大きな災害が発生したときは電気、ガス、水道、通信などのライフラインが止まってしまう可能性があります。また、避難所で数日を過ごすという事態が起きるかもしれません。「もしも」に備えて、非常用の持ち出し袋を用意しましょう。さらに自宅での避難生活を想定し、10日分程度の備蓄品を用意しておくと安心です。
非常用の持ち出し品は、飲料水、食品など、最低1日分を用意し、両手が空くリュックサックなどに詰めておきましょう。非常用の持ち出し品は1人に1つ用意し、あまり重たくならないように自分1人で持てるかどうか確認することが大切です。
手持ちのリュックサックは、以下の計算方法で容量を知ることができます。
非常用の持ち出し袋のポイントは、自分なりの品を用意するということ。必要なものは、各人の年齢やライフスタイルによって変わってきます。例えば、妊娠中の方や小さなお子様がいるご家庭では、母子手帳や授乳用品なども必要でしょう。ここでは一般的な持ち出し品をご紹介します。
非常用の持ち出し袋は靴とセットで、用意しておくことをおすすめします。家の外にはガラスの破片や崩れ落ちた外壁などが散乱しているかもしれません。ケガから身を守るために、ヘルメットを被り、歩きやすい靴で、それぞれ自分のリュックサックを持って避難しましょう。
大きな災害が発生した場合、公的な支援がすぐに届くとは限りません。ライフラインが停止し、スーパーやコンビニも営業できなくなる可能性もあります。
過去の大きな災害時に、ライフラインの復旧にかかった日数は下表の通りです。また、内閣府による非常時のライフライン復旧目標日数(東京都)は、電気6日、上水道30日、ガス55日となっています。
しかし、都市部のように被災世帯が多いとライフラインの復旧も遅くなるかもしれません。情報をいち早く取得するためにも、携帯電話の充電器やテレビを見るための蓄電器があると便利です。水は水道が復旧しない間も給水車が巡回してくるので、水をもらうためのポリタンクが必要になります。ガスの復旧は遅くなることが想定されるので、カセットコンロを活用しましょう。
また、ガスを使えないということは、長期間入浴できない可能性があるということです。カセットコンロでお湯を沸かして、温かい濡れタオルで体をふくことで清潔を保ちましょう。
災害発生から3日間は人命救助が優先されるため、道路の復旧や物資輸送は、その後になります。しかも、道路の損壊、落橋、交通渋滞などで物資が1週間程度十分に届かないこともあります。まずはこの10日間を自力で乗り超えられるように、持ち出し袋とは別に、水や食料品などを備蓄しておきましょう。
いざというときに、備蓄品の賞味期限が切れていたり、使い方がわからなかったり、ということがないように点検の日を設け、定期的に買い替えましょう。それが負担という方に、おすすめしたいのが家庭内流通備蓄です。
日常的に購入している食料品を消費したら、食べた分だけ買い足して、常にある程度の量をストックしている状態にしておくだけ。まずは冷蔵庫の食材や米・パスタなど、常温保存の食材が何日分あるのか調べてみましょう。冷蔵庫で3日分、常温保存の食材で7日分あり、合わせて10日分あるという家庭も実は少なくないのです。気づいていないだけで、案外自宅に食材があるかもしれません。だとしたら、災害時に無駄なくどのように消費するかを考えるだけで食の備蓄は大した問題ではなくなります。
飲料水も同様に、定期的に使っていけば市販の飲料水で備蓄可能です。またウェットティッシュ、乾電池、カセットボンベなどの日用品も、普段に使いながら一定の量をストックしておくと突然の災害時にも対応できます。
非常用の持ち出し袋は、すぐ取り出せるように、階段下の収納庫や玄関脇のシューズクローゼットに収納するのがおすすめです。
持ち出し品の中身は、自分に合ったものを。1人で持てる量かどうか確認し、つめすぎに注意!
10日分くらいの備蓄品を用意して、普段から消費しながら買い足していきましょう。
記事監修
危機管理教育研究所代表 危機管理アドバイザー
横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。
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