建売住宅は、あらかじめ完成した状態で販売され、キッチンやバス、トイレなどの基本的な設備は住宅本体価格に含まれています。そのため、そのまま住むことは可能です。

しかし、細かい部分を見ると、すべての設備が揃っているわけではありません。たとえば、カーテンレールや網戸、テレビアンテナなどは標準仕様に含まれていないことが多く、別途オプションとして追加する必要があります。

これらがないと、引越し後に不便を感じることもあるため、事前にどこまでが標準仕様で、どこからがオプションなのかを確認しておくことが大切です。

以下で建売住宅のオプションについて解説します。

• 建売住宅のオプションの費用相場一覧
• 建売住宅のオプションはいつ決める？

建売住宅のオプションの費用相場

しかし、多くの家庭ではそれ以上のオプションを取り入れることが多く、トータルで400万円〜500万円ほどの費用を見込んでおいた方が安心です。

特に、住宅の快適性や利便性を向上させる設備を追加すると、予算が膨らむ傾向にあります。

建売住宅のオプションはいつ決める？

建売住宅のオプションには、基本的に決定期限はありません。多くの場合、オプション工事は引渡し後に行われるため、急がず入居後にゆっくり検討することも可能です。

また、引越しと同時に快適な環境で生活を始めたいなら、入居の1〜2か月前までにはオプションを決定しておくと安心です。

後から設置できるものと、事前に工事が必要なものを見極めながら、スケジュールを立てて進めていきましょう。

建売住宅で快適に生活するためには、最低限必要な設備を事前に整えておくことが重要です。

特に、エアコンや照明器具、カーテンレールなどは引越し直後から必須となるため、事前に設置するのがおすすめです。

下記の表では、建売住宅で必ず付けたいオプションとその費用相場を一覧にまとめました。

後付けが可能なオプションもありますが、引渡し前に施工会社へ依頼した方が費用を抑えられるケースが多いため、慎重に検討しましょう。

ここからは、上記のオプションについて順番に解説していきます。

カーテンレール

建売住宅では、カーテンレールが標準仕様に含まれていないことが一般的です。その理由として、事前に設置するとカーテンのデザインや取り付け方法に制約が生じるため、あえて付けない施工会社が多いからです。

費用の目安は窓1ヶ所あたり5,000円〜1万円、家全体では5万円〜10万円程度です。スムーズに準備を進めるためにも、早めにオプションとして設置を検討しましょう。

網戸

建売住宅では、網戸が標準仕様に含まれていないケースが多く見られます。そのため、窓を開けた際に虫の侵入を防ぐためにも、入居前に設置しておくことをおすすめします。

費用の目安は1枚あたり5,000円〜1万円、家全体で10万円〜15万円程度です。快適な生活環境を整えるためにも、早めに設置を検討しましょう。

照明器具

建売住宅では、照明もオプション扱いとなるため、別途設置が必要です。玄関や水まわりなどの一部には標準で備え付けられていることもありますが、リビングや寝室などの生活空間には照明が付いていないケースが多いため、自分で用意する必要があります。

あらかじめ照明器具を取り付けるための配線やソケットが整っていれば、購入した照明器具を取り付けるだけで済みますが、新たに照明を設置する場合は電気工事が必要です。

照明器具の費用は1点あたり5,000円〜2万円程度、電気工事費用は1ヶ所あたり3,000円〜1万円程度が目安です。

エアコン

建売住宅では、エアコンが標準仕様に含まれていないケースがほとんどです。そのため、快適な室温を維持するためには、別途エアコンの設置が必要になります。

エアコンの本体価格は5万円〜25万円程度で、性能や機能によって大きく異なります。設置費用は1台あたり2万円〜4万円程度が目安です。部屋ごとに必要台数を考慮し、予算に合わせて準備を進めましょう。

テレビアンテナ

戸建て住宅でテレビを視聴する方法には、テレビアンテナ、ケーブルテレビ、光テレビの3つがあります。しかし、建売住宅ではこれらが標準仕様に含まれていないケースがほとんどのため、いずれかの設備を契約・設置する必要があります。

