この記事では、土地の評価額の調べ方・計算方法、評価額を正確に把握する方法を詳しく解説します。
この記事では、土地の評価額について解説していきます。
土地の売買や相続を検討している人にとって、土地の評価額は気になるポイントです。土地の評価額がわかれば、適切な価格で土地を売買したり、適切な金額を税金で納めたりと、さまざまなメリットが期待できます。この記事では、土地の評価額の調べ方・計算方法、評価額を正確に把握する方法を詳しく解説します。土地の評価額を知り、スムーズに土地を取得したい人はぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
土地の評価額とは、公的機関が公表する「指標となる土地の価格」で、土地の売買価格や税金計算の基準となります。
土地の取引や財産の評価などの際、土地の評価額がわかっていれば、土地の価格や課税額の目安が把握しやすくなるでしょう。
土地の評価額には、以下の種類が挙げられます。
どのような評価額があるのか確認していきましょう。
実勢価格は、実際に取引が成立した価格です。
同じエリアの類似物件でも、市況や取引時期などによって価格が変動します。売主の状況や、不動産会社の売り出し方も価格に影響するでしょう。
実勢価格は価格帯の幅が大きく、特定の金額はありません。希少性の高い土地であれば、相場より高値で購入希望者を探すことも可能です。
逆に、なかなか購入希望者が見つからない土地は、購入希望者が興味を持つように相場よりも価格を下げることがあります。
実勢価格はあくまで取引事例として、価格の目安になるものの、必ずしも同じ価格で売買できるとは限りません。特に不動産を売却する場合、不動産ポータルサイトに掲載されている売り出し価格よりも、売主と買主の合意のもとに売買が成立した実勢価格のほうが安くなる可能性もあります。
公示価格とは、国土交通省が公表する全国の土地の評価額(1㎡あたりの単価)です。「公示地価」「地価公示価格」「公的土地価格」とも呼ばれています。
公示価格は、土地本来の価値を示すために更地の状態を想定して価格が設定されるのが特徴です。
公示価格は地価公示法に基づき、毎年1月1日に全国2万箇所以上の標準地で調査されます。1つの地点について2人以上の不動産鑑定士がそれぞれ現地を調査し、最新の取引事例や土地の収益の見通しなどを分析したうえで評価します。
最終的な公示価格は国土交通省の土地鑑定委員会によって決定され、公表時期は毎年3月下旬です。公示価格は、相続税路線価や固定資産税評価額を決める際の基準にもなっています。
固定資産税評価額とは、固定資産税を計算する基準となる土地・家屋の評価額です。
3年に1度、「評価替え」と呼ばれる見直しが行われ、1月1日時点の評価額が固定資産税評価基準に基づいて算定されます。
公示価格の70%程度が固定資産税評価額の目安になるでしょう。原則として、評価替えの年度以外に固定資産税評価額は変わりません。
ただし、以下のケースでは、評価替えの年度以外でも評価替えが可能です。
評価替えによって、土地の評価額が大きく変動することも少なくありません。固定資産税評価額を基準とする税金には、固定資産税や都市計画税、不動産取得税があります。
相続税評価額は、相続税や贈与税を算定する際に基準となる、財産としての価値です。
実勢価格や公示価格、不動産鑑定士による鑑定評価額などを考慮しながら、国税庁が毎年1月1日時点の価格を7月上旬に公表します。公示価格の80%程度が相続税評価額の目安です。
以下の方式のいずれかで算定されます。
種類 | 詳細 |
路線価方式 |
|
倍率方式 |
|
路線価が定められている市街地や都市部などのエリアでは、路線価方式によって土地を評価します。一方、路線価が定められていない郊外の宅地や農家などでは、倍率方式によって土地評価を行うのが一般的です。
7月に公表された路線価は、その年の1月1日〜12月31日の相続税および贈与税の財産評価で使用されます。
土地の評価額は、公的機関が公表している情報を調べるほか、自分で計算して割り出す方法もあります。特に公示価格や路線価は、ほかの土地評価額を算出するのにも役立つので、間違いがないように割り出しましょう。
ここでは、土地評価額の調べ方や計算方法として、以下のものを解説します。
土地評価額を知りたい人は活用してください。
実勢価格は、国土交通省の『不動産情報ライブラリ』から調べられます。実際に取引された価格を手軽に調べられるので、計算式を用いてわざわざ算出する手間がかかりません。
不動産情報ライブラリで検索する手順は以下のとおりです。
また、類似する条件の土地の取引事例から、所有している土地の実勢価格を算定することも可能です。
実勢価格の目安=条件が類似する土地の1㎡あたりの単価×所有する土地の面積
所在地や最寄駅からの距離、土地面積など条件が似ている取引事例を参考にすれば、リアルな実勢価格を把握しやすいでしょう。
また、公示価格を用いた以下の計算式から実勢価格を知ることも可能です。
実勢価格の目安=公示価格(標準地価)×面積×1.1
実勢価格は一部の人気エリアを除き、公示価格の1.1〜1.2倍ほどが時価相当額とされています。したがって、実勢価格の算出時には1.1~1.2倍にしてください。
公示価格も、国土交通省の不動産情報ライブラリから調べられます。
不動産情報ライブラリで検索する手順は以下のとおりです。
検索結果の画面には、所在・地番や1㎡あたりの価格などが表示されるので、調べたい土地やエリアに類似しているものを参考にするとよいでしょう。
もし公示価格が公表されていないエリアで公示価格を把握したい場合、基準地価を用います。基準地価は各都道府県が公表している、毎年7月1日時点の土地の価格です。
固定資産税評価額は、毎年5月ごろに市区町村から送付される「納税通知書」添付の「課税資産明細書」から確認できます。
