土地の価格や決まる要因とは?土地価格の種類ごとに相場を調べる方法や調べる際の注意点を徹底解説。
この記事では、土地価格の調べ方に関する情報をまとめて解説します。
土地の価格を調べることは、不動産の購入や売却を検討する際に欠かせません。複数の情報源を参考にして注意点を押さえることで、適正な土地価格かどうかを判断することが可能です。
この記事では、土地価格の種類ごとに相場を調べる方法や調べる際の注意点を徹底解説します。土地の価格や決まる要因を知りたい人はぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
土地価格が決まる根拠となる指標として、以下の4つが挙げられます。
順番に解説します。
公示地価とは、国土交通省が毎年3月に公表する土地価格で、一般的には土地取引の基準となる価格です。全国約2万6,000地点の標準地の価格を算出しており、以下の特徴があります。
土地自体の価値を測るため、建物がない状態と仮定して価格が設定されます。複数の不動産鑑定士がそれぞれ現地調査を行ったうえで分析されるのも特徴です。
公示地価は、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」から調べられます。
実勢価格とは、実際の市場で取引された土地の価格のことです。公示地価や他の評価額と比較して、より現実に近い金額を反映している一方、以下の特徴もあります。
実勢価格は、売主と買主の交渉の結果取引された価格であるため、公示地価より高い場合や低い場合があります。
エリアなどの条件が似ている土地であれば、売買価格の目安として使用できる可能性は比較的高いですが、必ずしも同じ価格で売買できるわけではないため注意が必要です。
実勢価格も、国土交通省の『不動産情報ライブラリ』から調べられます。
相続税評価額は、相続税や贈与税を算出するために使用される土地の評価額です。特徴は以下のとおりです。
一般的には相続税評価額は「路線価方式」を用いて算出されますが、「倍率方式」が用いられるケースもあります。それぞれの違いは以下のとおりです。
種類 | 詳細 |
路線価方式 | ・国税庁から公表される1月1日時点での土地の価格 ・事務所をかねた住宅路線価が定められている地域の評価方法 |
倍率方式 | ・地域ごとの倍率表を用いて土地の評価を行ったうえで、算定された価格 ・路線価が定められていない地域の評価方法 |
参考:
その年の相続税や贈与税を計算する際に用いられるのが、相続税評価額です。国税庁が運営する「財産評価基準書」から確認できます。
固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税を計算する際の基準となる価格です。以下の特徴を持っています。
原則として、評価替えの年度以外に固定資産税評価額が変動することはありません。
ただし、土地の区画や形質が変わったり地価が大幅に下落したりしたケースでは、評価替えを行える場合があります。
毎年5月に土地の所有者に送付される課税明細書に記載されています。また、各自治体で固定資産課税台帳を閲覧したり、固定資産評価証明書を発行してもらったりすることで確認可能です。
ここでは、土地価格の一般的な調べ方として、以下の4つの方法を紹介します。
上記の方法が、公示地価や実勢価格、相続税評価額、固定資産税評価額のどれに該当するのかも紹介します。順番に詳しく見ていきましょう。
不動産情報ライブラリは、不動産に関するさまざまな情報を閲覧できるWebサイトで、国土交通省が運営しています。
不動産情報ライブラリを利用すれば、公示地価と実勢価格を知ることが可能です。公示地価を知る手順は以下のとおりです。
実勢価格を知る手順は以下のとおりです。
上記の手順で、公示地価や実勢価格を確認可能です。
路線価図は、国税庁が運営している「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」から確認できます。路線価図を利用すれば、相続税評価額を調べられます。
相続税評価額を調べる手順は以下のとおりです。
固定資産税評価額は、土地所有者に送付される「固定資産税納税通知書」に添付されている「課税明細書」で確認できます。
また、各自治体の固定資産課税台帳の閲覧や、固定資産評価証明書の発行でも確認可能です。
一般的に、固定資産税評価額は公示地価の70%程度になっています。つまり、実際の取引価格により近い公示地価を算出するためには、固定資産税評価額×1.4の計算を行うと良いでしょう。
不動産会社に査定を依頼することで、土地の現実的な取引価格を直接教えてもらえます。
不動産会社による査定には、主に以下の2種類があります。
簡易査定 |
|
訪問査定 |
|
不動産会社の査定額は、物件や取引条件、依頼する不動産会社によって変動することがあります。
土地価格が決まる主な要因として、以下が挙げられます。
順番に解説します。
景気が良いときは土地の需要が高まり価格が上昇し、不景気になると需要が減少して価格が下がる傾向があります。
また、金利やインフレ率なども土地価格に影響を与える要因です。
市場金利が低下した場合は住宅ローン金利も低下して組みやすくなるため、土地を購入する人が増え、価格が上昇する可能性があります。
また、景気が後退した場合、不動産会社や個人が土地購入を控えるため、価格が下落することが多いといえます。
