この記事では、住宅を探し始めてから引き渡しまでにかかる期間や、購入前の注意点も徹底解説します。中古住宅の購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
この記事では、中古住宅の検討から購入までの流れを解説します。
中古住宅の購入は、まず物件探しから始まります。その後、物件を内覧して納得したら購入の申し込みや資金準備、契約締結などのステップを踏み、引き渡しまで進んでいきます。
この記事では、住宅を探し始めてから引き渡しまでにかかる期間や、購入前の注意点も徹底解説します。中古住宅の購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
中古住宅を購入する一般的な流れは以下のとおりです。
引き渡しを完了するまでに必要な手続き・期間などを見ていきましょう。
中古住宅購入の最初のステップは、住みたい物件を見つけることです。期間の目安は数ヶ月から1年程度です。
販売されている物件を探すツールは、不動産情報サイトや情報誌、チラシなどが中心となります。
自分に合った物件を探すために、求める条件を整理することをおすすめします。例えば、以下の項目に沿って条件を整理してみてください。
希望条件は物件探しの基準となるため、具体的にイメージしておくと探しやすくなります。
また、中古物件は数多くの不動産会社が取り扱っているため、不動産会社を活用した物件探しを並行して行うことがおすすめです。不動産会社を選ぶ際は、信頼でき、かつ、取り扱う物件数の多い会社を選ぶことが大切です。口コミや実績を確認し、サポートが手厚い会社を見つけましょう。
物件探しで行き詰まっているときは不動産会社の担当者に相談すると、おすすめの物件を紹介してくれることもあります。
気になる物件が見つかったら、不動産会社に内覧予約をします。期間の目安は数週間から数ヶ月程度です。
内覧で確認したほうが良い項目は以下のとおりです。
画像や文章などで確認していた内容と実物に相違がないかを目で確認しておくほか、気になる部分があれば質問しておくことも大切です。
内覧を経て購入したい物件が決まったら、購入の申し込みを行います。具体的には、不動産会社に対して購入申込書を提出し、売主に意思を伝えます。期間の目安は1週間程度です。
購入申込書に記載する内容は、主に以下のとおりです。
購入申し込みの段階で、価格交渉ができる場合があります。
リフォームが必要な箇所がある場合や築年数が長い物件の場合、価格交渉がしやすいことが多いといえます。交渉に時間がかかることもあるため、焦らず進めましょう。
購入申し込み後、住宅ローンを利用する場合は金融機関に事前審査を申し込みます。期間の目安は1週間〜10日程度で、事前審査が通ると次の契約手続きに進めます。
事前審査で確認される内容は以下のとおりです。
上記の内容を通して、申し込み者に十分な返済能力があるかが審査されます。
また、借入可能額や金融機関の金利優遇幅が事前にわかり、月々の支払額といった具体的な資金計画が立てやすく、返済プランも事前に確認できます。万が一減額の回答が来た際には、資金繰りの対策や、別物件の検討へと切り替えることができます。
仮審査に通ったら、重要事項説明が行われて売買契約を締結します。契約締結時には、物件価格の1割前後の手付金を支払うケースが一般的です。期間の目安は1〜2日です。
契約書には、以下の内容が記載されています。
重要事項説明では、宅地建物取引士から物件情報や売買条件などの契約内容を説明してくれます。不明な点があれば必ず確認し、納得してから署名しましょう。
売買契約が済んだら、住宅ローンの本審査に申し込みます。本審査にかかる期間の目安は1〜2週間程度です。事前審査より時間がかかる場合が多いので、余裕を持って手続きすることをおすすめします。
主な審査項目は以下のとおりです。
本審査では、住民票や売買契約書、収入証明などの書類が必要です。事前に必要書類をリストアップし、スムーズに提出できるよう準備しておくことをおすすめします。
本審査に通過すると、正式にローン契約を結べます。
住宅ローンの本審査に通過したら、決済・引き渡しの手続きを行います。
決済・引き渡し日には売主や買主だけでなく、不動産会社や銀行、司法書士などが一同に介します。そして、残代金の支払いが完了した後に鍵の引き渡しが行われます。
