この記事では、建売住宅の購入時にかかる諸費用の目安について解説します。
建売住宅の購入には、物件価格以外にも手付金や仲介手数料などの諸費用がかかります。予算オーバーを防ぐためにも、事前に目安を把握し、シミュレーションしておくことが大切です。
この記事では、建売住宅の諸費用の詳細や、住宅ローンに組み込める費用、負担を抑える方法についても解説します。これから建売住宅を購入する予定の方は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
建売住宅を購入する際には、物件価格だけでなく、さまざまな諸費用がかかります。これらの費用は購入のタイミングによって異なり、資金計画を立てる上で重要なポイントとなります。
以下で建売住宅の諸費用について解説します。
たとえば、4,000万円の建売住宅を購入する場合、諸費用は約240万円〜400万円ほどかかる計算になります。この金額には、税金や手数料、住宅ローンに関する費用などが含まれています。
同じ一戸建てでも、注文住宅で土地を購入して建築する場合はトータルコストの10〜12%、すでに土地を所有している場合は建築費の3〜6%程度が目安とされており、建売住宅の諸費用はその中間に位置するといえます。
これらの費用は住宅ローンに組み込めるものと、現金で支払わなければならないものがあるため、事前にしっかりと確認し、無理のない資金計画を立てることが重要です。
建売住宅の諸費用にはさまざまな項目があり、それぞれ支払うタイミングが異なります。
建売住宅にかかる主な諸費用を、「購入前」「購入時」「住宅ローン関連」の3つに分けて紹介します。
まず、「建売住宅の購入前」にかかる諸費用は以下の表のとおりです。
費用項目 | 概要・費用の目安 |
---|---|
手付金 | 物件価格の5〜10%が一般的。契約時に売主へ支払う |
印紙税 | 売買契約書に貼付する収入印紙の費用。契約金額によって変動 |
※参考1:
印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
次に、「建売住宅の購入時」にかかる諸費用は以下の表のとおりです。
費用項目 | 概要・費用の目安 |
---|---|
仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬。一般的に「物件価格×3%+6万円+消費税」が上限 |
不動産取得税 | 不動産取得時に発生する税金。軽減措置が適用されると0円になるケースも |
登録免許税 | 所有権移転登記に必要な税金。固定資産税評価額の0.1〜2%が目安 |
司法書士報酬 | 登記手続きを依頼する際にかかる費用。10万円前後が一般的 |
固定資産税・都市計画税 | 不動産を所有している限り毎年かかる税金。購入年は日割り計算で売主に精算するのが一般的、なお翌年度以降は納税通知書が送付される |
※参考1:
※参考2:
※参考3:
最後に、「住宅ローン利用時」にかかる費用は以下のとおりです。
費用項目 | 概要・費用の目安 |
---|---|
印紙税 | 住宅ローン契約(借入額1,000万円超5,000万円以下)の場合は2万円(軽減措置適用時) |
登録免許税 | 抵当権設定登記に必要な税金。借入額の0.1〜0.4%が目安 |
司法書士報酬 | 抵当権設定登記を依頼する際の手数料。4万〜8万円が一般的 |
ローン手数料・保証料 | 金融機関に支払う手数料や保証料。借入額の0.5〜2%程度 |
火災保険料・地震保険料 | 住宅ローンの契約条件として加入が義務付けられる場合が多い |
※参考1:
印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
※参考2:
また、所有権の移転には登記手続きが必要で、その際に登録免許税と司法書士報酬が発生します。
さらに、住宅ローンを利用する場合は、ローン契約時の印紙税に加え、金融機関による抵当権設定のための登記手続きが必要となり、ここでも登録免許税と司法書士報酬がかかります。
そのため、登記関連費用は購入時とローン契約時の2回発生する点に注意が必要です。
住宅ローンには、物件価格に加えて一部の諸費用を組み込めます。
しかし、すべての費用が対象になるわけではなく、住宅購入後に支払う税金や契約時に発生する費用の一部は、ローンに組み込めません。
以下は、建売住宅の「住宅ローンに組み込める」諸費用一覧です。
以下は建売住宅の「住宅ローンに組み込めない」諸費用一覧です。
