東京都大田区が、全国で初めて民泊を認める条例を制定する方針を発表し、その後10月末には、大阪府で、大田区に先駆けて全国初の民泊を認める条例が可決されました。
通常、旅館業を営むには許可が必要で、宿泊施設は防火設備や建物構造、衛生基準などが一定の基準を満たしている必要があるため、例えば、農業体験という名目で、旅館業の許可を得ていない民家に人を泊めて対価を得ることは、違法にあたります。
しかし、最近の外国人観光客の増加や2020年の東京オリンピックを受けて、都心部での宿泊施設の不足が深刻になっており、この問題を解消するために、基準を満たさない個人宅の空き部屋やマンションの空き室でも特定の条件を満たせば、宿泊所として利用できるようにしようというのが、この条例です。
この条例の制定ができるのは、東京都や神奈川県の他、「国家戦略特区」に指定された一部の区域のみです。「国家戦略特区」とは、地域振興と国際競争力向上を目的に設けられた経済特区のことで、民泊が認められる条件は、下記の通りです。
大阪府では、最低滞在期間を6泊7以上とし、さらに対面や映像による本人確認の実施、各部屋へのトイレ・浴室・台所の設置、大阪府による立ち入り調査の実施権限などを条例に盛り込んでいます。
使用していない個人宅を有効活用して宿泊施設不足を解消することを目的とした条例ですが、「1部屋の床面積が25㎡以上」必要なことや「緊急時における外国語を用いた情報提供」など、一般の方がこの制度を利用するには、敷居が高い内容になっています。
また、大田区の条例案では、民泊が可能になるのは、商業地域など、ホテルなどの建設が可能な地域のみで、住宅が多く集まる低層住居専用地域は、対象エリア外です。
さらに、賃貸マンションの1室などは、契約で転貸は禁止されていることがほとんどですので、実質的にこの制度を利用できるのは、投資用マンションの所有者や事業者など、今のところ、一部の方に限られそうです。
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