同じ予算で一戸建てとマンションを比較した場合、土地の持ち分が少なくて済む分、マンションの方が物件価格は安くなると言われています。同じ予算であれば、駅から近い、建物面積が大きいなど、マンションの方がより条件のいい場所に住めるかもしれません。
ただし、マンションの場合、住み続けている限り、管理費や修繕積立金が毎月発生します。特に世帯数の少ないマンションの場合、少ない人数で管理人の人件費などを負担するため、1世帯あたりの負担額も大きくなります。また、最近では、物件価格の他に、入居時に修繕積立基金、管理準備金などのまとまった額がかかる場合も多く、駐車場、駐輪場、バイク置き場などにも別途月額使用料がかかります。
また、入居当初は数千円だった修繕積立金も、建物の経過年数に応じて徐々に徴収額が上がっていき、3~5万円に増える場合も珍しくありません。修繕積立金が足りない場合、数十万円~100万円程度の臨時徴収などが実施される場合もあります。さらに、別途、専用部分である室内のリフォームや設備のメンテナンスにかかる費用が必要になります。
あまり知られていないところでは、専用庭、ルーフバルコニーなど、特定の住戸のみが利用できる施設にも、面積に応じた使用料がかかるのが一般的です。
当然、一戸建てにもメンテナンス費用は必要です。月々の徴収がない分、計画的に積み立てていく必要があります。マンションの場合、建物の修繕やリフォームには一定数以上の同意が必要で、実行までに10~15年かかる場合もありますが、一戸建ての場合は、ライフスタイルやご予算に合わせてメンテナンスの時期や内容を柔軟に変更できるのは、大きなメリットです。
土地や建物を所有している人に毎年課される地方税が、固定資産税です。一般的に、木造住宅である一戸建てより、鉄筋コンクリート造のマンションの方がより耐用年数が長いと考えられているため、マンションの減価償却期間が47年であるのに対して、一戸建ての場合は22年に設定されています。
耐用年数が長いということは、固定資産税を払う期間も長いということ。加えて、土地の持ち分が少ない分、マンションでは評価額に占める建物の割合がより多くなります。一戸建ての場合は22年経てば建物の価値はほぼなくなり、土地のみに課税されるのに対し、マンションの場合は、47年間は、建物に対する固定資産税を払い続ける必要があるのです。
東京23区で、6,000万円の新築一戸建て・新築マンションを購入した場合の、30年間の固定資産税・都市計画税の支払額を試算してみました。
掃除や手入れの行き届いたエントランスやロビーは気持ちいいものです。また、敷地内のごみ収集所には24時間365日いつでもごみが出せて、いつも清潔に保たれている、大雪の日の翌朝にはきれいに雪かきがされている、宅配ロッカーで荷物の受け取りや発送、クリーニングも行える、というのは、マンションならではの利便性の高さです。
マンションであれば、定期的に火災探知機や消火器のチェックが行われ、騒音に対するクレームなども、管理会社を通じて伝えられるので安心です。
マンションの場合、複数の箇所に防犯カメラが設置されていて、最近の分譲マンションでは、24時間有人監視体制を取り入れているところもあるようです。そのため、お出かけの際は玄関のドアにさえ鍵をかければ、空き巣などのリスクも最小限に抑えられ、セキュリティ・防犯性が非常に高くなっています。一戸建の場合は、道路に面し、四方に侵入経路があるため、出入り口お出かけの際は裏口も合わせて、全てのドアを施錠する必要があります。
また、一戸建ての場合は、年を取ると階段の上り下りがきつくなる、洗濯物を持って上下階を行き来するのが大変になる、などの心配がありますが、マンションの場合、バリアフリー設計の住宅も多く、妊娠中や老後も安心です。また、移動範囲が狭く、掃除が楽、というメリットもあります。