また、「住宅ローンに組み込めない」諸費用についても、一部の金融機関では特例的に対応している場合があります。住宅ローンを契約する際は金融機関に相談し、自分の資金計画に合った借入方法を検討しましょう。
以下が建売住宅の購入前にかかる諸費用です。
手付金には、「解約手付」としての性質があり、契約後に買主側の事情でキャンセルした場合は支払った手付金を放棄し、売主側の都合で契約が解除された場合は手付金の倍額を返還する仕組みになっています。
通常、契約が順調に進めば手付金は購入代金の一部として充当されるため、追加の負担にはなりません。しかし、解約リスクを考慮し、支払う金額を事前に確認しておくことが重要です。
たとえば、契約金額が1,000万円超5,000万円以下の場合、通常の税額は2万円ですが、軽減措置適用時は1万円となります。
※参考:
以下で建売住宅の購入時にかかる諸費用を解説します。
たとえば、4,000万円の物件を購入する場合、一般的な計算式は、以下のとおりです。
物件価格×3%+6万円+消費税 |
---|
そのため、仲介手数料の上限額は138万6,000円(税込)となります。
ただし、仲介手数料は売主が直接販売している物件(ハウスメーカーや分譲住宅など)では不要となるため、物件を選ぶ際に「仲介手数料が発生するかどうか」も確認しておくとよいでしょう。
不動産取得税は、土地や建物を取得した際に一度だけ支払う税金です。不動産取得税は、購入後に都道府県から送られてくる納税通知書に基づき、一定期間内に納付する必要があります。
税額の基本的な計算式は、以下のとおりです。
取得した不動産の価格(課税標準額)× 税率(住宅の税率は3%) |
---|
不動産取得税は、厳密には購入時に支払うものではありませんが、諸費用に含まれることが多いため把握しておくとよいでしょう。
※参考:
税額は以下の計算式で決まります。
固定資産税評価額×0.15%(軽減措置適用時) |
---|
※固定資産税評価額とは、土地や家屋などの評価方法を定めたもので「固定資産評価基準」に基づき、各市町村(東京23区は東京都)が独自に算出する評価額のこと。
たとえば、固定資産税評価額が2,000万円の建物を購入した場合、所有権移転登記の登録免許税は6万円となります。
なお、住宅ローンを利用する場合には、金融機関が担保を設定するために「抵当権設定登記」が必要になり、その際にも登録免許税が発生します。
この抵当権設定登記にかかる登録免許税については、「住宅ローン利用時にかかる費用」の項目で詳しく解説します。
※参考:
不動産の所有権移転登記を行う際、司法書士に手続きを依頼するのが一般的です。そのため、司法書士に支払う報酬が発生します。
一般的な司法書士報酬の目安は10万円前後ですが、依頼する司法書士や地域によって金額が異なる場合があります。なお、住宅ローンを利用する場合は、抵当権設定登記も必要となるため、別途、登記費用が発生する点にも注意が必要です。
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者(売主)に課税されるため、引き渡し日以降の分を買主が売主へ精算するのが一般的です。
たとえば、6月1日に引き渡しを受けた場合、6月1日〜3月31日までの税額を売主に支払います。
固定資産税地方自治体が課税する不動産の保有税で、税額は以下のとおりです。
固定資産税評価額×1.4% |
---|
※固定資産税評価額とは、土地や家屋などの評価方法を定めた「固定資産評価基準」に基づき、各市町村(東京23区は東京都)が独自に算出する評価額のこと。
都市計画税は都市計画区域内の不動産に課税される税金で、税額は以下のとおりです。
固定資産税評価額×0.3% |
---|
※固定資産税評価額とは、土地や家屋などの評価方法を定めた「固定資産評価基準」に基づき、各市町村(東京23区は東京都)が独自に算出する評価額のこと。
固定資産税と都市計画税の合計額は、購入する不動産の評価額によって異なりますが、年間で数十万円程度になることが一般的です。また、この日割り精算分の固定資産税は住宅ローンに含められず、現金で支払う必要があります。事前に売主と精算額を確認し、資金計画を立てておきましょう。
以下で住宅ローン利用時にかかる費用を解説します。
税額は借入金額によって異なりますが、軽減措置が適用される場合もあるため、契約時に最新の税率を確認しましょう。
印紙税額は以下のように適用されます。