特に電波の受信状況に問題がなければ、コストを抑えて地上波を視聴できるため、多くの家庭で採用されています。

テレビアンテナの設置費用は、一般的に5万円〜10万円程度が目安です。地域の電波状況や視聴環境を考慮し、最適な方法を選びましょう。

シャッター

窓に取り付けるシャッターは、防犯や災害対策として必ず付けたいオプションのひとつです。

防犯面を考慮すると、1階の窓への設置が特におすすめですが、強風対策としては2階以上の大きな窓にも取り付けを検討すると安心です。

シャッターの設置費用は1ヶ所あたり6万円〜8万円程度が目安です。安全性と快適性を高めるために、必要な箇所への導入を検討しましょう。

表札

表札はホームセンターやインターネットなどで購入可能で、さまざまな材質やデザインのものが販売されています。自分の好みに合ったものを選び、家の外観に調和するデザインを意識するとよいでしょう。

設置する表札のグレードや素材によって価格は異なりますが、一般的には2万円〜4万円程度が目安とされています。事前に設置を計画し、引越し後に困らないよう準備を進めましょう。

室内干し用バー

雨の日や花粉の多い季節には、洗濯物を室内で干せる環境があると便利です。室内干し用の物干しスタンドを使用する方法もありますが、限られたスペースを有効活用するなら、室内干し用バーの設置がおすすめです。

室内干し用バーの設置費用は2万円〜5万円程度が目安です。日常的に洗濯物を干す機会が多い家庭では、入居前に設置を検討するとよいでしょう。

食器洗い乾燥機

キッチンは標準仕様として設置されていますが、食器洗い乾燥機が備えられていないケースが多くあります。そのため、食後の片付けの負担を減らしたい場合は、オプションとして追加するのがおすすめです。

食器洗い乾燥機の設置費用は10万円〜20万円程度が目安です。毎日の家事を少しでも楽にするために、導入を検討してみましょう。

温水洗浄便座

温水洗浄便座には自動洗浄機能や防汚加工など、トイレ掃除を楽にする機能が備わっているものも多く、家事の負担軽減にもつながります。また、清潔さを保ちやすく、生活の質を向上させる設備として人気があります。

通常の便座から温水洗浄便座への変更費用は約2万円が目安です。衛生面や快適性を考慮し、導入を検討してみましょう。

カップボード

カップボードとは、食器や食料を収納するための棚のことです。キッチンの壁にぴったりと取り付けることで、スペースを無駄なく活用でき、収納力を高められるのが特徴です。

カップボードをオプションで取り付けることで、機能性だけでなくデザインの面でも理想のキッチンを実現しやすくなるため、事前の設置を検討するとよいでしょう。

バルコニー屋根

バルコニー屋根があることで、洗濯物を干す際の急な雨への対応がしやすくなるほか、網戸や窓ガラスの劣化を抑える効果も期待できます。

屋外スペースをより有効に使うためにも、事前に屋根の設置を検討するとよいでしょう。

建売住宅では、標準仕様のままでも生活できますが、より快適な住環境を実現するためには、オプションの追加を検討することが重要です。

下記の表では、快適性や利便性を高めるおすすめのオプションと、その費用相場を一覧にまとめました。

後付けが可能なオプションもありますが、引渡し前に施工会社へ依頼することで、工事費用を抑えられるケースが多くなります。

特に、床暖房やカーポートなど、大掛かりな工事を伴うオプションは、入居後に施工すると手間やコストが増えるため、早めに計画することが大切です。

ここからは、上記のオプションについて順番に解説していきます。

床暖房

また、エアコンのようにホコリを巻き上げることがなく、ガスや石油ストーブと違って空気の汚れを気にせずに使えるのもメリットです。特に、小さな子どもやペットがいる家庭では、安全性の面でも優れた選択肢となります。

ただし、15畳あたり60万円〜250万円程度と費用が高めなうえ、エアコンやこたつに比べて電気代がかかる傾向があります。コストとのバランスを考慮しながら、導入を検討するとよいでしょう。

高断熱ドア

高断熱ドアは、室内の温度を快適に保つために効果的なオプションです。内部に断熱材が組み込まれているだけでなく、枠部分にも断熱仕様が施され、さらに高断熱な複層ガラスが使用されているため、優れた断熱性能を発揮します。

