戸建てというと、住宅ローンを組んでマイホームを手にいれるイメージがありますが、近年では戸建ての賃貸という選択肢も増えてきています。戸建ての賃貸にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ライフスタイルや価値観と照らし合わせながらみていきましょう。
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記事監修
宅地建物取引士/整理収納アドバイザー1級/フードスペシャリスト/一級衣料管理士
ディスプレイ器具リースの前職を経て、整理収納アドバイザーとして独立。多くの住まいの整理・お片付けをコンサルティングした後オープンハウスに入社。契約後のお客様の引き渡しまでのサポート業務に従事し、2021年度社内賞(顧客満足賞)受賞。お客様の生活スタイルをお伺いした上での的確な提案を得意とする、衣食住のスペシャリスト。
戸建て賃貸に住むメリットは、主に以下の8つです。
それぞれについて解説していきます。
戸建て賃貸では、戸建てを購入するよりも、契約時に支払う初期費用を抑えられます。
戸建てを購入する場合は、物件価格の約10%〜20%程度の頭金を支払う必要があります。
つまり、3,500万円の物件を購入する場合、頭金を350万円以上用意しなくてはなりません。
加えて、売買契約や住宅ローン契約における諸費用など、実際はさらに多くの費用が必要です。
一方で、戸建ての賃貸の場合、物件にもよりますが、敷金・礼金・仲介手数料がそれぞれ約1ヶ月分かかります。
家賃が20万円の物件を借りるとすると、敷金・礼金・仲介手数料で合計約60万円です。
戸建てを購入する際の頭金よりも、かなり抑えられることが分かります。
戸建ての場合、アパートやマンションと違って他の世帯から独立しており、周囲と一定の距離を保ちながら生活できます。
集合住宅とは異なり、隣接する世帯や上下階の世帯の生活音も気になりません。
また、他の世帯に対して、騒音や生活音で迷惑をかけることも少なくなります。
ストレスが少なくのびのびとした生活をしたい方にとっては、快適に過ごせるでしょう。
賃貸では、引越しがしやすいこともメリットです。
住宅ローンの返済がないため、予期せぬ転勤や家庭状況の変化が起こった際は、契約解除して次のライフスタイルに合う家を新たに借りることができます。
一方、持ち家で住宅ローンが未完済の場合、新たな家を契約しても元の持ち家の住宅ローンは最後まで返済する必要があるため、引越しの決断が難しくなるでしょう。
転勤の頻度が高い場合や、家族が増える可能性がある場合は、持ち家よりも賃貸の方が柔軟に対応できますね。
戸建て物件には、駐車場が併設されていることも珍しくありません。
この場合は、毎月の駐車場代を支払う必要がないため、生活費を節約できます。
集合住宅では多くの場合、家賃に加えて別途駐車場代が請求されます。
そのため、戸建て物件に駐車場が併設されていることは車を持つ方にとっては大きなメリットです。
また、固定資産税・都市計画税は、土地や家屋を所有する者に課される地方税です。
土地や家屋を所有する限りはずっと払い続ける必要があります。
戸建て賃貸では、これらの納税義務は所有者の大家さんにあるため、借主が支払う必要はありません。
賃貸借契約において、「賃貸人は、賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う」と法律で定められています。
つまり、大家さんはその家の設備や付属物に修繕が必要となった場合、修繕費用を負担しなければなりません。
よって、戸建て賃貸に住めば、設備や付属物に不具合が生じても自費での修理は不要です。
持ち家と比べて、メンテナンス費用を大きく抑えられるでしょう。
しかし、借主自身が設置したものの不具合に関しては、当然借主自身で修理しなければならないため注意してください。
戸建て賃貸に入居する際は、住宅およびその設備と付属物における責任の所在について明確にしておく必要があります。
賃貸住宅では、ペットによるトラブル回避のために、ペット不可としている物件の割合が大きいです。
しかし、集合住宅と比べて周囲から独立している戸建てでは、ペットの鳴き声やにおいなどによる近隣世帯トラブルの心配が少ないため、ペットの飼育が可能な物件も多くあります。
「賃貸住宅に住みたいけれどペットを飼いたい」という場合は、戸建て賃貸のなかで検討すれば、ペット可の物件を見つけやすいでしょう。
戸建て賃貸には、庭がついている場合もあります。
庭があれば、ガーデニングや家庭菜園を楽しんだり、子どもの遊び場として活用したりできます。
さらに、庭があると日当たりや風通しが良くなる点もメリットです。
集合住宅の場合はプライベートな庭を持てないため、庭付きの物件が良い方は戸建て賃貸を検討してみてはいかがでしょうか。
戸建て賃貸はマンションに比べて広く、部屋数にゆとりがある物件が多い点もメリットです。
家族の人数を考慮して物件を選べば、個人の部屋を確保できます。
また、2階建て以上であれば、ほかの部屋の音が気になりにくいため、在宅ワークや趣味などで集中したい方にもおすすめです。
