この記事では、マイホームの購入予算は年収の何倍が目安になるか解説します。
マイホームを購入する際には、まず必要な資金の費用を決めておくことが大切です。予算は年収を基準にしたうえで、無理なく返済できる範囲に留めることが理想的とされています。
この記事では、年収別の購入費用シミュレーションや、無理なく購入するためのポイントも解説します。マイホームの購入を考えている人は、ぜひこの記事を参考にしてください。
【この記事でわかること】
ここでは、マイホームの購入に関する統計データから、以下3点を解説します。
住宅種別 | 平均年齢 |
---|---|
新築注文住宅 | 42.1歳 |
建売・分譲住宅 | 38.2歳 |
中古戸建て住宅 | 46.7歳 |
新築マンション | 43.0歳 |
中古マンション | 46.7歳 |
参考:
令和5年 住宅市場動向調査丨国土交通省
調査の結果から、住宅の種類によってやや違いはありますが、住宅全体の購入者の平均年齢は40歳前後だと分かります。
マイホーム購入者の平均年収も、住宅の種類や居住地によって違いがあります。下の表で確認しましょう。
住宅種別 | 平均年収 | |
---|---|---|
新築注文住宅 | 全国 | 915万円 |
三大都市圏 | 989万円 | |
建売・分譲住宅 | 761万円 | |
中古戸建て住宅 | 678万円 | |
新築マンション | 871万円 | |
中古マンション | 729万円 |
参考:
※三大都市圏は首都圏・中京圏・関西圏を指す
平均年収が最も高い種別は新築注文住宅で、平均年収は915万円(三大都市圏は989万円)でした。最も平均年収が低いのは中古戸建て住宅の678万円で、注文住宅と比較すると200万円以上の違いがあります。
国税庁によると、日本人の平均年収は460万円であるため、どの住宅種別においても購入者の年収は高い傾向にあるといえます。
参考:
マイホームの購入にかかった費用の平均は、住宅の種類によって以下の結果になりました。
住宅種別 | 自己資金 | 融資金 | 合計額 |
---|---|---|---|
新築注文住宅 | 1,685万円 | 4,126万円 | 5,811万円 |
建売・分譲住宅 | 1,305万円 | 2,985万円 | 4,290万円 |
中古戸建て住宅 | 1,410万円 | 1,573万円 | 2,983万円 |
新築マンション | 2,279万円 | 2,437万円 | 4,716万円 |
中古マンション | 1,338万円 | 1,456万円 | 2,793万円 |
参考:
令和5年 住宅市場動向調査丨国土交通省
マイホームの購入にかかる費用は住宅種別によって大きく異なり、新築注文住宅では6,000万円に近い費用がかかると分かります。
また、中古住宅は3,000万円程度と注文住宅と比べて費用を抑えやすく、その半分ほどを自己資金で賄う人が多いと推測できます。
住宅の購入費用を年収で割った値を年収倍率といいます。
住宅金融支援機構が提供している『フラット35利用者調査』によると、首都圏で住宅を購入した人では、物件種別ごとに年収倍率が以下の結果となりました。住宅種別 | 平均年齢 |
---|---|
新築注文住宅 | 7.2 |
建売住宅 | 7.0 |
中古戸建て住宅 | 5.8 |
新築マンション | 7.7 |
中古マンション | 5.9 |
全体 | 6.9 |
参考:
どの住宅種別でも年収倍率が6〜7倍程度となっています。住宅全体においても6.9倍であることを踏まえると、マイホームを購入する際には年収の6〜7倍を目安にすることがおすすめです。ただし、家族構成やライフスタイルによって支出が大きく異なるため、必ずしも目安通りにするのが良いとは限りません。
ここでは、以下2点について詳しく解説します。
以下の式から算出できます。
返済負担率=年間返済額÷年収×100
金融機関は、返済負担率を基準として借入可能額を設定しているケースがほとんどです。住宅の購入費用や融資金の割合を決定する際には、返済負担率を参考にしてシミュレーションをしてみることをおすすめします。
