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防火地域・準防火地域とは?違いや建築制限を解説

公開日:2025年11月29日

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防火地域や準防火地域とは何なのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。名前は似ていますが、建てられる建物の構造や建築コストには大きな差があります。

これらは、火災に強い街をつくるために都市計画で定められた重要なルールです。指定内容を知らないまま土地を選ぶと、希望していた間取りが実現できなかったり、予算が大きく膨らんだりすることもあります。

この記事では、防火地域・準防火地域の違いや建築制限を解説します。土地選びや資金計画の判断材料として、ぜひ参考にしてください。

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防火地域・準防火地域とは?

防火地域・準防火地域とは、都市計画法に基づいて市街地の一部に指定される火災対策エリアです。火災が起きたときに延焼を防ぎ、被害を最小限に抑えることを目的としています。

防火地域・準防火地域の主な対象は駅周辺や幹線道路沿い、建物が密集するエリアです。屋根・外壁・窓などに一定の防火性能が求められます。建築コストが上がったり、設計の自由度が下がったりすることがあり、土地購入前に必ず確認しておきたいポイントです。

防火地域と準防火地域の違い

防火地域は、駅前や繁華街など火災リスクが高く、人や建物が密集するエリアに指定されます。非常に厳しい規制がかかり、原則として耐火建築物や準耐火建築物など、燃えにくい構造にする必要があります。

準防火地域は、防火地域の周辺にある住宅地などが中心です。防火地域より規制は緩やかで、一般的な木造住宅も建てられますが、外壁や軒裏、窓などには防火性能を持つ建材の使用が求められます。

一定の防火対策が必要なエリアとイメージするとわかりやすいでしょう。

防火地域・準防火地域の建築制限

防火地域・準防火地域では、建物の階数や延床面積によって必要となる構造が変わります。建物が高層・大規模になるほど、厳しい耐火基準が適用されます。

それぞれのエリアで具体的にどのような制限があるのか、建物規模ごとの違いを理解しておくことが大切です。ここでは、防火地域と準防火地域の建築制限について3つ解説します。

  • 防火地域
  • 準防火地域
  • 防火地域・準防火地域に共通する制限

防火地域

防火地域は、もっとも厳しい防火対策が求められるエリアです。建物の規模に応じ、原則として耐火建築物や準耐火建築物にする必要があります。

建物規模求められる構造
地下を含む3階建て以上または延床100㎡超原則として耐火建築物
2階建て以下かつ延床100㎡以下準耐火建築物または耐火建築物

3階建て以上や延床100㎡超の建物は、鉄筋コンクリート造など耐火建築物とするのが基本です。

2階建て以下で100㎡以下の建物であれば、一定の基準を満たした木造住宅も可能ですが、主要な構造部分を耐火仕様にする必要があります。

準防火地域

準防火地域では、一般的な戸建てであれば木造住宅も建てられますが、建物の規模によって求められる防火性能が変わります。階数や延床面積に応じて構造のグレードが決まるイメージです。

建物規模求められる構造
4階建て以上または延床1500㎡超耐火建築物
3階建てまたは延床500〜1500㎡以下準耐火建築物または耐火建築物
2階建て以下かつ延床500㎡以下木造可(延焼のおそれのある部分は防火構造)

3階建てや大きな建物では準耐火建築物や耐火建築物が基本となるため、具体的な計画では設計者や行政に確認しながら仕様を決めていくことが重要です。

防火地域・準防火地域に共通する制限

防火地域と準防火地域には、火災時の延焼を抑えるための共通ルールがあります。

隣地や道路に近い「延焼のおそれのある部分」は特に注意が必要で、窓や外壁、屋根に特別な仕様が求められます。

制限箇所求められる構造
開口部防火設備が必要
屋根不燃材料で造るか葺くことが求められる

この範囲では防火認定のない一般的な木製サッシや樹脂サッシは使えず、防火性能を満たした建材を選ぶ必要があります。

また、防火地域内の耐火建築物や、準防火地域内の耐火建築物・準耐火建築物等では建ぺい率の緩和が受けられる場合もあるため、制限とメリットの両方を踏まえて計画することが大切です。

