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長期優良住宅とは?認定基準や新築するメリット・デメリットを解説

長期優良住宅とは?認定基準や新築するメリット・デメリットを解説

2025年1月21日(火)

家さがしの知識

この記事では、長期優良住宅について解説します。

長期優良住宅とは、省エネ性能や耐震性などに優れ、長期的に快適な生活を送れる住宅のことです。認定を受ければ、さまざまな住宅ローンや減税・補助金制度で優遇措置を受けられます。

この記事では、長期優良住宅の概要や認定基準を詳しく解説します。新築するメリット・デメリットや後悔しないためのポイントもお伝えするので、ぜひこの記事を参考にしてください。

【この記事でわかること】

  • 長期優良住宅とは?
  • 長期優良住宅を新築する場合の認定基準
  • 長期優良住宅を新築するメリット
  • 長期優良住宅を新築するデメリット
  • 長期優良住宅で後悔しないためのポイント

長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは、長期間にわたって良い状態のまま居住できる性能を備えた住宅のことです。

長期的に快適な生活ができる住宅の建築や維持保全をサポートするために、2009年から認定が開始されました。国土交通省の資料によると、2022年までに累計147万戸以上の住宅が認定を受けており、毎年10万戸以上の住宅が新たに認定されています。

長期優良住宅に認定されれば、住宅ローンの金利が引き下げられたり減税制度で特例措置が適用されたりするなど、さまざまな恩恵を受けられます。ただし、認定には基準が設けられており、建築計画を進める前に確認しておくと安心です。

参考:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

長期優良住宅を新築する場合の認定基準

ここでは、新築の長期優良住宅における認定基準を解説します。

  • 劣化対策
  • 耐震性
  • 維持管理・更新の容易性
  • 省エネルギー性
  • 可変性(共同住宅・長屋の場合)
  • 居住環境
  • 住戸面積
  • バリアフリー性
  • 維持保全計画
  • 災害配慮

順番に見ていきましょう。

劣化対策

長期優良住宅では、劣化対策等級が3であることが求められています。

劣化対策等級とは、新築から大規模リフォームが必要になるまでの期間を延ばすために取られる対策の程度のことです。

等級3の住宅には、住宅が限界状態に至るまでの期間が3世代以上になるための対策が必要です。長期優良住宅に認定されるためには、構造別に以下の基準も満たす必要があります。

構造種類 基準
木造
  • 床下空間の有効高さを確保
  • 床下や小屋裏の点検口設置 など
鉄骨造
  • 柱・梁・筋かいに使用している鋼材の厚さ区分に応じた防錆措置(もしくは木造の基準)
鉄筋コンクリート造
  • 水セメント比を減らす、もしくは、かぶり厚さを増す

構造によって設けられている基準が異なる点に注意が必要です。

参考1:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

参考2:

平成30年度 建設住宅性能 評価書(新築)データ (一戸建ての住宅)丨一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

参考3:

評価方法基準案(劣化対策)の各等級に要求される水準の考え方丨国土交通省

耐震性

長期優良住宅では、耐震性に関して以下のいずれかの条件に該当している必要があります。

  • 耐震等級2を満たしている
  • 耐震等級1で、かつ安全限界時の層間変形が1/100以下である
  • 耐震等級1で、かつ各階の張り間方向および、けた行方向に関する所定の基準に適合している

参考:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

安全限界時の層間変形とは、建物が外力によって倒壊・崩壊しない限界の時点において、上階と下階の間に水平方向に生じるズレのことです。張り間方向は小屋梁と平行な方向を指し、けた行方向は建物の長手方向を指します。

耐震等級は、地震による被害を抑えるために設定された指標です。耐震等級1は建築基準法で定められており、等級2は1の1.25倍、等級3は1.5倍の力の地震でも損傷を受けない程度のものとされています。

耐震等級を含め、新築住宅の耐震性を建築前に見直すことがおすすめです。

参考1:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

参考2:

地震などに対する強さ(構造の安定)丨一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

維持管理・更新の容易性

長期優良住宅では、配管の掃除や補修が容易にできることや、排水管の更新工事を軽減するための対策が取られていることなどが条件となっています。

住宅の維持管理については、維持管理対策等級や更新対策に関する等級が定められており、長期優良住宅では以下のように基準が決められています。

住宅 条件
一戸建て
  • 維持管理対策等級(専用配管)3
共同住宅など
  • 維持管理対策等級(専用配管)3
  • 維持管理対策等級(共用配管)3

一戸建て住宅の場合、専用配管の維持管理対策等級のみが基準となっています。

一方、マンションなどの共用住宅の場合、共用で使用する配管や排水管の維持管理対策等級と更新対策等級の基準も満たす必要があります。

共同住宅の購入を検討している人は、管理会社などに配管や排水管の等級について確認しておきましょう。

参考1:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

参考2:

配管の清掃や補修のしやすさ、更新対策丨一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

省エネルギー性

省エネルギー性に関する基準として、以下2つに該当している必要があります。

  • 断熱等性能等級5
  • 一次エネルギー消費量等級6

参考:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

断熱等性能等級は住宅の断熱性能の程度を示すものであり、『住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)』で定められています。また、一次エネルギー消費量等級は、1年間に住宅が消費するエネルギーの量を数値化して示した指標のことです。