決済・引き渡しの手続きの大半は1日で完了しますが、登記手続きのみは完了までに1〜2週間かかります。引き渡しの後は、必要に応じてリフォームや引越しの準備を進めましょう。
ここでは、中古住宅の購入前に押さえておきたい注意点を紹介します。
順番に見ていきましょう。
中古住宅の購入前に、引越し時期の目処を立てることをおすすめします。
購入後も引き渡しまで住んでいることもあり、希望する時期に引き渡し・引越しができないこともあります。場合によっては、仮住まいを用意しなければなりません。
また、家探しで時間をかけすぎないためにも、引越し時期の目処を立てることが重要です。スケジュールを立てずに家探しを始めると、住宅の購入が効率的に進みません。
引き渡しと引越し時期の目処を立てることで、希望条件に合う住宅が見つかったときに決断しやすくなります。
住宅ローンを利用する場合は、購入に必要な費用を明確にしておきましょう。中古住宅の購入には、物件代金以外にも以下のような数多くの費用が発生します。
必要な費用が明確になっていなければ、住宅ローンで借入れる金額が決まらないほか、手元に残しておくべき金額がわからずに不都合が生じます。
また、住宅ローンの借入額が大きく毎月の返済額が大きい場合は、ローン返済で生活が苦しくなるリスクがあります。
返済できなくなるリスクを避けるためには、事前に毎月の返済額を見積もることが重要です。返済額が大きいと感じる場合は、返済計画を変更したほうが良いでしょう。
中古住宅を購入したときに受けられる補助金・減税・控除があるのかを確認することをおすすめします。住宅購入にかかる費用を数十万円も抑えられるでしょう。
利用できる制度を2つ紹介します。
<長期優良住宅化リフォーム推進事業>
長期優良住宅化リフォーム推進事業では、リフォームやインスペクションなどの取り組みに対し費用が補助されます。
補助限度額
(補助上限)
事業タイプ | 補助限度額 |
評価基準型 | 1住戸につき80万円 |
認定長期優良住宅型 | 1住戸につき160万円 |
なお、申請は通年可能です。制度の対象に当てはまるかどうか確認しましょう。
<住宅ローン減税(控除)>
住宅の購入でよく知られる住宅ローン減税(控除)は、中古住宅を購入して住宅ローンを組む場合にも適用されます。住宅や土地の取得に係る毎年の住宅ローン残高の0.7%が、所得税や住民税から控除されます。
対象となる住宅 | 借入限度額 | 控除年数 | 最大控除額 |
以下4つの住宅
| 3,000万円 | 10年間 | 210万円 |
その他の住宅 | 2,000万円 | 10年間 | 140万円 |
※参考:住宅:住宅ローン減税|国土交通省
住宅ローン減税を活用することで、毎年支払う税金が大幅に減少します。ただし、適用を受けるためには1年目に確定申告が必要になるので、忘れずに行いましょう。
中古住宅の購入前には、重要事項説明書や売買契約書に記載されている内容について、不明点や疑問点がない状態にしておくことが重要です。
重要事項説明書には、物件の状態やリスクなどの詳細や契約に関する重要な内容が記載されています。特に中古住宅では、築年数や修繕履歴、耐震性といった建物の状態や周辺環境が詳しく記載されています。
また、売買契約書には購入する物件の価格、売買条件、引き渡し時期などが詳細に記載されています。契約後に内容を変更するのは難しいため、支払方法や引き渡しのスケジュール、違約金の取り決めなどは事前にしっかり確認し、理解しておきましょう。
不明点や気になる点はその場で質問し、納得した上で次のステップに進むことが大切です。
住宅診断(ホームインスペクション)とは、専門の診断士が建物の状態を確認するサービスです。中古住宅は、経年劣化や修繕の必要がある箇所が見つかるおそれがあるので、事前に建物の状態を把握しておくことをおすすめします。
ホームインスペクションでは、主に以下の構造や設備の状態がチェックされ、見えにくい部分の劣化や修繕の必要性がわかります。
中古住宅を購入する際、希望するリフォームができるかどうかを事前に確認しましょう。
リフォームには内装の変更、キッチンや浴室などの設備の交換、間取りの変更などさまざまな規模と種類があります。物件によっては構造的な制約があり、希望するリフォームができないケースも少なくありません。
