土地を所有している人が家を建てる際に、費用がいくら必要なのか詳しく解説します。
この記事では、土地を所有している人が家を建てる際に、費用がいくら必要なのか詳しく解説します。
家を建てる際には、本体工事費だけでなく外構工事や地盤改良工事などの別途工事費、諸経費なども含まれています。土地をすでに所有している場合でも、費用相場をしっかり把握しておくことで、スムーズな家づくりを実現できます。
この記事では、家を建てる費用を抑えるコツや注意点も解説します。土地をすでに所有していて家を建てることを検討している人は、ぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
住宅金融支援機構の『フラット35』の利用者を対象にした調査によれば、2023年度に首都圏で家を購入した人が建設費にかけた金額は約4,190万円でした。
建設費を相場とした場合に地域別で比較すると、以下のとおりです。あわせて、事前に用意した方が良い頭金の目安も記載しています。
費用相場(建設費) | 頭金の目安(※) | |
全国 | 約3,861万円 | 約386万円 |
首都圏 | 約4,190万円 | 約419万円 |
近畿圏 | 約4,142万円 | 約414万円 |
東海圏 | 約3,893万円 | 約389万円 |
その他の地域 | 約3,623万円 | 約362万円 |
※頭金の目安は建設費の10%で計算(小数点切り捨て)
※参考:2023年フラット35利用者調査(P19)|住宅金融支援機構
上記の表から、首都圏が最も高額で、土地ありで理想とする家を買うためには平均4,000万円程度かかることがわかります。
土地ありで家を建てる場合の費用内訳は以下のとおりです。
順番に見ていきましょう。
本体工事費
本体工事費とは、家そのものをつくるための費用のことで、建築費全体の約70%を占めます。本体工事費に含まれる、主な費用項目は以下のとおりです。
坪単価は、一般的に本体工事費を延床面積や施工面積で割った金額を指します。
別途工事費
別途工事費とは、家の本体以外にかかる費用のことで、建築費全体の約20%を占めます。別途工事に含まれる主な費用項目は以下のとおりです。
地盤改良工事にかかる金額は、土地の状態によって大きく異なります。
諸経費
諸経費とは、家の工事以外にかかる費用のことで、物件価格の7〜9%を占めます。諸経費に含まれる主な項目は以下のとおりです。
工事費用ではないため、家の計画時に見落としがちなコストだといえます。
ここでは、土地を持っている人が建てられる家の特徴を、費用別に紹介します。
家の特徴を順番に見ていきましょう。
1,000万円台の予算で家を建てるのは困難に思えますが、工夫次第では実現可能です。1,000万円台の家には、主に以下の特徴があります。
必要な機能がありながら、購入費用を大幅に抑えることが可能です。ただし、断熱性能や内装のクオリティ、間取りの自由度には妥協が必要な場合もあります。
また、「1,000万円台」というのはあくまで本体価格のみを指すケースが多く、オプションの追加や仕様の変更などによって追加費用がかかるケースもあります。
1,000万円台の家は、内装や間取りにそれほどこだわらず、シンプルな設計や素材選びを重視することで実現可能です。
ただし、より快適性や自由度を求めるなら予算の増額を検討する必要があるでしょう。
2,000万円台の家は、1,000万円台の建築プランをベースとしながらも、一部をグレードアップできるのが特徴です。費用を抑えながらも、以下のような要素を盛り込むことが可能です。
2,000万円台の家は、費用を抑えながらいくつかの部分にこだわりを反映できるため、コストパフォーマンスに優れています。
ただし、グレードアップの範囲を広げると予算オーバーになりやすいため、こだわる箇所を絞る必要があります。また、延床面積が広い場合は資材のコストが増加するため、家全体にこだわりを反映することは難しいといえるでしょう。
3,000万円台の家では、設計や仕様の自由度が大幅に広がり、こだわりを取り入れやすくなります。具体的には以下の家づくりが可能です。
予算3,000万円台の家は、間取りの自由度や設備のグレードにこだわれる点が大きな魅力です。
ただし、すべての内装材や設備を最高グレードにすることは難しいため、コストカットする場所とグレードアップする場所を明確に分ける必要があります。
自由度と広さを両立したい人に最適な予算帯である一方、設備の選択にはメリハリをつけることが大切です。
予算4,000万円を超えると、設計や仕様における制約が非常に少なくなり、以下のように細部までこだわった家づくりが実現できるでしょう。
4,000万円台の家は、デザインや間取りの自由度が高く、中庭や複雑な形状や天然素材を使った内装など、ほとんどの希望を実現できるのが最大の魅力です。
コストカットを意識せずに理想の家を目指せるため、妥協したくない人にとって理想的な予算帯といえます。
ここでは、土地を所有している人が家を建てるときの一般的な流れを紹介します。
順番に見ていきましょう。
家づくりは、事前に予算を立てることから始まります。予算は、自己資金と住宅ローンの借入可能額などをもとに慎重に決めましょう。
自己資金は預貯金をすべて使い切るのではなく、家を建てる際にかかる諸費用や予備費を考慮して算出することが大切です。住宅ローンの借入可能額は、年収や家計とのバランスを考慮し、無理のない範囲で設定しましょう。
余裕のある予算を立てることで、家計の圧迫や返済が厳しくなるリスクなどを防止できます。
設定した予算に応じて家の間取りやデザイン、設備を選ぶため、将来の返済が可能でありながら家のこだわりも実現できる予算を立てることが大切です。
予算を立てたら施工会社を選びます。
施工会社は設計や設備、住宅性能についての相談にも応じてくれる重要なパートナーです。そのため、これまでの施工実績などを確認し、自分たちの理想に合った家を建てられるかを見極めることが大切です。