防火地域・準防火地域以外の建築制限

防火地域・準防火地域以外にも、火災対策を目的とした建築制限が存在します。

東京都が独自に指定する「新防火区域」と、建築基準法で定められた「法22条区域」です。どちらも防火地域ほど厳しくはありませんが、木造住宅を建てる際には外壁や屋根に一定の防火性能が求められます。

土地を購入する前に、該当エリアがどの区域に指定されているかを確認しておくことが大切です。ここでは、それぞれの区域の特徴と建築制限について2つ解説します。

  • 新防火区域(新たな防火規制区域)
  • 法22条区域(建築基準法第22条指定区域)

新防火区域(新たな防火規制区域)

新防火区域は、東京都が独自の条例で定める防火規制区域で、木造住宅が密集するエリアの延焼被害を抑えることを目的としています。

防火地域や準防火地域の外側にありながら、準防火地域より厳しく、防火地域に近い水準が求められるエリアです。

項目内容
目的木造密集市街地の不燃化・延焼防止
対象エリア木造住宅が多く集まる市街地
制限原則として準耐火建築物等以上、規模により耐火建築物

区域内では、原則として建物を準耐火建築物等以上とすることが求められ、延床面積が大きい建物や階数の多い建物では耐火建築物が必要となる場合もあります。

法22条区域(建築基準法第22条指定区域)

法22条区域は、建築基準法第22条に基づいて指定される区域です。主に屋根の不燃化を通じて火の粉による延焼を防ぐことを目的としています。

防火地域・準防火地域の外側に広がる一般的な市街地で広く見られます。

項目内容
目的火の粉による延焼防止、屋根の不燃化
対象エリア防火・準防火地域の外側にある一般的な市街地
制限 屋根を不燃材料で造るか葺く
木造などの場合、延焼のおそれのある部分の外壁には防火性能が必要

防火地域や準防火地域ほどの厳しさはありませんが、仕様やコストに影響します。候補地が法22条区域に入っているかどうかは事前に確認しておくと安心でしょう。

防火地域・準防火地域が他の地域をまたいでいる場合の制限

一つの敷地が防火地域と準防火地域など、異なる区域にまたがるケースがあります。この場合、原則として建物全体に最も厳しい側の区域の規制が適用されます。

たとえば、敷地の一部が防火地域にかかっていれば、建物全体を耐火建築物などで建てる必要があります。ただし、防火壁で区画した場合は例外です。防火壁より外側の部分は、その区域の緩やかな基準で建築できます。

区域境界にかかる土地を検討する際は、建築コストへの影響を事前に確認しておくと良いでしょう。

防火地域・準防火地域で求められる建物の構造

防火地域・準防火地域では、耐火建築物や準耐火建築物といった構造の選択が、建物の計画に大きく関わってきます。

どのグレードの建物にするかによって、選べる構造や使える建材、建築コストの水準が変わるため、土地選びの段階から意識しておくことが大切です。

ここでは、それぞれの構造が持つ防火性能とメリットについて2つ解説します。

  • 耐火建築物
  • 準耐火構造

自分の建てたい家がどのランクに該当するかをイメージしながら、特徴を理解しておきましょう。

耐火建築物

耐火建築物は、火災が起きても崩壊せず周囲への延焼も防げる最上位の防火性能を持つ建物です。鉄筋コンクリート造や、耐火被覆を行った鉄骨造などが代表的な構造です。

壁、柱、床、梁、屋根などの主要構造部が火災の熱に長時間耐えられることが求められ、窓やドアなどの開口部には炎を遮る防火設備の設置が必須です。建築コストは高くなりますが、火災保険料が抑えられるケースがある点や建ぺい率の緩和を受けられる点はメリットといえます。

防火地域で3階建て以上または延床面積100㎡超の建物を建てる場合などに、この構造が求められます。

準耐火建築物

準耐火建築物は、火災発生時に一定時間は倒壊や延焼を防ぎ、避難や初期消火の時間を確保できる建物です。耐火建築物ほど厳格ではありませんが、高い防火性能を持ちます。

主要構造部を不燃材料で覆うなどの措置を講じることで、木造住宅でも省令準耐火構造などとして建てることが可能です。一般的な木造住宅よりもコストは上がりますが、デザインの自由度をある程度保ちながら安全性や資産価値を維持できます。