購入前にリフォーム業者と相談し、希望するリフォームが可能かどうか、見積もりやプランを確認しておくのがおすすめです。リフォームにかかる費用を事前に把握しておくと、購入前後にかかる費用の計画が立てやすくなります。
中古住宅の購入前に、耐震性や周辺環境を確認することも重要です。築年数が経過した中古住宅で安心して暮らすためには、耐震性の確認を行いましょう。
1981年の新耐震基準の導入以降に建てられた物件は、一定の耐震性が担保されています。ただし、築年数が経つことに伴って、構造的に劣化していることも考えられます。
築年数が古い物件を購入する際は、耐震補強の必要性についても確認しておきましょう。
また、新しい生活を快適に送るためには周辺環境の確認も重要です。近隣施設や騒音、治安など、普段の生活に影響する要素を確認しておくと、購入後にギャップを感じることが少なくなるでしょう。
昼間と夜間で環境が異なる場合もあるため、時間帯を変えて現地を訪れることをおすすめします。
ここでは、中古住宅の購入にかかる費用を一覧で紹介します。
順番に見ていきましょう。
中古住宅の購入時にかかる費用は、主に以下のとおりです。
物件価格以外の費用を合計すると、物件価格の10%前後の費用がかかるといわれています。
保険の内容を確認して必要でない保障を外したり、登記手続きを司法書士へ依頼するのではなく、自分で行ったりするなどの工夫を行えば費用を抑えられるでしょう。
中古住宅の引き渡し後にかかる費用は、主に以下のとおりです。
リフォーム費用や引越し費用は一度だけかかりますが、他の毎年の費用は平均して物件価格の約5%かかります。
税金や水道光熱費は家計に長期的な影響を及ぼすため、住宅購入前にどのくらいの金額が毎年かかるのかをシミュレーションすることが必要です。
ここでは、中古住宅の購入に関するよくある質問に回答します。
疑問を解消していきましょう。
新築物件にはない中古住宅の魅力として、以下が挙げられます。
新築住宅の場合、「新築プレミアム」と呼ばれる新築特有の価値によって購入価格が高くなりがちです。中古住宅にはないので、ある程度の築年数が経過していれば新築よりも価格が抑えられることが多く、同じエリアで広めの物件を選びやすくなります。
また、一般的に築年数が経過している住宅のほうが評価額が下がるため、固定資産税が安くなるのも魅力です。
中古住宅は購入後にリフォームやリノベーションを行い、自分好みの空間に仕上げる楽しみもあります。例えば、キッチンやバスルームを最新の設備に変えたり、間取りを変更して広いリビングを作ったりすることも安くできるでしょう。
上記に魅力を感じる人は中古住宅の購入がおすすめです。
一概に「買ってはいけない」と断言はできませんが、なるべく購入するかどうかを検討した方が良い住宅の特徴は以下のとおりです。
新耐震基準が導入される1981年以前に建てられた物件は、耐震性に不安があります。耐震診断を行うか、耐震補強の必要性について確認することが重要です。特に新耐震前の物件は、価格も安くなっているので目を引きますが、ご注意ください。
また、建物の構造上の制約で希望するリフォームができない場合があります。リフォームやリノベーションを検討している場合は、購入前に可否の確認を事前に行いましょう。
さらに、過去の修繕履歴が不明な物件では必要な修繕が行われていない場合があり、将来的なメンテナンス費用が高くなる可能性があります。
中古住宅の購入は、築年数によっては新築に比べて価格が抑えられ、好立地で広めの物件を選びやすいメリットがあります。
魅力が多い中古住宅を探すところから引き渡しまでをスムーズな流れで行うためには、購入の全体像を把握しておくことが重要です。
中古住宅購入の各ステップで行うべきことや、注意点を参考にしながら、マイホーム選びを効率的に進めていきましょう。
※この記事の情報は2024年11月時点のものです。
記事監修
宅地建物取引士
戸建仲介部門一筋で結果を出し続け、2019年より首都圏各地域のエリア統括を歴任。
[メディア出演]サンデー・ジャポン(2014年)首都圏情報ネタドリ!(2020年)、ワールドビジネスサテライト(2020年)
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