戸建て賃貸には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。
メリットとデメリットを両方理解したうえで、自身のライフスタイルや価値観に合う住み方を見つけることが重要です。
戸建て賃貸のデメリットは主に6つあります。
それぞれについて解説していきます。
戸建て賃貸に住む間は、月々の家賃が発生し続けます。
住む期間によっては、戸建てを購入する場合の費用を上回ることも珍しくありません。
実際に、シミュレーションをしてみましょう。
以下は、日本人の平均初婚年齢(夫30.7歳/妻29.0歳※)から、30歳で結婚して、女性の平均寿命の86歳までの平均的なライフイベントを図式化したものです。
※参照元:平成25年度『少子社会対策白書』
このライフイベントをもとに、賃貸に住み続けた場合と、家を購入した場合の支払い総額を比較してみましょう。
▼賃貸に住み続けた場合
30歳で結婚して、ライフスタイルに合わせた賃貸に住み続けた場合、10年後で支払い総額は1,500万円を超え、60歳となる30年後には6,000万円近くになります。
5,000万円で購入できる戸建て物件も多いことを考えると、長期間住む場合、賃貸よりも持ち家の方が出費を抑えられるでしょう。
賃貸と持ち家の比較については
で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
戸建て賃貸では、所有者は大家さんであり、借主の所有物・資産にはなりません。
賃貸借契約が解約されればその家には住めなくなり、自身の手元には何も残らないのです。
一方、戸建てを購入した場合、購入した土地と建物が自身の資産として残ります。
以下で、実際に4,500万円の家を購入した場合の支払い総額と、残る資産価値についてシュミレーションしました。
▼家を購入した場合
(物件価格4,500万円と仮定=土地3,000万円+建物1,500万円)
家を購入すると、賃貸とは異なり、建物や土地が自身の資産として残ります。
残った資産の価値を差し引きした支払い総額は、賃貸に住み続ける(参照:①長く住むほど出費が大きくなる)よりも抑えることができます。
賃貸 | 購入 | |
---|---|---|
支払い総額(60歳まで) | 5,880万円 | 6,700万円 |
資産価値 | 0円 | 3,000万円 |
差し引き支払い総額 | 5,880万円 | 3,700万円(※リフォームした場合 4,200万円) |
住宅ローンの金利や固定資産税などにより支払いの総額は大きくなりますが、自身の資産である土地や家を売ることで資金を得たり、子や親に相続したりすることも可能です。
賃貸と戸建てを購入した場合のシミュレーションについては、
でも詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
戸建てには庭付きの物件も多いです。
庭があればガーデニングや家庭菜園を楽しめたり、子どもの遊び場が増えたりとメリットもありますが、定期的に手入れをする手間が発生します。
しっかりと手入れをしなければ、景観が悪くなったり、落ち葉や雑草、蚊や害虫などが増えたりして、快適な暮らしができなくなるかもしれません。
ガーデニングや家庭菜園が好きな方であれば、庭の手入れが苦にならず、趣味を存分に楽しむことができるでしょう。
しかし、庭を使うことが少ない方にとっては、手入れが手間やストレスになってしまうおそれがあります。
戸建て賃貸では、マンションとは異なりオートロックや監視カメラなどセキュリティ設備が整っていないケースが多いです。
貸主が元々設備として取り付けていなければ、借主自身の費用負担で設備や機械などを購入して取り付ける必要があります。
戸建ては玄関や窓が直接外につながっているため、集合住宅と比較して、セキュリティ面で気を遣うべき点が多いことも覚えておきましょう。
賃貸は大家さんの所有物なので、原則設備や内装のリフォームなどはできません。
内装の雰囲気を変えたくなったり、新たな設備を取り付けたくなったりしても、簡単には変えられない点がデメリットです。
好みが変わりやすい方や、自分好みにカスタマイズしたい方には、戸建て賃貸はあまり向かないでしょう。
戸建て賃貸では、マンションのような管理人がいないため、周辺の掃除などを自分で行う必要があります。
特に庭付きの物件は、木の伐採などが禁止されている場合があり、落ち葉などを頻繁に片付けなければなりません。
また、マンションではいつでもゴミ出しをできる場合がありますが、戸建て賃貸では自治体の規則に沿って指定の場所にゴミを持っていく必要があったり、当番が回ってくることもあります。
周辺の清掃が億劫な場合や、ゴミ出しなどの利便性を求める方には、戸建て賃貸よりもマンションのほうが向いているでしょう。
初期費用や税金が抑えられる戸建て賃貸ですが、資産が残らない点は大きなデメリットです。特に長期間の居住を検討している場合は、資産計画をしっかり立て、戸建ての購入を選ぶことも考えましょう。
戸建ての賃貸には、初期費用が抑えられることや引越しがしやすいなどのメリットがあります。
しかし、建物の資産価値は経過年数によって下がっていきますが、所有している戸建ての土地は劣化しない資産であることも大きなポイントです。