土地売買においては、現在の経済情勢が上昇局面なのか下降局面なのかを考慮することが重要です。
価格に影響する要因として、主に以下が挙げられます。
特に、駅から近い土地ほど価格が高くなりやすいです。主要駅から近ければ交通の利便性が高いだけでなく、商業施設も数多く立地しているため、生活しやすい環境が整っています。
また、病院や学校が近くにあるエリアや治安が良いと評価されているエリアは、家族向けに特に人気があり、価格は高くなります。
一般的に、道路が広いほど土地活用の幅が広がり、価格も上昇する傾向があります。
特に建築基準法の規定により、幅4m以上の道路に接している土地でなければ新たに建物を建てられません。道路の幅が4m未満の場合は、敷地として利用できる範囲を道路の中心線から2m後退させる「セットバック」を行う必要があり、利用できる土地の面積が限られてしまいます。
そのため、接する道路が狭い土地は価格が低くなりやすいでしょう。
正方形や長方形などの整形地は、建物の設計がしやすく需要が高いといえます。一方、三角形や極端に細長い形をしている不整形地は、建築の制約が増え、価格が下がる傾向があります。
また、細い通路部分を通って奥に広がる土地は旗竿地と呼ばれ、接道部分が狭いことがデメリットです。
不動産会社の中には、土地活用の制約が厳しい傾向にある不整形地や旗竿地を得意としている会社もあります。そういった会社に依頼すれば、形状が限られている土地であっても活用する余地はあるでしょう。
南側が道路に面していて日当たりが良い土地は、特に住宅用地として人気があり、価格が高い傾向にあります。一方で、北側が道路に面している土地は日当たりが悪くなりやすいため、南向きと比べると価格は低いでしょう。
東側や西側が道路に面している土地は朝日や夕日が入るため、住宅用途としては好みが分かれます。
また、一面のみが道路に面している土地より二面が面している土地のほうが、日当たりや通気性が優れており土地活用の幅が広いため、価格が高くなりがちです。
一般的に、面積が大きいほど価格も高くなりますが、地域や用途によって適正な広さが異なります。
住宅地の場合、その地域で一般的な広さであるほうが人気だといえます。その理由は、狭すぎると建物の設計が難しくなり、広すぎると価格が割高に感じられるからです。
東京23区の住宅地では、20坪(60㎡)前後の土地に戸建を建築するケースが増加しています。20坪前後の土地の需要は高いでしょう。
駅周辺の利便性の高い商業地の場合、面積が広いほど事業展開に有利であり、需要が高まる傾向があります。
ここでは、土地の価格を調べるときの注意点を紹介します。
土地価格は経済状況や地域の需要と供給によって変動します。
そのため、公表されている価格が必ずしも最新の情報を反映しているとは限りません。
特に、公示地価や路線価などは1年に一度しか更新されません。そのため、実際の市場価格とズレが生じる可能性があります。不動産会社の売り出し価格もタイムラグがあるケースも考えられます。
公表されている価格は、あくまで目安程度に考えておくことをおすすめします。
そのため、売り出し価格を基準に判断することは避けたほうが良いといえます。
売り出し価格には交渉余地があるため、高めに設定されることが一般的です。例えば、売り出し価格が3,000万円だった土地が、交渉の結果、成約価格が2,700万円になるケースもあります。
このように、売り出し価格を参考に資金計画を立てるとズレが生じる可能性がある点を押さえておきましょう。
土地価格を正確に知るためには、複数の不動産会社に査定を依頼することが重要です。
同じ土地であっても、不動産会社ごとに査定基準が異なるため、価格にバラつきが出ることがあります。
1社のみに査定を依頼した場合、査定価格が適正なのか、自社で不動産を仲介するためにあえて高い価格を提示しているのか判断がつきません。
複数社の査定を比較することで、極端に高い価格・低い価格を取り除け、適正価格がどの程度なのか把握できます。
査定価格の根拠がなければ、その価格で実際に売れるかどうかわかりません。根拠が明確であれば、査定価格が信頼できるかどうか判断しやすくなります。
査定価格が高すぎる場合、理由を明確に説明できないケースもあります。
近隣の取引事例や土地の特性を基に、査定価格の根拠を説明してくれるか、実際に売却する見込み顧客を抱えているかなどの観点から、信頼できる不動産会社かどうかを見極めましょう。
公示地価や実勢価格、路線価、不動産会社の査定といった異なる情報源を組み合わせることで、適正な価格を把握しやすくなります。
ただし、公表されている価格が最新の市場状況を反映していない場合や、売り出し価格が必ずしも成約価格と一致しない場合がある点には注意が必要です。
また、複数の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの価格がどのような根拠に基づいているのかを明確にすることも大切です。
より良い価格で土地を売買するために、土地価格の相場を把握しておきましょう。
記事監修
宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
最新のトレンドや法改正を踏まえ、円滑な住宅売買に向けた仕組み作りと前線でのサポートを実践する。「ちんたいグランプリ(旧・不動産甲子園)」 2020年度・2022年度特別賞。
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