「価格」または「評価額」として記載されているのが固定資産税評価額です。不動産が所在する市区町村の担当課窓口で、固定資産税評価証明書を取得・確認しましょう。
また、固定資産税評価額は路線価を使って算定することも可能です。路線価を使った固定資産税の計算式は以下のとおりです。
固定資産税評価額=路線価×土地面積×評点
道路に面する1㎡あたりの価格に、土地面積と土地の状況に応じた補正率(評点)を掛け算してください。
相続税評価額における路線価や倍率表は、国税庁が運営する『財産評価基準書』から確認することが可能です。路線価は以下の方法で調べられます。
国税庁のホームページから路線図を調べると、道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価格が千円単位で表示されます。
路線価がわかったら、以下の計算式で相続税評価額を割り出しましょう。
相続税評価額=路線価×土地面積
概算で問題ないのであれば、上記の計算式で十分です。しかし、相続税評価額を厳密に計算するには、土地の図面を取得し、補正を加えなければならないので注意してください。
土地の評価額を抑えるときのポイントは以下のとおりです。
順番に見ていきましょう。
現地調査を行った結果、土地の評価額が下がるケースがあります。なぜなら、路線価方式で評価されている不動産は、実際に現地調査を行うとネガティブな要素が見つかる場合があるからです。
現地調査で見つかる、土地のネガティブな情報の例は以下のとおりです。
土地の形状や周辺状況などが原因で資産価値が下がる点があれば、評価額も下がります。土地の評価額を抑えたい人は、現地を実際に見てネガティブな面を把握するとよいでしょう。
固定資産の交換の特例を活用すれば、土地の評価額を抑えられる可能性があります。
固定資産の交換の特例とは、個人や法人が土地や建物などの固定資産を同じ種類の固定資産と交換したときに、譲渡がなかったとする制度のことです。
通常、個人や法人が固定資産を交換することは譲渡とみなされ、原則として所得税が課されます。固定資産の交換の特例を活用すれば、譲渡がなかったとみなされ、所得税や住民税が課税されません。
ただし、土地や建物など同じ種類の資産同士の等価交換に限られるといった複数の条件があるので、詳細は国税庁のページを確認してください。
※参考:No.3502 土地建物の交換をしたときの特例|国税庁
土地を相続する際は、小規模宅地特例を活用すると評価額が大きく減少します。小規模宅地特例とは、相続する土地の評価額を最大8割まで減額できる制度です。
本来、被相続人が亡くなり、土地を相続すると高額な相続税がかかります。しかし、小規模宅地特例を活用すれば、配偶者や子供など、残された家族が自宅に住み続けることが可能です。
制度を適用できる宅地の要件を確認してみましょう。
宅地の種類 | 概要 | 減額される割合 |
特定居住用宅地等 | 被相続人が住んでいた宅地 | 330㎡まで80%の評価額 |
特定事業用宅地等 | 被相続人の事業に利用していた宅地 | 400㎡まで80%の評価額 |
貸付事業用宅地等 | 被相続人がアパート事業などで貸し付けている宅地 | 200㎡まで50%の評価額 |
ただし、小規模宅地特例が適用されるためには、相続税の申告期限まで相続した宅地を所有し続けなければなりません。相続後、急いで売却すると制度が適用されない可能性があるので、売却のタイミングは十分に検討してください。
※参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
計算式を用いれば、土地の評価額を大まかに把握するのは難しいことではありません。しかし、より正確な土地の評価額を知りたい人にとっては不向きだといえます。
土地の評価額を正確に把握する方法は以下のとおりです。
順番に見ていきましょう。
土地の評価額は、国土交通省や国税庁などの公的機関が情報を公表しています。
土地の評価額 | 情報を公表している公的機関 |
公示価格・実勢価格 | 不動産情報ライブラリ(国土交通省) |
相続税評価額 | 財産評価基準書(国税庁) |
公的機関が公表している情報に基づいている土地の評価額であれば、信頼性が高いといえます。
土地の評価額は公的機関の運営しているWebサイトから調べられます。しかし、税金や不動産に関する知識がないと、得た情報を活用しきれない場合があります。
正確性を重視したいのであれば、不動産取引の専門家や、財産・相続分野のコンサルタントなどに依頼するのがおすすめです。
不動産に関するスペシャリストが情報を扱うため、より正確な土地の評価額を把握できます。
土地の評価額は、公的機関のWebサイトで調べられます。また、調べた公示価格や路線価を用いた計算式で、固定資産税評価額や相続税評価額などを割り出すことも可能です。
ただし、調べたいエリアの評価額が公表されているとは限らず、知識がないと調べた情報を正しく取り扱えない場合があります。そのため、「おおよその土地の評価額しかわからない」「割り出した土地の評価額が正しいのか不安」というケースは珍しくありません。
土地の評価額をより正確に把握したいときは、専門家へ依頼することも選択肢の1つです。
記事監修
宅地建物取引士/整理収納アドバイザー1級/フードスペシャリスト/一級衣料管理士
ディスプレイ器具リースの前職を経て、整理収納アドバイザーとして独立。多くの住まいの整理・お片付けをコンサルティングした後オープンハウスに入社。契約後のお客様の引き渡しまでのサポート業務に従事し、2021年度社内賞(顧客満足賞)受賞。お客様の生活スタイルをお伺いした上での的確な提案を得意とする、衣食住のスペシャリスト。
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