家計に過度な負担をかけず、返済を続けやすいとされる割合です。
また、金融機関によっては、返済負担率の制限を設けている場合があります。
住宅金融支援機構のフラット35では、年収ごとに以下の制限を設けています。年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
---|---|---|
返済負担率の上限 | 30% | 35% |
参考:
借入額を決定する際には、返済負担率が30〜35%を上回らないようにしましょう。
ここでは、以下3つの年代ごとにマイホームを購入するメリットとデメリットを見ていきましょう。
順番に解説します。
購入時のメリットとデメリットとして、以下が挙げられます。
メリット | ・返済期間を長く設定して毎月の返済負担を軽減できる ・早い段階から住宅資産を所有でき、将来的な資産価値の上昇や売却時の利益を期待できる |
---|---|
デメリット | ・収入が安定しないケースが比較的多く、ローン返済に不安が伴いやすい ・転職や結婚、出産などで生活環境が変化しやすく、家のニーズが変わることがある |
35年ローンを組んだ場合でも、契約時に20代なら65歳までに完済できます。退職後に収入が減った際には返済する必要がないため、老後の不安を軽減して住宅ローンを組めるでしょう。
一方、20代のうちは他の世代に比べて収入が低く、ローン返済が滞るおそれがあります。転職や結婚などでライフステージが変化しやすい時期でもあり、契約後に家での過ごし方や設備などの優先順位が変化することもあるでしょう。
30代になると、マイホームを購入する人は20代よりも大きく増加すると考えられます。実際、建売分譲住宅の平均購入年齢は38.2歳であり、その他の住宅でも購入者が増えるでしょう。
30代でマイホームを購入する主なメリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・仕事が安定した時期になり、ローン返済計画を立てやすくなる ・家族の人数やライフスタイルが定まり、長く住める家を選びくなる |
---|---|
デメリット | ・子どもの養育費とローン返済が重なり、家計への負担が大きくなる ・頭金や諸費用の貯蓄がないと、ローンの借入額が増えて返済額が高くなる |
20代と比べて、30代は仕事が安定しやすく、収入も増加する時期です。
将来のライフプランも定まっていることが多く、どのように返済を進めるか計画しやすいでしょう。しかし、子どもの養育費とローン返済のタイミングが重なるため、毎月自由に使えるお金は少なくなるといえます。また、購入時までに頭金や諸費用を貯金しておかないと、ローンで借入する金額が増えて返済負担が大きくなります。
注文住宅や新築マンション、中古住宅では、購入者の平均年齢が40代という結果になりました。
そのため、40代はマイホームを購入する最も一般的なタイミングといえます。40代でマイホームを購入するメリットとデメリットを以下に挙げたので、見ていきましょう。
メリット | ・これまでに貯蓄した資金を頭金として活用でき、借入額を抑えられる ・将来のライフプランが明確になっており、長く住める家を選びやすい |
---|---|
デメリット | ・定年までの期間が短く、退職後にローン返済が発生するリスクがある ・年齢とともに健康不安が増大し、医療費の増加など想定外の支出が生まれることがある |
40代の場合、これまでに貯蓄した資金が十分に備わっていることが多くあります。これらの資金を頭金として活用できるため、ローンの借入額を抑えて毎月の返済負担を軽減できるでしょう。
ただし、40代は定年まで20年ほどしか残っておらず、35年ローンを組んだ場合は退職後も返済が続くと見込まれます。金融機関やローン商品によっては定年までに完済するプランを選択することもあり、その場合は月々の支払額が大きくなります。
ここでは、年収別にマイホームの購入費用をシミュレーションで見ていきましょう。シミュレーション時の前提条件は以下のとおりです。
【前提条件】
条件を踏まえて、以下3つの年収からシミュレーションをしていきます。