転勤が多いなど、引っ越す可能性が高い場合は賃貸、長く同じ家に住み続ける場合は購入を検討すると良いでしょう。
それぞれのメリットやデメリットは物件によって異なることもあるため、まずは試しに物件を探してみてはいかがでしょうか。
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初期費用が安く抑えられる賃貸の戸建ては、ライフスタイルが変化しやすい方にとってはメリットが大きい選択肢です。しかし、長く住む予定の場合、結果的に戸建てを購入した方が安く住む場合もあります。建物と土地を資産として所有することもできるため、購入するメリットも大きいでしょう。
戸建ての購入や集合住宅の賃貸と比較して、戸建て賃貸にはどんなメリットがあるのかが分かりました。
ここまで解説したメリットを踏まえて、戸建て賃貸はどんな人におすすめなのかをまとめました。
以下に当てはまる人は、ぜひ戸建ての賃貸を検討してみてはいかがでしょうか。
家選びは人生の中でも大きな決断です。戸建て賃貸のメリットを確認し、自身やご家族のライフスタイル・価値観などを一度話し合ってみるのも良いですね。
戸建て賃貸には多くのメリットがありますが、実際に契約を検討する上で注意するべき点が3つあります。
それぞれについて解説していきます。
戸建てを借りる際は、その物件についての情報を漏れなく確認しましょう。
特に重要な項目である、下記の3点について解説します。
1981年に建築の耐震基準についての改正が行われました。
新耐震基準の認可を受けてから建てられた建物が好ましいため、実際は1985年以降に建てられた家であれば新耐震基準に適合していると考えられます。
2022年現在、物件を検討しているのであれば、少なくとも築年数36年以下が好ましいでしょう。
戸建ての構造は「木造」「鉄骨造」が一般的ですが、総務省による「平成30年住宅・土地統計調査」では、戸建ての92.5%が木造住宅だという結果が出ています。
そのため、選択肢は木造の方が多いでしょう。
木造の場合は、シロアリや腐朽菌により木が食べられるおそれがあるため、契約前には被害がないか確認しておきましょう。
一方、鉄骨造でもリスクがないとはいえません。
鉄骨がサビていたり、ボルトが緩んで強度が低下したりしているおそれがあります。
築年数と併せて、構造に不具合がないかを確認しておくことが重要です。
戸建て賃貸を検討する際は、水道管・給湯器・エアコン・浴室などの設備が問題なく機能するか・メンテナンスされているか・劣化していないかを確認しましょう。
特に、築年数が大きい物件では設備が経年劣化している可能性が高いため、リフォームが入っているかどうかや、入居前にメンテナンスをしてもらえるかなど、細かな部分まで明確にしておくべきです。
そうすることで、入居後の貸主や管理会社とのトラブル回避にもつながります。
戸建ての賃貸では、契約期間が限定されていないか確認しましょう。
物件が売却中で、買主が見つかるまで一時的に貸し出している場合や、大家さんが使用しない間だけ貸し出している場合もあります。
特に長期間での契約を検討している場合はしっかりと確認しておくことが重要です。
戸建て賃貸の物件では、「管理を行っているのは誰か」を確認しておきましょう。
大家さんが自分自身で管理を行っている場合と、大家さんが管理会社に委託している場合があります。
大家さん自身が行っている場合は、設備などにトラブルがあっても連絡がつかなかったり、すぐに対応してもらえなかったりすることも多いです。
一方で、管理会社が行っていれば、24時間電話をすればすぐに対応してくれるほか、駆けつけが速いメリットもあります。
このように、戸建てを選ぶ際には、事前に物件の特徴・契約形態・管理体制などをリサーチし、明確にしておくことが重要です。
それぞれのメリットやデメリット、管理体制や契約期間は物件によって異なるので、まずは試しに物件を探してみてはいかがでしょうか。
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賃貸では、大家さんとの関係も重要になります。事前に確認すべきことは明確にし、入居後にトラブルにならないように自身で対策することが必要です。
戸建て賃貸には、メリットとデメリットの両方が存在します。戸建ての購入と比較するのか、集合住宅と比較するのかでもメリットは異なり、自身のライフスタイルや価値観を照らし合わせて考えることが重要です。
戸建て賃貸では購入するよりも初期費用を抑えられますが、長期間の居住を検討しているのであれば、購入する方がお得なケースもあります。また、資産価値の観点からも、賃貸と購入を比較検討してみましょう。
物件の築年数や構造、設備については事前にしっかり確認する必要があります。劣化がそのままにされていると、安全に住むことができないおそれもあるため、検討段階で漏れなくチェックし、不明点は明確にしておきましょう。
初期費用もランニングコストも抑えて、都心のマイホームを実現する「借地権」という選択肢。
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