防火地域で2階建て以下かつ延床面積100㎡以下の建物を建てる場合などに求められる構造です。

防火地域・準防火地域の調べ方

土地購入や建て替えを検討する際、その場所がどの区域に指定されているかを正確に把握しておくことが重要です。知らずに土地を購入してしまうと、想定外の建築コストがかかったり、希望のプランが実現できなかったりする可能性があります。

ここでは、防火地域・準防火地域の調べ方を3つ解説します。

  • インターネットで検索する
  • 不動産会社に問い合わせる
  • 市役所・区役所の窓口で確認する

インターネットで検索する

防火地域・準防火地域は、インターネットで調べることが可能です。「〇〇区 防火地域」などのキーワードで検索すると、自治体が公開している情報が見つかります。

東京都の場合は、地図上で視覚的に防火地域などの範囲を確認できる都市計画情報等インターネット提供サービスを提供しています。

不動産会社に問い合わせる

候補地がある程度絞れているなら、不動産会社に直接聞くのも良いでしょう。

「この土地は防火地域ですか」「特別な建築制限はありますか」と確認すれば答えてもらえます。また、重要事項説明書に記載されていることもあるので、見せてもらうとより安心です。

市役所・区役所の窓口で確認する

最終的な確認や区域の境界線上に土地があるような微妙なケースでは役所の窓口へ行きましょう。

都市計画課や建築指導課などで正確な住所を伝えれば、適用されるルールを詳しく教えてもらえます。

防火地域・準防火地域に家を建てるメリット

防火地域・準防火地域に家を建てる主なメリットは、以下のとおりです。

  • 火災に強く安全性が高い
  • 資産価値の維持が期待できる
  • 火災保険料が安くなるケースがある
  • 土地を有効活用できる

厳しい防火基準をクリアした構造や建材により、火災時の被害拡大を防ぎやすくなります。周辺も同様の基準で建てられているため、もらい火のリスクも軽減されるでしょう。

また、資産価値の維持が期待できるエリアが多い点も見逃せません。耐火・準耐火の基準を満たせば保険料の負担が軽くなるケースもあり、耐火建築物なら建ぺい率が緩和されて敷地を効率良く使えます。

防火地域・準防火地域に家を建てるデメリット

防火地域・準防火地域に家を建てる主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 建築コストが高くなる
  • デザインや間取りの制限
  • 工期が長引くことがある
  • リフォームの難易度が高い

防火基準を満たす窓や外壁材は通常品より価格が高く、開口部だけでも費用増となります。窓の配置やデザインにも規制があるため、希望通りの間取りが難しくなる場合もあるでしょう。

指定建材の施工が複雑で時間を要する場合もあるので、完成までの期間も長めに見ておく必要があります。増築や改修でも同じ基準が適用されるため、簡単な工事でも手間と費用がかかります。

防火地域・準防火地域の制限を知ろう

防火地域や準防火地域の規制は、安全を確保するために欠かせないものです。これから土地選びや建築計画を立てる際には、エリアごとの制限内容を正しく理解しておく必要があります。

ある程度の制約や負担はありますが、火災リスクへの備えという大きな安心につながるものです。メリットとデメリットの両面を考慮したうえで理想の住まいを実現してください。

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これが結論!

  • POINT1

    防火地域や準防火地域の指定は、火災被害を抑えて街全体の安全性を高めるためにあります。規制に対応した家づくりは、家族と財産を災害から守る確かな備えとなるでしょう。

  • POINT2

    耐火性能を高めることで建築費は上がりますが、火災保険料の割引や資産価値の維持といった長期的なメリットも得られる可能性があります。安心感も含めて判断しましょう。

  • POINT3

    独自の条例や緩和規定があるため、役所や不動産会社への確認を行いましょう。制限の中で最大限に快適なプランを練ることが大切といえます。

新井 友隆

記事監修

新井 友隆

宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士

東京・神奈川の複数センターでセンター長を歴任後、営業推進部長や埼玉・名古屋エリアの立ち上げにも寄与。2022年からは契約管理部門にて、オープンハウス全国の契約書作成や引き渡し業務を統括中。

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