年収300万円の場合、以下の返済プランになります。
物件価格 | 2,100万円 |
---|---|
借入額 | 2,000万円 |
毎月返済額 | 5万3,253円 |
返済負担率 | 21.3% |
返済総額 | 2,236万6,381円 |
年収300万円の場合、物件価格は2,100万円が目安です。月々の返済は5万円程度となり、家計への負担は低いといえます。
ただし、昨今の住宅価格の上昇を踏まえると、2,000万円台で購入できる物件は限られているといえます。
住宅性能やデザインなどにこだわりたい人は、年収が増加してから住宅を購入することがおすすめです。年収400万円で住宅を購入するときは、以下のような返済プランになるでしょう。
物件価格 | 2,800万円 |
---|---|
借入額 | 2,700万円 |
毎月返済額 | 7万1,892円 |
返済負担率 | 21.6% |
返済総額 | 3,019万4,669円 |
年収400万円の場合は2,800万円の物件価格が目安となります。毎月返済額は7万円程度であり、返済負担率も低いことから、家計への影響は少ないと考えられます。
しかし、3,000万円以下で購入できる物件は限られており、立地や面積にこだわる場合は物件価格がさらに高くなるでしょう。年収400万円の返済負担率は30%未満が推奨されており、年収を増やしてから住宅を購入することがおすすめといえます。
年収500万円の返済シミュレーションは以下の通りです。
物件価格 | 3,500万円 |
---|---|
借入額 | 3,400万円 |
毎月返済額 | 9万7,866円 |
返済負担率 | 23.5% |
返済総額 | 3,802万2,965円 |
年収500万円で3,500万円の物件を購入する場合、毎月の返済額は10万円程度になります。返済負担率も25%近くになるため、家計への負担はやや大きくなるでしょう。
新築住宅の場合、物件費用は4,000万円以上であるケースがほとんどです。
返済負担率を上げることはおすすめできないため、新築住宅を購入する場合には頭金を増やして購入する方法か年収を上げる方法を検討しましょう。ここでは、マイホームを無理なく購入するためのポイントを見ていきましょう。
先述のとおり、家の購入額は年収の6〜7倍が目安となっています。住宅ローンの借入額を決める際には、返済負担率が20〜25%以内に収まるように調整し、また、土地を別途購入する場合には、土地と住宅の費用バランスも考えるとよいでしょう。
一般的に物件価格の10%程度を用意することが多く、頭金が多いほど借入額を減らして毎月の返済負担を軽減できます。
ただし、頭金が増えて借入額が減ると、その分住宅ローン控除で受けられる恩恵も少なくなる点に注意しましょう。
居住したい地域が決まっている場合には、そのエリアの物件価格を事前にリサーチしておきましょう。
物件価格は立地によって左右されることが多く、相場を知っていれば予算内で物件を見つけやすくなります。不動産情報サイトや国土交通省の不動産情報ライブラリなどを活用して調べましょう。マイホームは長期間にわたって居住します。
家族構成やライフスタイルの変化、将来のライフプランなどさまざまな点を考慮して、立地や間取り、デザインなどを決定しましょう。また、将来的にリフォームを実施しやすい設計にしておくと、柔軟に対応できます。
この記事では、マイホームの購入予算について解説しました。
マイホームの価格は年収の6〜7倍が目安とされています。
家づくりの際には、目安となる価格を参考にしながら無理のない資金計画を立てることが大切です。また、予算以外にも、将来的な人生設計や家族構成の変化などを考慮する必要があります。長期的な視野で家づくりを実施し、長く住めるマイホームを手に入れましょう。
記事監修
宅地建物取引士
戸建仲介部門一筋で結果を出し続け、2019年より首都圏各地域のエリア統括を歴任。
[メディア出演]サンデー・ジャポン(2014年)首都圏情報ネタドリ!(2020年)、ワールドビジネスサテライト(2020年)
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