印紙税は、ローン契約の際に金融機関へ支払う必要があるため、事前に準備しておきましょう。
税額は以下の計算式で決まります。
借入額×0.4%(軽減措置なしの場合) |
---|
たとえば、住宅ローンの借入額が3,000万円の場合、抵当権設定登記の登録免許税は12万円となります。
住宅ローン利用時の登録免許税は、建物の所有権移転時に発生する登録免許税とは別に発生します。住宅ローンを利用する場合は、登記関連費用が二重に発生する点に注意が必要です。
なお、新築住宅や特定の条件を満たす場合は軽減措置が適用され、税率が0.1%に引き下げられることがあります。軽減税率が適用される条件については、国税庁の最新情報を確認しましょう。
住宅ローンを利用する場合、抵当権設定登記を行うために、司法書士に手続きを依頼するのが一般的です。そのため、司法書士に支払う報酬が発生します。
一般的な司法書士報酬の目安は4万〜8万円程度ですが、依頼する司法書士や地域によって金額が異なる場合があります。また、住宅ローンを利用する場合、所有権移転登記とは別に、抵当権設定登記も行う必要があるため、司法書士報酬が追加で発生する点にも注意が必要です。
住宅ローン契約時には、登記関連費用全体の見積もりを確認し、必要な費用を事前に準備しておくことが大切です。
ローン手数料・保証料の一般的な費用は以下のとおりです。
費用項目 | 概要・費用の目安 |
---|---|
融資事務手数料 | 金融機関に支払う手数料。定額方式は3万〜5万円、定率方式は借入額の2.2% |
住宅ローン保証料 | 保証会社に支払う保証料。借入額の0.5〜2%が目安。一括払いと金利上乗せ方式がある |
上記の費用は、住宅ローンの契約内容や金融機関によって異なります。融資事務手数料は定額方式と定率方式があり、定率方式の場合は借入額が大きいほど費用も高額になるため、総返済額を考慮して選択することが重要です。
住宅ローン保証料は、一括前払いと金利上乗せ方式のどちらかを選べるケースが多く、一括で支払う場合は初期費用がかかるものの、トータルの返済額を抑えられるメリットがあります。
一方、金利に上乗せする方式では初期費用を抑えられるものの、総支払額が増える点に注意が必要です。
火災保険料・地震保険料の一般的な費用は以下のとおりです。
費用項目 | 概要・費用の目安 |
---|---|
火災保険料 | 5年間の一括払いで10万〜40万円程度が目安 |
地震保険料 | 火災保険とセットでのみ加入可能、5年間の一括払いで10万円程度上乗せ |
火災保険と地震保険の保険料は、建物の所在地、構造、補償内容によって大きく変動するため、契約前に複数のプランを比較検討することが重要です。特に、火災保険は補償範囲を広げると保険料が高くなるため、自分の住環境に適した補償内容を選ぶことがポイントになります。
地震保険は、火災保険とセットでのみ加入でき、地震リスクの高い地域では保険料が割高になる傾向があります。
ただし、耐震等級割引や免震建築物割引などの制度を活用することで、保険料を抑えることも可能です。
建売住宅の諸費用の目安は一般的に物件価格の6〜10%程度とされています。
以下の金額別に建売住宅の諸費用をシミュレーションします。
以下の表で3000万円のケースをシミュレーションします。
費用項目 | 概要 | 費用の目安 |
---|---|---|
仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬 | 約105万円 |
印紙税 | 売買契約書に貼付する収入印紙 | 1万円(軽減措置適用時) |
不動産取得税 | 購入後に自治体へ納付する税金 | 0〜10万円(軽減措置適用時) |
固定資産税精算金 | 売主に日割りで精算 | 10万〜20万円 |
登記費用 | 登録免許税・司法書士報酬など | 15万〜25万円 |
住宅ローン手数料 | 金融機関へ支払う手数料 | 3万〜5万円 |
住宅ローン保証料 | 保証会社へ支払う保証料 | 15万〜60万円 |
火災保険料 | 5年間の一括払い | 10万〜30万円 |
地震保険料 | 5年間の一括払い(火災保険に上乗せ) | 10万〜20万円 |
合計 | 諸費用総額 | 約180万〜300万円 |
特に住宅ローン保証料や火災・地震保険料の選択によって金額が大きく変動する点に注意が必要です。
以下の表で4000万円のケースをシミュレーションします。
費用項目 | 概要 | 費用の目安 |
---|---|---|
仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬 | 約138万円 |
印紙税 | 売買契約書に貼付する収入印紙 | 1万円(軽減措置適用時) |
不動産取得税 | 購入後に自治体へ納付する税金 | 0〜15万円(軽減措置適用時) |
固定資産税精算金 | 売主に日割りで精算 | 15万〜25万円 |
登記費用 | 登録免許税・司法書士報酬など | 15万〜30万円 |
住宅ローン手数料 | 金融機関へ支払う手数料 | 3万〜5万円 |
住宅ローン保証料 | 保証会社へ支払う保証料 | 20万〜80万円 |
火災保険料 | 5年間の一括払い | 15万〜40万円 |
地震保険料 | 5年間の一括払い(火災保険に上乗せ) | 15万〜30万円 |
合計 | 諸費用総額 | 約240万〜400万円 |
保証料や登記費用、保険料が増加する傾向にあります。
5000万円のケースをシミュレーションします。
費用項目 | 概要 | 費用の目安 |
---|---|---|
仲介手数料 | 不動産会社に支払う成功報酬 | 約171万円 |
印紙税 | 売買契約書に貼付する収入印紙 | 1万円(軽減措置適用時) |
不動産取得税 | 購入後に自治体へ納付する税金 | 0〜20万円(軽減措置適用時) |
固定資産税精算金 | 売主に日割りで精算 | 20万〜30万円 |
登記費用 | 登録免許税・司法書士報酬など | 20万〜35万円 |
住宅ローン手数料 | 金融機関へ支払う手数料 | 3万〜5万円 |
住宅ローン保証料 | 保証会社へ支払う保証料 | 25万〜100万円 |
火災保険料 | 5年間の一括払い | 20万〜50万円 |
地震保険料 | 5年間の一括払い(火災保険に上乗せ) | 20万〜40万円 |
合計 | 諸費用総額 | 約240万〜400万円 |
購入価格が上がるにつれて、保証料や保険料の負担も増加するため、コストを抑える工夫が重要です。
ここでは建売住宅の諸費用を抑える方法を解説します。
たとえば、仲介手数料が半額や一定額を上限とする割引を行っている不動産会社を利用すれば、数十万円単位でコストを抑えられます。
特に、売主が直接販売している物件(自社販売物件)であれば、仲介手数料が不要となるケースもあるため、購入前に確認するとよいでしょう。
火災保険の保険料は、補償範囲が広がるほど高額になるため、本当に必要な補償だけを選ぶことが重要です。たとえば、「水災補償」や「家財保険」を外すことで保険料を抑えられる場合があります。
また、保険会社ごとに料金や補償内容が異なるため、複数のプランを比較し、最適なものを選ぶことが大切です。
さらに、火災保険は建物の構造や耐火性能によって保険料が変動するため、耐火建築物であれば割引が適用されることもあります。
特に、フラット35のように保証料が不要なローンを選択すれば、数十万円単位で諸費用を削減できる可能性があります。
住宅ローン保証料は借入額の0.5〜2%程度が一般的なため、これが不要になることで初期費用の大幅な軽減につながります。
また、金融機関によっては、住宅ローンの諸費用を借入額に含めることが可能な場合があります。
建売住宅の購入には、物件価格に加えて税金や手数料などの諸費用が発生し、一般的にその目安は物件価格の6〜10%程度とされています。
たとえば、4,000万円の物件なら約240万〜400万円の諸費用が必要となり、手付金や仲介手数料、不動産取得税、登録免許税、火災保険料などが含まれます。
これらの諸費用の一部は住宅ローンに組み込めますが、不動産取得税や手付金などは自己資金での支払いが必要となるため、事前に金融機関へ確認することが欠かせません。
諸費用を抑える方法として、仲介手数料の割引を実施している不動産会社を利用する、火災保険の補償内容を見直す、諸費用が安い金融機関で住宅ローンを契約するなどが挙げられます。
建売住宅の購入を検討する際は、必要な諸費用を把握し、シミュレーションを行いながら無理のない資金計画を立てましょう。記事監修
宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
東京・神奈川の複数センターでセンター長を歴任後、営業推進部長や埼玉・名古屋エリアの立ち上げにも寄与。2022年からは契約管理部門にて、オープンハウス全国の契約書作成や引き渡し業務を統括中。
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