年間を通して快適に生活したい人には、断熱性能を高めてエネルギー消費量を抑える工夫が大切です。建築の際には、省エネルギー性について施工会社とよく話し合いましょう。

可変性(共同住宅・長屋の場合)

マンションなどの共同住宅や長屋の場合、可変性に関する基準が設けられています。

長期優良住宅の認定を受けるには、躯体天井高が2,650mm以上である必要があります。

駆体天井高は、住宅の床下部分から天井裏までの高さのことです。

以前は2,400mm以上で認定されていましたが、2022年に見直しが実施されて基準が変更されています。

参考1:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

参考2:

認定基準の見直しに係る検討の参考資料丨国土交通省

居住環境

以下のような計画や協定が定められている区域では、その内容と調和した建築物である必要があります。

  • 地区計画
  • 景観計画
  • 条例によるまちなみなどの計画
  • 建築協定
  • 景観協定 など

例えば、古い文化財が残る街や観光客が多く訪れる地域などでは、その場所の景観に合った住宅であることが大切です。

好みのデザインを採用できないおそれがあるため、家を建てる場所にも検討が必要です。

参考:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

住戸面積

長期優良住宅では、住戸面積について以下の基準が設定されています。

住宅 条件
一戸建て 75㎡以上
共同住宅など 40㎡以上

参考:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

一戸建てと共同住宅ともに、少なくとも1つの階における床面積が40㎡以上であることが定められています。

また、所轄行政庁などが地域事情などの理由から床面積を設定している場合には、その要件に該当していることが必要です。

バリアフリー性

バリアフリーに関する住宅性能基準として、高齢者等配慮対策等級が設けられています。

これは、高齢の人や障害がある人など、身体に不自由がある人も快適な生活を送るための基準です。特に、移動時における安全性を確保することや介助を容易にすることなどを目的にした工夫に対し、設定されています。

共同住宅においては、共用部分の高齢者等配慮対策等級が3であることが求められています。

参考1:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

参考2:

高齢者や障害者への配慮丨一般社団法人 住宅性能評価・表示協会

維持保全計画

長期優良住宅の認定基準の1つとして、維持保全計画の策定が挙げられます。

以下の部分や設備に関して、定期点検や定期メンテナンスなどの計画がされていることが条件となります。

  • 住宅の構造耐力上主要な部分
  • 住宅への雨水浸入を防ぐ部分
  • 住宅に設ける給水、または排水のための設備

参考:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

建築の際には、施工会社と点検やメンテナンスの計画についても話し合っておくことを推奨します。

災害配慮

長期優良住宅の認定基準には、災害発生時への配慮が含まれています。

災害発生のリスクがある地域では、リスクの高さに応じて所轄行政庁が設定した措置を講じる必要があります。

長期優良住宅の申請をする所轄行政庁への確認が必要であり、早い段階で措置の有無や内容を確認しておくことがおすすめです。

参考:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

長期優良住宅を新築するメリット

ここでは、長期優良住宅を新築する以下5点のメリットを紹介します。

  • 資産価値が高まる
  • 有利な条件で住宅ローンの借入ができる
  • 税金が軽減される
  • 保険料が軽減される
  • 優遇措置が受けられる

順番に見ていきましょう。

資産価値が高まる

長期優良住宅では、断熱性能や耐震性などが高い水準であるケースが多く、資産価値が高くなります。品質が保証され、一般的な住宅に比べて資産価値が維持できるとされています。

将来的な売却や貸出を検討している場合、不動産市場で有利になると期待できるでしょう。

有利な条件で住宅ローンの借入ができる

長期優良住宅に認定されれば、ローンの借入時に金融機関から優遇金利が適用されるケースがあります。

例えば、住宅金融支援機構が提供している『フラット35 S』の場合、借入金利が当初5年間は1年あたり0.75%引き下げられます。金利が優遇されれば返済額を抑えられ、特に長期固定金利のローンを選ぶ場合、このメリットによる恩恵を大きく感じられるでしょう。

参考:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

税金が軽減される

長期優良住宅は、主に以下4つの税金において特例措置を活用できます。

  • 所得税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税
  • 固定資産税

住宅ローン控除によって所得税の減額を受けられますが、長期優良住宅の場合は借入限度額が引き上げられているため、控除を受けやすくなります。さらに年収が高い方や借入額が大きい方であれば、より住宅ローン控除額は大きくなります。また、登録免許税では税率が引き下げられており、不動産所得税では課税標準からの控除額が100万円ほど多くなっています。

固定資産税においては、減税措置の適用される期間が長期優良住宅ではない他の新築住宅の場合3年であったものが5年となります。2年ほど長くこれらを活用すれば大きな節税になるでしょう。

参考:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

保険料が軽減される

長期優良住宅に認定されれば、地震保険において割引が受けられます。

認定基準で定められた高い耐震性を満たす必要があり、地震で被害が発生するリスクが抑えられているためです。

耐震等級2であれば割引率が30%、等級3であれば50%となります。また、『品確法』に基づいた免震建築物であれば、50%の割引を受けられます。

参考:

新築編 長期優良住宅認定制度の概要について丨国土交通省

優遇措置が受けられる

長期優良住宅は、新築住宅に対する補助金制度でも優遇措置を受けられます。

例えば、国土交通省が提供している『子育てエコホーム支援事業』では、ZEH水準住宅に補助される金額が80万円であるのに対し、長期優良住宅では100万円と設定されています。

また、国だけではなく自治体が長期優良住宅に対して補助金を支給しているケースがあり、一緒に活用すれば経済的に大きなメリットを受けられるでしょう。

参考:

事業概要丨子育てエコホーム支援事業

長期優良住宅を新築するデメリット

ここでは、長期優良住宅を新築するデメリットを紹介します。

  • 着工までに時間がかかる
  • 建築コストが高くなる
  • 申請費用がかかる
  • 定期的なメンテナンスが必要になる
  • リフォームや増改築に許可が必要になる

順番に見ていきましょう。

着工までに時間がかかる

長期優良住宅の認定を受けるには、事前に書類を準備して申請する必要があります。

申請準備に時間がかかり、通常の住宅に比べて着工までの期間が延びるケースが考えられます。

長期優良住宅の新築を検討している場合は、入居時期や現在の住まいの解約時期に注意しましょう。

建築コストが高くなる

長期優良住宅の基準を満たすためには、高性能の仕様や設備、材料を導入する必要があります。

そのため、建築時のコストが他の住宅よりも高額になるでしょう。

減税制度や補助金制度で得られる恩恵と建築コストを比較して検討し、必要であれば施工会社やファイナンシャルプランナーなどに相談することをおすすめします。

申請費用がかかる

長期優良住宅の認定を受けるためには、申請費用が発生します。所轄行政庁によって費用は異なりますが、一般的には5〜6万円ほどだとされています。

基本的には施工会社に書類の作成代行を依頼することになり、依頼費と申請費用を合わせると20〜30万円ほどかかります。

定期的なメンテナンスが必要になる

長期優良住宅の認定を受けた住宅は、申請時に提出した計画に基づいてメンテナンスを実施する必要があります。メンテナンスをしたら記録して保存することが必須で、所轄行政庁からの調査があれば提出しましょう。

万が一、計画に基づいたメンテナンスがされていない場合、認定を取り消される場合があります。

これまでに受けた補助金や税金の控除額の返済を求められるため、計画通りのメンテナンスになるように注意しましょう。

参考:

長期優良住宅の認定を受けられたみなさまへ丨国土交通省

リフォームや増改築に許可が必要になる

認定された長期優良住宅のリフォームや増改築を行う場合、申請した所轄行政庁に計画変更の認定を申請する必要があります。

増改築の際には、増改築用の基準に適合していることが求められ、増改築用の基準は新築用の基準と異なるため、予め確認しておきましょう。

また、変更の申請は増改築工事に着手する前に行わなくてはいけません。

参考:

長期優良住宅の認定を受けられたみなさまへ丨国土交通省

長期優良住宅で後悔しないためのポイント

ここでは、長期優良住宅の新築で後悔しないためのポイントを紹介します。

  • 長期的に維持管理できるかを考慮する
  • 実績が豊富な会社に依頼する

順番に見ていきましょう。

長期的に維持管理できるかを考慮する

先述のとおり、長期優良住宅の認定を受けた物件は定期的なメンテナンスが必要です。

点検や修繕に対応できる予算を確保できるか、事前に検討しておきましょう。

また、長期的に負担できる範囲の維持費であるかどうかも、確認しておくことが大切です。今後のライフプランや突発的な出費にも対応できるよう、無理のない範囲で選択しましょう。

実績が豊富な会社に依頼する

長期優良住宅の建築には、基準に基づいた設計や施工が求められます。

過去に長期優良住宅を多く手掛けており、認定手続きに詳しい会社に依頼すれば、建築計画をスムーズに進められるでしょう。

施工会社を決定する際には、複数の会社に相談して比較検討することをおすすめします。

長期優良住宅を新築するなら基準や仕組みを把握しよう

この記事では、長期優良住宅について解説しました。

長期優良住宅の認定を受けるには、耐震性や省エネ性、可変性や居住環境など、さまざまな項目で基準を満たす必要があります。

新築で長期優良住宅を検討している人は、建築計画を始める前に基準内容を確認しておきましょう。

また、長期優良住宅で得られるメリットは、補助金制度や減税制度の活用などさまざまありますが、建築コストの高騰やメンテナンスの実施などのデメリットも挙げられます。網羅的に判断し、必要に応じて施工会社やファイナンシャルプランナーに相談することが重要です。

記事監修

山口 靖博

宅地建物取引士/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
最新のトレンドや法改正を踏まえ、円滑な住宅売買に向けた仕組み作りと前線でのサポートを実践する。「ちんたいグランプリ(旧・不動産甲子園)」 2020年度・2022年度特別賞。

  • 2025年1月時点の内容です。
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