マンションの高層階では、蚊やハエが入らず、外から室内をのぞかれる心配がない点、立地によっては美しい夜景がのぞめる点も、一戸建てにはないメリットです。その反面、忙しい朝の通勤時間帯には、エレベータを待つ時間や、地下駐車場・機械式駐車場から車を出す時間が長く感じられることや、雨の日や重たいものを買った日には、駐車場からの距離が遠く感じられることもあるようです。
その点、一戸建ての場合は、敷地内に駐車場を作ることも可能で、マンションのように、駐車場が足りない、屋根がない駐車場しかない、というような心配もなく、別途駐輪場やバイク置き場に月額費を払う必要もありません。
住環境として最も人気の高い「第一種低層住居専用地域」に住むのであれば、一戸建ての方が、選択肢が広がります。第一種低層住居専用地域とは、用途地域の1つで、低層住宅の良好な環境を守るための地域です。この地域では、工場や風俗施設などの建築は不可、建物の高さも10メートル、または12メートル以下に制限されるなど、良好な住環境・景観を守るために、最も厳しい制限が定められています。そのため、一部低層マンションやアパートを除き、第一種低層住居専用地域には、多くの一戸建てが建築され、街の景観が保たれています。
マンションの場合は、角住戸を除き、北向きの物件であれば、リビングが北向き、玄関が南向き、子供部屋や寝室には窓がない場合も多く見られますが、一戸建ての場合は、リビングが北向きで採光が期待できない場合でも、東西に窓を設ける、トップライト(天窓)を設置、吹き抜けにする、窓を大きくするなどの工夫で、明るく開放感のある室内にすることも自由です。
一戸建てであれば、通風や採光に配慮して窓を設置できるので、風通しがよくなるだけでなく、カビやダニを防ぐのにも大変効果的です。
間取りの自由度が大きいことも、一戸建ての大きな魅力です。マンションの場合は、ご予算や人数に合わせて1LDK~4LDKの中から好きなタイプを選ぶのが一般的ですが、一戸建ての場合は、ライフスタイルに合わせてお部屋の数を自由に選択できますし、書斎や防音室を作ったり、キッチンを2つ設けて、二世帯住宅にしたりすることも可能です。
他にも、ロフトや屋根裏収納は、床面から天井までの高さが1.5m未満であれば、床面積に入らないため、固定資産税もかかりません。マンションの場合は、床下収納を作るのに十分な空間がない場合がほとんで、床下のスペースは共用部分とみなされる場合もありますが、一戸建ての場合は、1階にも2階にも、自由に床下収納が設置可能です。
また、浴室には窓が欲しい、すべての子供部屋に窓とベランダが欲しい、書斎が欲しい、などのご要望がかなうのも、一戸建てならではの魅力です。
マイホームを購入するにあたり、資産価値が高いかどうかは、非常に重要です。万が一ローンが払えなくなったり、突然の転勤になったりして売却や賃貸に出すことになった場合に、マイホームが、大切な家族を守るのに大きな役割を果たします。
一戸建ての場合は、築後22年で建物の価値はほぼゼロになりますが、土地については、一定の資産価値を保ち続けることができます。特に東京23区内などの都心では、3,000万円で購入した土地は、5年後、10年後も3,000万円、あるいはそれ以上の価格で売却可能な場合もあります。
さらには、将来的には一戸建てを取り壊してアパート経営をしたり、1階をカフェに改装したり、単に定期借地として貸したりと、収入を得る幅広い選択肢があるという意味でも、土地は資産になります。
一方、マンションの場合、建物は一戸建ての2倍以上の期間をかけて償却していくものの、敷地全体の評価額にマンションの区分所有者が有する敷地権の割合を乗じたものが土地の持分となるため、階数が高く、戸数が多いマンションほど、土地の持分は小さく、土地の評価額は低くなります。このため、築年数が経って建物の価値がほぼゼロになった際にはマンションの資産価値はほぼゼロになり、一般的には、一戸建ての方が資産価値は落ちにくいと言われています。
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