さらに細分化されている地域もあり、高度地区自体を指定していないエリアも存在します。一般的には第一種が最も制限が厳しく、大きくなるにつれて緩和される傾向ですが、具体的な数値や運用は自治体ごとに異なります。
ここでは、東京都渋谷区を例に各区分の特徴について4つ解説します。
- 第一種高度地区
- 第二種高度地区
- 第三種高度地区
- その他
なお、同じ名称でも自治体ごとに基準は異なるため、購入予定エリアの規定を必ず確認してください。
第一種高度地区
第一種高度地区は、高度地区の中でも特に高さ制限が厳しいエリアです。主に低層住宅が中心の住宅街で指定され、静かで落ち着いた住環境を守ることを目的としています。
渋谷区では、北側の道路や隣地からの距離に応じて「高さ≦真北方向の水平距離×0.6+5m」という北側斜線制限がかかります。
そのため、敷地条件によっては一般的な3階建て住宅をそのまま建てることが難しい場合があります。計画の初期段階で建物のボリュームを検討しておくことが重要です。
第二種高度地区
第二種高度地区は、第一種よりも制限がやや緩和されたエリアです。戸建て住宅に加え、低層マンションやアパートなども多く見られます。
渋谷区では、北側斜線が「高さ≦水平距離×1.25+5m(8mまで)」「高さ≦0.6×(距離−8m)+15m(8m超)」と定められています。
第一種に比べて、同じ距離でもより高い建物を建てられるよう緩和されており、敷地境界から一定の距離までは高さを確保しやすい形です。一般的な2階建て住宅であれば比較的自由に建てられ、条件次第では3階建ても計画できるでしょう。
第三種高度地区
第三種高度地区は、第1種や第2種に比べてさらに高さ制限が緩やかなエリアです。
渋谷区では、北側斜線が「高さ≦水平距離×1.25+10m(8mまで)」「高さ≦0.6×(距離−8m)+20m(8m超)」と定められています。
第二種に比べて立ち上がりの高さが高く、より中高層の建物を想定したゆとりのある制限になっています。一般的な戸建て住宅では高さ制限が制約になるケースは少ないといえるでしょう。
その他
高度地区の区分は自治体によって運用が異なり、第一種〜第三種以外に第四種以降の区分や独自の名称を設けているケースもあります。
代表的なものとして、絶対高さを定める高度地区です。20m高度地区や30m高度地区のように、建物の高さの上限をメートル数で一律に設定する方式で、景観を守りたい地域や幹線道路沿いで高さを揃えたい場合などに使われます。
渋谷区でも30m〜60mといった区分があり、エリアの特性に合わせて細かく高さをコントロールすることで、調和のとれた都市景観を維持しています。
高度地区の規制緩和が認められるケース

高度地区の制限は原則守る必要がありますが、自治体によっては一定の条件下で緩和が認められる場合もあります。
- 学校や病院など公益性の高い施設で、機能上やむを得ないとき
- 指定前からある既存不適格建築物を、同程度の高さで建て替えるとき
- 公開空地の設置などにより周辺環境の改善に大きく寄与するとき
具体的な緩和内容や対象となる建物の条件、申請手続きは自治体ごとに異なります。公益性など厳しい条件もあるため、必ず所管窓口で最新の基準を確認しましょう。
高度地区に家を建てるメリット

高度地区に指定された土地は建築に制限がある一方で、住環境としては多くのメリットがあります。
最大のメリットは、日当たりや風通しが確保されやすい点です。隣地に突然高いビルが建って日照が遮られるリスクが低く、将来にわたって安心して暮らしやすい環境が期待できます。
建物の高さがある程度そろうことで圧迫感のない街並みが生まれ、美しい景観が保たれるのも魅力です。また、建物同士に適度な間隔が生じやすく、延焼リスクの軽減など防災面での安心感にもつながります。
高度地区に家を建てるデメリット

高度地区のデメリットは、建物の高さや形状の自由度が制限されることです。規制が厳しいエリアでは、希望していた3階建てや屋上付きプランが実現できない場合があります。
斜線制限を避けるために一部の天井が低くなったり、容積率に余裕があっても高さ制限で延床面積を使い切れないこともあります。
高度地区の調べ方