また、施工会社の担当者とは頻繁にやり取りをするため、コミュニケーション能力や人柄も選ぶ際の重要なポイントです。質問に対するレスポンスが早く、親身に対応してくれる担当者であれば、安心して任せられるでしょう。
施工会社が決まったら、家づくりのプランを具体的に打ち合わせていきます。
まず、建てたい家のイメージを施工会社の担当者に共有し、予算と希望条件を照らし合わせて計画を進めましょう。もし予算オーバーしている場合は、優先順位の低い希望条件を見直し、削れる部分がないか検討します。
また、土地の状態や法令の制限によって希望条件が実現できない場合もあります。打ち合わせの中で担当者と一緒に、実現できるかどうかを条件ごとに確認しましょう。
プランや見積もりが確定したら、施工会社と工事請負契約を結びます。
契約締結の際は、契約内容を十分に確認することをおすすめします。特に、追加工事や変更への対応、保証やアフターサポートの内容について確認しておきましょう。
また、住宅ローンを利用する場合は、工事請負契約を結んだ直後に金融機関の本審査を受ける必要があります。本審査には、工事請負契約書などの必要書類を提出します。
審査を通過した後は、金融機関と住宅ローン契約を結び、引き渡し時に融資が実行されます。
住宅ローン契約を締結したら、着工します。着工後の工程管理は基本的に施工会社が行いますが、進捗状況は定期的に確認すると安心です。
また、工事が終盤に差し掛かったら、引き渡し後の準備をしておくとスムーズです。地鎮祭や上棟式を行う場合は、事前に施工会社とスケジュールや段取りを打ち合わせておきましょう。
建物が完成したら、まず市区町村による完了検査を受け、次に施主と施工会社が立ち会って竣工検査を行います。竣工検査では、プラン通りに建てられているか、不具合や破損がないかを細かく確認します。
検査で指摘した箇所がある場合は、引き渡し日までに補修が完了しているか確認しましょう。
すべての検査が終わると、正式に家の引き渡しとなります。引き渡し日には、住宅ローンの融資実行や残代金の支払い、登記手続きが一括して行われます。
手続きを滞りなく進めるため、事前に必要書類を準備しておきましょう。
家を建てる費用を抑えるコツは以下のとおりです。
順番に紹介します。
家を建てる費用を抑えるなら、優先順位を明確にすることが重要です。
立地や設備、間取りなど、家づくりにおけるさまざまな要素の中で、何に重点を置くかを事前に決めておくことで、予算オーバーを防ぎやすくなります。
立地を優先する場合は、設備や内装で標準仕様を選択する必要があります。一方で、機能が優れた設備や高級感のある内装を求めるなら、ある程度立地を妥協する必要があるでしょう。
希望条件の優先順位をつけておくと、予算との兼ね合いを考えやすくなります。万が一、予算を超えてしまった場合でも、どこを見直すべきかがより明確になります。
限られた予算の中で、満足度の高い家づくりを実現するには、バランスを重視することが重要です。事前にじっくりと希望条件を整理してプランを立てましょう。
複雑な形状の建物は外壁の面積が増え、建築費用も高くなりがちです。そのため、家の形や屋根のデザインをできるだけシンプルにしたほうが費用を抑えられるでしょう。
例えば、キューブ型の住宅はコストを抑えつつ床面積を最大限に活用できます。シンプルな形状にすることで、コストを削減しつつも理想の家づくりが可能です。
ここでは、相続した土地に家を建てる場合の注意点として以下の2点を解説します。
順番に見ていきましょう。
親から相続した土地に家を建てる場合、まず相続登記を行い、土地の名義を親(被相続人)から自分(相続人)に変更する必要があります。
相続登記をしていない場合、土地は被相続人の名義のままとなり、抵当権設定登記ができません。土地を担保にして住宅ローンを借りられず、結果的に家を建てられなくなります。
相続登記を行うには、法定相続人全員の合意が必要です。そのため、相続財産の確認や遺産分割協議を早めに進め、誰が何を相続するのか決める必要があります。
相続登記には、登録免許税や司法書士報酬がかかる点に注意が必要です。
土地を相続した場合には相続税、被相続人が存命中に土地を譲り受けた場合には贈与税がかかります。
相続税には基礎控除があり、以下の計算式で控除額が決まります。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の人数
上記の計算式で求められる金額の範囲内であれば非課税となり、相続税は発生しません。
また、配偶者控除や未成年者控除などの制度を活用することで、相続税の負担をさらに軽減できる場合もあります。
贈与税は、暦年課税制度と相続時精算課税制度があります。
暦年課税制度 |
|
相続時精算課税制度 |
|
どちらのほうが費用を抑えられるかはケースによって異なります。
条件や特例によって税金を抑えられる場合も多いため、事前に税制について調べ、必要な場合は専門家に相談することをおすすめします。
※参考1:No.4102 相続税がかかる場合|国税庁
※参考2:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁
この記事で解説したように、土地ありで理想の家を建てる際の費用相場は約4,000万円前後です。
ただし、必ずしも4,000万円の資金を用意しなければならないわけではありません。標準仕様のプランをベースに検討していくと、2,000万円~3,000万円程度でマイホームを実現することも可能です。
標準仕様から希望条件に合う部分だけグレードアップすることで、全体のコストを抑えることが可能です。土地や予算に合わせた計画を立て、理想の住宅を実現しましょう。
記事監修
宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
最新のトレンドや法改正を踏まえ、円滑な住宅売買に向けた仕組み作りと前線でのサポートを実践する。「ちんたいグランプリ(旧・不動産甲子園)」 2020年度・2022年度特別賞。
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