一年を通して快適な室内環境を維持しながら、光熱費の節約にもつながるため、長期的なコスト削減を考える家庭におすすめのオプションです。

電子錠システム

最近では、ICカードを利用するタイプのほか、スマートフォンのアプリで操作できるスマートキー、鍵を持っているだけで解錠できるタッチレスキーなど、多様な選択肢があります。

特にタッチレスキーは、鍵をポケットやバッグに入れたままでもドアを開けられるため、小さな子どもを抱っこしているときや、買い物帰りなどに便利です。

電子錠システムへの交換費用は5万円〜10万円程度が目安です。防犯性と利便性の両方を向上させる設備として、導入を検討するとよいでしょう。

タッチレス水栓

標準仕様のレバー水栓を、タッチレス機能付きの自動水栓に変更するのもおすすめです。手を触れずに水を出せるため、衛生的で使いやすく、キッチンや洗面所での利便性が向上します。

タッチレス水栓への交換費用は3〜10万円程度が目安です。日常生活でレバー操作の不便さを感じる場合は、コストとのバランスを考慮しながら導入を検討するとよいでしょう。

フロアコーティング

また、コーティングを施すことで水や汚れが染み込みにくくなり、日常の掃除がしやすくなる点もメリットです。小さな子どもやペットがいる家庭では、滑りにくいタイプのコーティングを選ぶことで、安全性も向上します。

フロアコーティングの費用はワンフロアで約15万円、家全体では50万円前後が目安です。フローリングの耐久性を高め、長く快適に住み続けるために、導入を検討するとよいでしょう。

吊戸棚

また、日常的な収納だけでなく、非常時の備蓄庫としても活用できるため、防災対策としても役立ちます。特に、収納スペースが不足しがちな家庭では、吊戸棚を設置することでスッキリとした空間を維持しやすくなります。

収納を増やしたい方や、空きスペースを有効活用したい方におすすめのオプションです。設置を検討し、より機能的な空間を実現しましょう。

カーポート

また、雪が積もる地域では、出庫前の雪かきの手間を軽減できる点も大きなメリットです。さらに、直射日光を遮ることで車内の温度上昇を抑え、車の内装やボディの劣化を防ぐ効果も期待できます。

愛車を長くきれいな状態で保ちたい方や、天候の影響を少なくしたい方におすすめのオプションです。設置を検討し、快適なカーライフを実現しましょう。

面格子

面格子は、防犯対策として効果的なオプションのひとつです。シャッターと同様に、窓からの侵入を防ぐ役割があり、特にトイレや浴室などの小窓に設置することで安全性を高められます。

防犯対策を強化したい方や、安全性を向上させたい方におすすめのオプションです。住宅の構造に合わせて、適切な場所に設置を検討しましょう。

センサーライト

センサーライトは、人の動きを感知して自動で点灯する便利なオプションです。トイレや廊下、玄関まわりなどに設置することで、夜間の視認性を向上させ、利便性を高められます。

センサーライトの設置費用は1ヶ所あたり3,000円〜5,000円程度と低コストで導入できるため、コストパフォーマンスの高いオプションとして検討するとよいでしょう。

高機能壁紙

建売住宅には標準仕様の壁紙が貼られていますが、機能性の高い壁紙が採用されているケースは少ないのが現状です。家の快適性を向上させるためには、オプションで高機能壁紙に変更するのも一つの方法です。

また、防カビや抗菌効果のあるタイプを取り入れることで、メンテナンスの手間を軽減できる点もメリットです。

高機能壁紙への変更費用は1平方メートルあたり約1,000円が目安です。住まいの環境をより良くしたい場合は、導入を検討するとよいでしょう。

以下が建売住宅のオプションを選ぶ上での注意点です。

• 家族のライフスタイルに合わせて選ぶ
• オプションに優先順位を付ける
• 複数の業者で比較検討する

家族のライフスタイルに合わせて選ぶ

建売住宅のオプションを選ぶ際には、家族のライフスタイルに合ったものを選ぶことが重要です。生活スタイルや好みは家庭ごとに異なるため、必要なオプションや優先順位も人それぞれです。

オプションを決める際は、導入後の生活を具体的にイメージしながら選ぶことが大切です。慎重に検討することで、暮らし始めてからのミスマッチを防ぎ、より満足度の高い住まいを実現できるでしょう。

