東京では多くのエリアで再開発事業が進められています。なかでも23区にあたる城北・城東・城南・城西エリアでは、特に活発な再開発が行われており、都市機能の新陳代謝が進んでいます。こういった再開発により、東京という街やその周辺は将来的にも利便性が高まっていく可能性が高く、住みやすさの確保と資産価値の上昇を同時に狙えるエリアでもあります。この記事では、東京都にて再開発が行われている地域とその状況に関してご紹介します。
東京を中心とした首都圏で再開発事業が推し進められているのには理由があります。そもそも再開発が何であるかを踏まえたうえで、東京で再開発が行われる理由を紐解いていきます。
「再開発」とは、都市開発法に基づいて行う市街地再開発事業や、密集法に基づいて行われる防災街区整備事業などをまとめた総称を指します。すでにある街の区画を変更したり、新たに建物を建て替えたりすることで、住みやすく利便性の高い街へと生まれ変わらせることを目的としています。
再開発が行われるときは建物だけではなく、道路や鉄道といったインフラの整備も同時に行われることが多いです。そのため交通の便が改善され、より多くの商業施設が出店してくるなどして、住みやすさが再開発以前よりも向上する傾向が見られます。
また、再開発が行われることでエリアとしてのブランド力が高まり、結果として物件の資産価値が高まることも期待されます。
東京などの大都市部で再開発が活発なのは、都市機能の新陳代謝が一定の周期で必要だからとも言えます。東京は日本のなかでも人口の増加が顕著に見られるエリアであり、人口の集中によって解決すべき都市問題も多くあります。
近年では増加する人口流入への対応に加えて、東日本大震災をきっかけとした防災機能強化、人の流れや暮らしを意識したインフラ整備などがあげられます。特に防災機能の強化は重要です。人口が密集すれば災害のリスクは高まるので、再開発によって安心して生活できる基盤を整えることは欠かせません。
また、東京五輪の開催にあたってはそれまで増加傾向にあった訪日外国人向けに、都市としての東京の魅力を積極的にアピールしていくことが求められました。東京をきっかけとして日本そのものに興味を抱いてもらえば、観光業などの発展に大きくつながっていく可能性があります。
日本の首都として位置付けられる東京だからこそ、再開発プロジェクトが盛んであり、都市の魅力を高めようとする動きが活発なのです。
東京ではさまざまなエリアで再開発が行われていますが、人気を誇る山手線沿線での再開発が特に活発です。東京のエリアを表す呼称として、城北・城東・城南・城西といった言葉がよく使われます。
これは現在の皇居を中心として、東西南北に位置する地域を指すものです。今の区割りでとらえた場合、皇居のある千代田区を除いた22区を4つに分類するのが一般的だと言えます。
分け方にはいくつかパターンがございますので、今回はそのひとつをご紹介しつつ、それぞれのエリアで実施や実施が予定されている再開発プロジェクトとその影響に関しても取り上げてまいります。
城北エリアとは、文京区・豊島区・北区・荒川区・板橋区・足立区の6区を指します。近年は利便性の高まりとともに地価の上昇が顕著です。この城北エリアの再開発は、隣接する埼玉エリアの利便性の向上にもつながるので、埼玉エリアの暮らしやすさにも良い効果をもたらしています。
城北エリアの中でも現在は西日暮里駅において「西日暮里駅前地区市街地再開発」が進行中です。2022年度の着工で、2026年度に竣工予定となっています。
大きな特徴としては、高さ170~180m、延床面積16万2,900平米のタワーマンションと複合施設が建設予定である点です。
また池袋駅でも再開発が活発であり、駅の東口側における造幣局跡地の一部に東京国際大学のキャンパスが2023年までに完成予定となっています。一方、池袋駅西口側でも大規模な再開発が構想されており、注目されていると言えるでしょう。
このように日暮里や池袋の再開発が進んでいることで、城北エリア全体の利便性の向上が期待できます。
城東エリアとは、中央区・台東区・墨田区・江東区・葛飾区・江戸川区の6区を指します。情緒豊かな下町の雰囲気を残す地域がある一方で、東京駅周辺や東京湾沿いでは活発な開発が行われており、伝統と革新が共存するエリアと言えます。
現在「日本橋一丁目中地区再開発」として、日本橋に高さ284mの超高層ビルの建設が計画中です。延床面積38万300平米に及ぶランドマークとなるビルの建設が予定されており、歴史のある日本橋は新たな街としてさらに生まれ変わろうとしています。
