マイホームをお探しの方の中には、不動産広告に「計画道路にかかる」という一文を見たことがある方も多いかもしれません。
「計画道路」とは、「都市計画道路」の略で、生活利便性の向上や計画的な街づくりのために、都市計画法により将来的にその道路を拡張したり延長したりする計画が決定している道路のことです。
計画道路には2種類あり、「計画決定」は、事業への着手時期が未定のもの、「事業決定」であれば、既に事業に着手しているもの、もしくは着手が決定している計画道路のことを指します。
購入予定の土地が計画道路にかかる場合、将来的にその土地は買収される可能性があることを考慮しておく必要があります。
計画道路がかかる土地を購入する場合、建築可能な建物に制限があります。計画道路の区域内では、「2階以下で、地階がないもので、木造、鉄骨造、またはコンクリートブロック造などの、容易に移転・取り壊しのできる建物」に限り許可されています。
しかしこれでは、いつ事業が始まるかも分からない計画により土地の所有者が不利益を受けるということで、東京23区では、近い将来に事業の開始が見込まれていないこと、建物が計画道路の内外にかかる場合は、将来容易に分離できるように設計すること、など、所定の条件を満たした場合に限り、3階建てや鉄骨やコンクリートブロックに類する構造の建物を建築できるように、規制緩和を行っています。
川崎市や横浜市でも、所定の条件を満たせば、3階建てや地階が認められています。
計画道路の事業が開始した場合、土地は事業主体によって買収され、補償料が支払われます。事業主体によって補償額はまちまちですが、注意したいのは、補償されるのは、計画道路にかかる部分の土地と建物に関わる部分のみだということです。
例えば、計画道路がかかるのが駐車場の一部のみであれば、土地が買収された場合、駐車場が狭くなるだけで、補償額だけでは別の広い駐車場を借りる資金は賄えないというケースもあります。
計画道路が建物にもかかる場合は、その部分の取り壊し費用、または移転費用などが補償されます。この場合は、庭石や樹木の移転費用や、引っ越し費用の他、仮住まいや新居探しのための費用、賃貸中の場合は、移転中の家賃などが補償されるのが一般的です。
最後に、東京23区内の計画道路の実例を見てみましょう。
昭和21年に計画決定された、補助第54号線を渋谷区富ヶ谷2丁目から世田谷区上祖師谷5丁目まで延長する計画は、数回の計画変更を経た後、平成15年に現在の計画が決定しました。その後、全8,950メートルの延長区間のうち265メートルの部分のみについて、平成18年に事業認可を受けて、平成33年度中に完成予定です。
また、同じく昭和21年に計画決定された恵比寿2丁目の環状第4号線開通計画は、平成27年現在、事業認可も下りておらず、事業開始時期も未定です。
一方で、平成24年に計画決定した明大前駅駅前に交通広場を設ける計画は、平成26年には事業認可がおりており、平成34年には完成予定です。
このように、計画決定から事業開始までの期間は実に様々です。
いずれにせよ、購入予定の土地が計画道路にかかる場合は、契約時に不動産仲介会社が説明する義務があるので、ご安心ください。
ご購入される土地が計画道路にかかっていなくても、ご購入予定の土地の周辺に計画道路がある場合は、道路の新設や拡張によって、車の流れが変わり、生活環境が大きく変わる可能性があります。計画道路の情報については、インターネットで公開している自治体も多いので、事前に確認されることをおすすめします。
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