オプションに優先順位を付ける

住宅購入時には、多くのオプションが用意されていますが、すべてを取り入れるのは現実的ではありません。限られた予算の中で後悔しない選択をするためには、オプションの優先順位を明確にすることが不可欠です。

次に、将来のライフスタイルを考慮し、長く活用できる設備を選ぶことが重要です。現在の流行に左右されるデザインや、一時的な便利さに惹かれる設備は、数年後に不要になる可能性があります。

最後に、予算に余裕がある場合のみ、嗜好性の高いオプションを検討しましょう。デザイン性や趣味性の強い設備は魅力的ですが、実用性や長期的な価値を慎重に判断することが大切です。

オプションを選ぶ際は、優先順位を明確にし、必要なものから順に取捨選択することが、無駄なコストを抑え、後悔のない住まいづくりにつながります。

複数の業者で比較検討する

オプションの価格やサービス内容は、依頼する業者によって大きく異なります。一般的には建売住宅の施工会社にオプション工事を依頼しますが、場合によっては他の専門業者に依頼した方が費用を抑えられたり、サービスの質が向上したりすることもあります。

選択肢を広げることで、より納得のいくオプションを選べます。コストとサービスのバランスを考え、慎重に業者を選定しましょう。

以下で建売住宅のオプションでよくある質問について解説します。

• オプション費用は交渉できる？
• 住宅ローンにオプション費用は含まれる？
• 後からオプション追加はできる？

オプション費用は交渉できる？

しかし、最初から大幅な値下げを求めたり、過度な値引きを要求したりすると、施工会社の印象を損ねる可能性があります。そのため、適切な金額を提示し、柔軟な姿勢で交渉することが大切です。

また、交渉のタイミングもポイントになります。契約前や最終見積もりの段階で相談すると、比較的受け入れられやすいため、事前に準備を整えておきましょう。

無理のない範囲で交渉を行い、納得のいく条件でオプションを選択することが理想的です。

住宅ローンにオプション費用は含まれる？

オプション費用を住宅ローンに含めるためには、すべてのオプションが確定した後で融資の審査を受ける必要があります。途中で変更が生じると再審査が必要になる場合があるため、事前にしっかりと計画を立てることが大切です。

また、オプションは一度にまとめて契約する方がコストを抑えやすいとされています。追加や修正を繰り返すと、余計な費用が発生することがあるため、慎重に選びましょう。

後からオプション追加はできる？

建売住宅では、契約後でもオプションの追加が可能です。ただし、後から追加すると費用がかさむ可能性があるため、慎重に判断することが重要です。

そのため、オプションはできるだけ契約前に決めておくのが理想的です。後からの追加が避けられない場合は、事前に費用や工期への影響を確認し、無駄なコストを抑えながら進めましょう。

建売住宅のオプション選びは、家族のライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。適切に選べば、快適で満足度の高い生活が実現できます。

まず、必須オプションを優先しましょう。カーテンレールや照明器具、エアコンなどは、入居後すぐに必要なため、引渡し前の設置がおすすめです。

次に、ライフスタイルに合ったオプションを選びます。共働き家庭なら食器洗い乾燥機やタッチレス水栓、室内干し用バーなどが便利です。子どもがいる家庭は、安全対策としてシャッターや面格子を検討するとよいでしょう。

快適性や防犯性を高めるオプションも重要です。床暖房や高断熱ドアは室内の温度管理をしやすくし、電子錠やセンサーライトは防犯性を向上させます。

最後に、予算やメンテナンスも考慮し、優先順位を付けて選びましょう。施工会社や専門業者を比較し、コストパフォーマンスの高い選択をすることも大切です。

記事監修

染矢 真紀

宅地建物取引士/整理収納アドバイザー1級/フードスペシャリスト/一級衣料管理士
ディスプレイ器具リースの前職を経て、整理収納アドバイザーとして独立。多くの住まいの整理･お片付けをコンサルティングした後オープンハウスに入社。契約後のお客様の引き渡しまでのサポート業務に従事し、2021年度社内賞（顧客満足賞）受賞。お客様の生活スタイルをお伺いした上での的確な提案を得意とする、衣食住のスペシャリスト。

• 2025年3月時点の内容です。