水害が起きてしまったときに、とるべき行動や避難時の注意点をまとめました。大雨や台風などによる災害は突然襲ってくる地震とは違い、ある程度は予測できます。小まめに情報収集し、状況をいち早く判断することが自分や家族の命を守る鍵となります。
自分の住む地域や川の上流で、豪雨や長雨が続いているときは水害の予兆と捉え、テレビ・ラジオ・インターネットなどで気象情報を収集しましょう。地域の地図やハザードマップで、避難場所や安全な経路を確認。非常用の持ち出し袋を手近に用意し、「洪水警報」が出たら、すぐ避難できるように準備しておきます。
洪水・氾濫が起きる可能性が高いときに発表される情報は「洪水注意報」「洪水警報」のほかに、大きな河川を対象に、気象庁や国土交通省などが共通で発令する「指定河川洪水予報」があります。
「洪水警報」と「大雨警報」は同時に発令されることが多いので混同しがちですが、「洪水警報」は河川の洪水・氾濫による災害の警報で、「大雨警報」は内水氾濫による浸水被害や土砂災害に対する警報です。
「氾濫注意情報」は「洪水注意報」に相当し、「氾濫警戒情報」「氾濫危険情報」「氾濫発生情報」は「洪水警報」に相当します。
災害発生時に、取るべき行動を直感的に理解できるように、警戒レベルは最も高いレベル5からレベル1まで5段階に分けられています。
1と2は気象庁が発表する注意情報で、避難行動等の確認を行う段階。レベル3〜5は市町村が発令する避難勧告等をレベル分けしたもの。レベル3は高齢者や介助が必要な人が避難を開始し、レベル4はすべての人が避難する段階です。
気象庁ではレベル3〜5を「警戒レベル相当情報」と設定。重大な災害が起こる恐れが高まっているときに「特別警報」を発表します。水害の場合は、数十年に一度の大雨となる恐れが大きいときに、レベル5に相当する「大雨特別警報」を発表します。
大きな河川では「大雨警報」が解除されても、上流で降った雨の影響で「洪水警報」が発表され続けていることもあるので、雨がやんでも油断は禁物です。
市区町村から避難情報が発令された場合は、テレビやラジオ、インターネット、災害行政無線や広報車などで伝達されます。警戒レベル5を待たずに、「警戒レベル4」が発令されたら、すみやかに避難しましょう。
1時間に30〜50mm降ると崖崩れが起こりやすくなります。避難の目安は、1時間に50mm以上。非常に強い雨なので、避難時も十分に注意が必要です。また、暗くなってからの移動は危険なので、明るいうちの避難が鉄則です。
すでに洪水や内水氾濫で浸水しているときは、水が深くなると歩けなくなり、車での避難も難しくなります。
浸水している場合に歩けるのは、ひざ下約50cmといわれています。泥水なので足元が見通せないため、やむをえず水の中を移動する場合は、杖や棒などで足元を確認しながら歩きます。
できるだけ河川から離れた道路を通り、ふたが開いたマンホールの穴には注意しましょう。もし、腰以上の深さまで浸水している場合は避難せずに、2階などに「垂直避難」して救助を待ちます。
水深50cmぐらいで、すでに1階の床下が浸水。水が床上までくる前に、漏電ブレーカーが作動するので停電します。床上浸水後は電気配線がショートするため、数日は電気を使用できません。家具や冷蔵庫などが水に浮いて出口をふさぎ、水深約30cmでドアは開かなくなります。
このように床上浸水となり、避難が遅れると危険です。気象情報に注意しながら、浸水する前に安全な場所に移動することが水害時の最大のポイントです。
被害復旧や生活再建のための課題に立ち向かおう。
再建への第一歩は、被害記録を写真で残すことと罹災申告。
被災者支援の給付制度や支援制度も。税金などの減免制度の申請も忘れずに。
大雨や台風のときは常に情報を収集し、避難場所や安全な経路を事前に確認しておく。
浸水する前に、すみやかに避難。すでに浸水しているときは、自宅で「垂直避難」して救助を待とう。
記事監修
危機管理教育研究所代表 危機管理アドバイザー
横浜市生まれ。女性や生活者の視点で家庭、地域、企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱している。講演、執筆、リスクマネジメントコンサルなどの他、文部科学省「地震調査研究推進本部政策委員」、東京都「震災復興検討会議」委員などを務める。現在はNHKラジオ マイあさ!の「暮らしの危機管理」のコーナーやテレビ、新聞などで情報提供を行っている。著書に『地震の準備帖―時間軸でわかる心得と知恵』(NHK出版)『サバイバルブック―大地震発生その時どうする? 』(日本経済新聞出版社)『マンション・地震に備えた暮らし方』(エイ出版社)『これ1冊でできる!わが家の防災マニュアル』(明治書院)などがある。
https://www.kunizakinobue.com/
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