購入を検討している土地が高度地区に該当するか、どのような制限があるかは、主に次の3つの方法で確認できます。
- 自治体のホームページを確認する
- 市役所・区役所の窓口に問い合わせる
- 不動産会社に問い合わせる
自分だけで判断しようとすると、複雑な図面の読み違いや最新の規制情報の見落としにつながるおそれがあります。最終的には専門家の意見も交えて正確に把握することが重要です。
自治体のホームページを確認する
まずは自治体の公式サイトで都市計画図や高度地区の情報を確認しましょう。
地図上で用途地域や高度地区の区分を色分けしている場合も多く、その土地にかかるおおまかな制限内容や周辺との違いを事前に把握できます。
市役所・区役所の窓口に問い合わせる
より詳しいルールを知りたいときや敷地が高度地区の境界付近にある場合は、都市計画課や建築指導課の窓口で直接相談しましょう。
斜線の勾配など具体的な数値や解釈についても、その場で丁寧な説明を受けられます。
不動産会社に問い合わせる
この土地で実際にどんな家が建てられるかを知りたい場合は、不動産会社や提携する建築会社に相談するのも一つの方法です。
高度地区の制限を踏まえたうえで、現実的な間取りや予算感を含めたプランのイメージを示してもらえるでしょう。
高度地区における土地購入の注意点

高度地区内の土地を購入する際は、後悔しないよう次の3つのポイントを必ずチェックしておきましょう。
- 事前に規制内容を確認する
- 土地が2つ以上の地区をまたぐケースがある
- 狭小住宅は設計の工夫が必要
高度地区の制限は、建物の高さや間取りに直結する重要な条件です。契約後に気付いても変更はできません。希望する住まいのイメージとルールが合っているか、将来の建て替えも含めて事前に検討しておくことが大切です。
事前に規制内容を確認する
高度地区かどうかだけでなく、第何種に指定されているかまで必ず確認しましょう。
規制内容は自治体によって異なりますが、一般に第一種は高さ制限が厳しく、3階建てや屋上付きのプランが難しくなることもあります。具体的な数値や斜線の勾配は、役所の資料や都市計画図で確認しておくことが大切です。
土地が2つ以上の地区をまたぐケースがある
一つの敷地が第一種と第二種など、複数の高度地区にまたがるケースもあります。
この場合、敷地全体で一つの区分になるのではなく、境界線ごとに別々の高さ制限が適用されるのが原則です。建物の位置やボリュームの置き方によって、確保できる階数や延床面積が変わります。同じ土地でも、計画次第で使える面積に差が出るイメージです。
条件の読み違いを防ぐためにも、早い段階で設計者や不動産会社に図面を見てもらい、配置計画を一緒に検討すると安心です。
狭小住宅は設計の工夫が必要
都心の狭小地で高度地区がかかっている場合、背の高い3階建てを建てることは難しくなります。高さ制限や北側斜線の影響で、上に伸ばそうとしても途中で頭を押さえられてしまうからです。
こうした土地では限られた高さの中で床面積を確保する工夫が欠かせません。窓の位置や階段の形状を工夫すれば、狭くても開放感のある空間づくりも可能です。
高度地区の制限を事前に知っておこう

高度地区は、暮らしに欠かせない日当たりや風通しを守るためのルールです。これから家を建てる人にとって、どんな高さ制限があるのかを事前に把握しておくことは欠かせません。
たとえ制限が厳しいエリアでも、土地の条件に合わせて工夫すれば、快適な住まいは十分に目指せます。制限をより良い環境で暮らすためのものと捉えて、理想の家づくりに生かしていきましょう。
なお、マイホームの購入を検討している方には、オープンハウス公式サイトへのご登録がおすすめです。
当サイトに会員登録すると、閲覧できる物件数が大幅に増え、会員限定物件の情報をいち早く得ることができます。
オープンハウスには豊富な不動産の知識を持つスタッフが在籍しており、物件探しのサポートや住まいに関する疑問点などにお答えします。
登録は最短1分で完了しますので、下記のボタンからぜひ会員登録してみてください。
これが結論!
POINT1
高度地区は、良好な住環境を守るために建物の高さを制限する制度です。快適な暮らしを守るためのルールなので、土地購入や建築の際は必ず規制内容のチェックを行いましょう。
POINT2
制限の基準は自治体によって異なり、同じ名前でも内容は一律ではありません。自治体のサイトなどで概要を掴みつつ、窓口に問い合わせたり専門家に相談したりすることが重要です。
POINT3
高さ制限があっても設計の工夫次第で理想の間取りに近づけます。購入前から専門家に相談し、その土地で建てられる家を確かめましょう。

記事監修
染矢 真紀
宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
最新のトレンドや法改正を踏まえ、円滑な住宅売買に向けた仕組み作りと前線でのサポートを実践する。「ちんたいグランプリ(旧・不動産甲子園)」 2020年度・2022年度特別賞。
2025年11月時点の内容です。
次の記事を読む