また、東京駅八重洲口側でも巨大ビルの建設が計画されており、地下に巨大バスターミナルが設けられる予定です。東京駅を中心としたエリアの再開発は、隣接する江東区をふくめ、城東エリア全体の人の流れを活性化するとともに、エリア全体の利便性を高めることも期待できます。
城南エリアとは、渋谷区、港区・品川区・目黒区・世田谷区・大田区の6区です。洗練された街並みが特徴で、多くの高級住宅街が広がることで知られているのがこの城南エリアです。
渋谷駅周辺の再開発が活発に行われており、駅に直結した複合施設「渋谷スクランブルスクエア」の建設が進んでいます。
第1期工事として地上47階・地下7階建ての東棟が2019年に完成しており、高さは230mを誇ります。2027年には中央棟・西棟の完成が見込まれていて、渋谷駅やその周辺地域の再開発の中核を担う施設として注目されています。
他にも「桜丘口築第一種市街地再開発事業」、「道玄坂二丁目開発計画」、「NHK放送センター立替工事」など、再開発計画が目白押しであり、渋谷エリアは今もっとも注目すべきエリアのひとつでもあります。
また、渋谷駅は多くの路線が乗り入れるターミナル駅であるため、駅周辺の再開発は城南エリア全体にとっても利便性の向上に結び付いていくと言えます。
城西エリアとは、新宿区・中野区・杉並区・練馬区の4区であり、明治以降に急速に発展してきた地域です。現在では、副都心としての重要な機能を担っており、積極的に再開発が行われています。
特に新宿駅周辺では「新宿グランドターミナル構想」が推し進められています。新宿駅東西の駅ビルを建て替え、新宿テラスを整備し、ビル間の動線を分かりやすくするための計画です。
これまで新宿駅のシンボルであった小田急百貨店や新宿ミロードなどの建て替え工事などによって、新宿駅周辺の様子も大きく様変わりする予定です。さらに駅周辺だけでなく、歌舞伎町エリアの高層化も計画されています。
新宿は都庁やオフィス街、大規模な商業施設があり、人の流れが多いのも特徴です。新宿駅周辺の利便性が高まることは城西エリアの発展につながり、さらなる活性化が見込まれています。
東京では山手線以外のエリアでも再開発が活発に行われています。今回は、金町エリア・中野エリア・ベイエリアについて、どのような再開発が行われているかをご紹介します。
葛飾区金町は、下町の情緒を大事にしながらも、再開発によって魅力が高まりつつあるエリアです。JR金町駅を南北に挟んだエリアは再開発が活発であり、区全体の利便性の向上が見込まれています。
「東金町一丁目西地区第一種市街地再開発事業」において、地上44階建ての超高層マンションの建設や商業施設の誘致、さらに自動車教習所なども併設した複合施設が整備される予定です。金町エリアでは築年数の多い建物が密集し、歩道が狭いなどの課題があったため、災害に強い街づくりという意味でも、再開発に期待が寄せられています。
中野エリアでは、JR中野駅を中心として駅ビルの新設計画や中野サンプラザの建て替えなどが計画されています。新たに形成される「NAKANOサンプラザシティ」を中心とした再開発が特徴であり、中核的な施設としてNAKANOサンプラザとシンボルタワーの整備が進められます。
従来、形成されている地区とはスカイデッキによって結び付けられ、新旧を織り交ぜる形で中野地区の文化を発信していく計画となっています。中野エリアは新宿駅にも近く、周辺から人の流入が見込まれるため、周辺地域も含めて魅力を高める再開発プロジェクトとなるでしょう。
東京湾に面した豊洲駅や豊洲公園などの周辺では、大規模な再開発が行われています。「豊洲ベイサイドクロス」と呼ばれる再開発事業において、2棟の超高層ビルが誕生することになり、資産価値の向上に一役買っています。
豊洲を擁する江東区では積極的な再開発プロジェクトが進められており、有楽町線延線の計画も持ち上がっています。交通の利便性がさらに高まれば、城東エリア全体の活性化が期待できるので、注目のエリアだと言えるでしょう。
東京を中心とした首都圏全体で再開発が活発に行われており、都市機能の強化や利便性の向上が見込まれている。
山手線沿線では特に再開発が積極的に進められており、城北・城東・城南・城西エリアの開発が周辺地域全体の魅力を高めることにつながっている。
山手線沿線以外のエリアでも再開発が行われており、街の新陳代謝が活発な傾向が見られる。
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